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中世ストラテジー『Crusader Kings III』ついに日本が追加されたので「源頼朝」で遊んだら、妻は寝取られ従兄弟に殺された。ここは中世、理性も倫理もない地獄……【TGS2025】

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王と諸侯と聖戦が大好き!頭蛮族な未開中世人のみんなこんにちは!今日も元気に隣国を焼いてお過ごしでしょうか。

今日はそんなみなさんに大人気の中世ロールプレイシミュレーションゲーム『Crusader Kings III』(CK3)、またの名を大家門バトルの最新DLC『All Under Heaven』のご紹介です。

『Crusader Kings III: All Under Heaven』レビュー・評価・感想|TGS2025_001
▲画像はSteam:Crusader Kings IIIより

同作はストラテジーゲームの大家Paradox Interactiveが開発する、中世を舞台にしたストラテジーゲーム。『Europa Universalis』シリーズを始めとした同社の他作品と異なり、操作するのは国(勢力)ではなく個人である、というのが大きな特徴で、貴族家の当主として自身の家門の発展を目指していくというのが目的だ。

そのため、ストラテジージャンルのゲームでありながら、結婚や暗殺、狩りや聖地巡礼(本来の意味)、祝宴といった個人が主体となるイベントが多数……というよりゲームのほとんどを占めている。どちらかと言えば「中世人」をロールプレイするシミュレーションという方が実態に近いかもしれない。

『Crusader Kings III: All Under Heaven』レビュー・評価・感想|TGS2025_002
▲画像はSteam:Crusader Kings IIIより

そんな同作なのだが、次に発売されるDLC『All Under Heaven』では、なんと日本や中国を含む当時の既知世界すべてが追加されるという、これまでにない規模の拡張が予定されている。

当時の政治体制の複雑怪奇さから、『CK3』プレイヤーの間では「明日西から日が昇ってもCKに極東アジアが追加されることなんてありえぬ」と囁かれてきた異常事態。そしてそんな本作がなんと東京ゲームショウ2025(TGS2025)でメディア向け先行プレイを実施するという!

これは行くしかない……!ということで大興奮しながら行ってきました。行く前はたった30分の試遊時間で何ができるんだ……!?とも思っていましたが、予想以上に楽しいことがたくさん起こった試遊になったので、ぜひお楽しみください。

いざゲーム開始!の前に……?!?

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ということでやってきました867年の極東アジア!
すげー!唐だ!新羅だ、にっぽんだ!!!ほんとにインドの東にも国がある!

ParadoxのゲームはMOD文化が盛んなため、東アジア追加MOD自体は以前からあったのですが、まさか公式でこの風景を見ることができるとは……。マップ上にあんなにでかでかと「唐」や「日本」の文字が……あれ?

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いやまってこれ公式だよな!?なんで漢字表記……というか日本語対応してるんだ???

『CK3』本体は2020年に発売されたゲームではあるのですが、長らく日本語は非対応。有志の翻訳MODを使わけなければ日本語にはならないはずでは!?

なんの説明もなくしれっと日本語だったので一瞬マジでスルーしかけてしまったのですが、若干テンパりつつ聞いてみると、なんと『All Under Heaven』のリリースに合わせて公式の日本語対応を実施するとのこと。マジかよ!愛してるぜパラド★

ということで、さっそく家門の選択から。中国プレイも捨てがたいですが、せっかく公式で日本が追加されているので、日本でプレイしたいところ。

ここで天啓。『CK3』には第3回十字軍の少し手前、1178年が開始時期として設定されていたはず。ということは……?

※今回のプレイバージョンはまだ翻訳が未完了のものであるとのこと。そのため、一部漢字表記が誤っている個所などもあります。

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いたーっ! まだ翻訳が完全ではないためか、漢字が間違っているものの、河内源氏の棟梁・ご存知「源頼朝」です。同じブックマークには平清盛木曽義仲といった有名人もいる様子。

ちなみに本作『CK3』、このブックマークに登場している人物だけでなく、土地を持った家門の当主として存在している人物なら誰でもプレイ可能。オリジナルキャラをカスタムして遊ぶことも可能で、DLC『Roads to Power』を導入すれば、土地を持たない放浪の冒険者としてもプレイできちゃいます。

ただ今回それをするのはもったいないので、このまま頼朝(頼友)でプレイ。誤字についてはきっとそっと発売前までには直っていることでしょう。パラドを信じよ。

武士の世が始まる時代、日本史の有名人たくさんで楽しすぎ

ということで、河内武士団の惣領・清和頼朝としてゲームスタート。性格は勇敢・忍耐・傲慢。傲慢はちょっと頼朝っぽくない気もします。疑心暗鬼とかじゃないでしょうか? プレイがキツくなるのでやめてほしいけど。

河内武士団というのは、頼朝が河内源氏だったから、姓が清和となっているのは清和源氏だからでしょう。本家(王朝)と分家という扱いになっているようです。

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家門と姓はしっかり別れているらしく、当時すでに結婚していた頼朝の妻・北条政子は北条家の一族になっていますが、名称表記は平政子(北条氏の本姓は平氏)に。ちなみに性格は執念深い・憤怒・野心的で、ぐうの音も出ない北条政子っぽさがあります。

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▲源氏が清和なんだったら平氏は桓武なんじゃない?という気もちょっとする。私が詳しく知らないだけでなんかあるのかしら?

そして頼朝の兄弟を探っていくと、こちらもいました、鞍馬山の牛若丸こと「源義経」。兄同様に名前表記が完全ではなく、「吉恒」になっていますが、「明敏」特性持ちで勇敢・野心的・短気な性格。間違いなく九郎判官でしょう。本作では土地を持たない冒険者という扱いでプレイできるようです。

ちなみに本作、プレイヤーキャラをチンギス・ハーンにして遊ぶプレイもできるので、義経=チンギス・ハーン伝説を再現するような遊び方もできそうです。

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『CK3』におけるこの時代の日本は「惣領政府」というビザンツの官僚制のような国家になっているらしく、有力な一族や荘園といった官僚制政体でのプレイで登場する存在が確認できました。

ただ通常の官僚制と異なっているのが、「儀礼的な主君」の存在。摂政が強大な力を持ちすぎると、儀礼的には主君でありながら、実質的には封臣になっているという状態が発生するらしい。

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ほえ〜、このシステムで日本の天皇制を扱っているのか。ということは、天皇家で600年早い大政奉還プレイとかもできる……ってコト!?なんかそれも楽しそうだな。

同じく日本を舞台にした同作の有名MOD『Shogunate』だと、天皇は領土を持たない宗教指導者扱いだったはずなので、こういう感じに再現されているのはかなり面白いですね。

ちなみにこの時代の日本は、蝦夷地や奥州の一部を除けば完全に平家の天下。パクス・タイラーナを実現しており、伊豆の領主である頼朝も平清盛の封臣という扱いになっています。正確にはこの時代の頼朝は領主ではありませんが、ゲーム的な都合でしょう。

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と思いきや、それだけでなく「平BLOCK」や「摂津BLOCK」といった文字が地図上に。どうも主君という概念とは別に、氏族連合というものがあるらしく、その勢力圏を示している様子。頼朝は摂津BLOCKの一員で、同じ源氏一門である摂津源氏家を惣領とするグループのようです。

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父を殺した仇敵・平清盛と直接対決!たくさん棒で叩け!

ほかにも色々調べたいところですが、今回の試遊時間は30分のみ。パラドゲーの試遊がたったの30分ってどういうことなのかとキレ散らかしたいところですが、大人なのでぐっと我慢します。

とりあえず近隣の三浦領・相模に請求権の捏造を仕掛けて時間を動かし始めると、さっそく奥州の藤原秀衡から氏族連合への招待が。奥州藤原氏から!?!?

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招待を受諾すると現在のBLOCKからは離脱し、藤原氏のBLOCKへ入ることになるようですが、当然摂津一族からは快く思われない様子。何が起こるか試したい気もしたのですが、源氏の棟梁たる自分が秀衡ずれの下につくのも癪なので無視することにします。

すると今度は「王家の子孫」のポップアップが。どうやら最上位の主君である天皇に子どもが生まれたことで、その子どもを産んだ女性の家、つまり平家に名誉点が入ったらしい。このあたりなんとなく日本っぽさがありますね。ん?母親が清盛の娘で1178年12月22日……?

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これ安徳天皇だ!

そうか、1178年って安徳天皇が生まれた年だったんですね。う〜んめっちゃ日本史を感じる。まだ1年経ってないのに、このゲームめちゃくちゃ楽しいぞ……!

さて、せっかく頼朝としてプレイするのだから、もちろん目標は父・義朝を殺した憎き怨敵・平入道清盛を誅して鎌倉に幕府を開くこと。とは言え伊豆一国ではどうしようもないので、通常プレイなら婚姻で外国勢力と同盟を結ぶのが常道です。

ただし何らかの制限が働いているのか、宗教や文化差による受諾値の影響なのか、婚姻可能なのは日本国内の勢力のみ。ちょっと迷ったものの、娘を藤原秀衡の息子・頼衡(頼平)と婚約させてみます。

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▲イチマンって誰だ!?と思って調べたら、頼朝の長女・大姫の名前が「一幡」だったという説があるらしい

そうこうしているうちに請求権の捏造が成功し、最新の古い古文書が完成。いざ三浦討伐……!と思いきや、向こうも同じ摂津BLOCKに所属しているためか、宣戦布告できない様子。これはしまった。

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このままでは平家討伐など夢のまた夢。どうしたものかと頭を悩ませていると、まさかの自他が発生。なんとその平清盛自身から決闘を申し込んできたのである。

これは頼朝と清盛がライバル関係に設定されているために起こるイベントで、『CK3』ではしばしば発生します。相手を殺害することはできないのですが、好機到来千客万来、棒でもなんでも叩けるなら叩いておいて損はないはず。もちろん決闘を受諾。

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史実では果たし得なかったまさかの直接対決に興奮も絶頂。老体に鞭打って出てきた清盛入道と刃を交わすこと数合……。

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当然勝利!こちとら、これまで何千時間CKやってきたと思ってんだ、今更こんな老人に負けるか!首おいてけ!!

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愛、戦争、死。それが『Crusader Kings III』

清盛入道を打ち据えて怪我を負わせ、多大なストレスを与えはしたものの、残念ながらイベントの仕様上首は取れず。肝心の平家討伐はまだまだ時間がかかりそう……。

ということで、今更ながら妻の政子になんのアプローチもしていなかったことを思い出し、愛の告白をしてみることに。しばらく時間がかかりますが、うまく行けば「魂の伴侶」という恋愛関係になることができます。

『CK3』の主人公は特定の勢力ではなく、あくまで個人のキャラクター。こうした人間関係作りも楽しいポイントです。

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▲伊豆のプレイボーイ、スケコマシの佐殿の面目躍如。惚れた腫れたの話なら任せておきなさい。

恋愛中にはさまざまイベントが発生するのですが、選択肢の結果などによって関係構築の成功率などが変化していきます。

今回はなんと仇敵との和解を促すイベントが発生。史実では競争相手として最後には殺し合う仲になってしまった木曽義仲(吉仲)と仲直りできる機会を提供してくれました。

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確かに、平家という同じ仇敵を前にして、源氏一門同士でいがみ合っているなんて馬鹿らしいことではないか!いとこ殿よ、我らはもはや敵ではない! 後世には尼将軍として鎌倉幕府の創建を支えた北条政子、さすがの内助の功である。

そのほかのイベントでも正解選択肢を連続で引いて、成功率は70%を突破。ついに恋愛イベントもクライマックスに。さあ、飛び込んでおいで政子!

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まさかの計画失敗……!

獣に襲われていた政子を助けに入ったはずが、死んでいるのは獣の方。当の政子からは「まさか私が自分の身も守れないとでも?」と冷ややかすぎる返答。頼朝くんには悪いけど、解釈一致すぎてめちゃくちゃおもしろい。

だが傷心を癒す間もなく、次の瞬間に思いもよらない事態が発生。

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主上を専横して横暴を極める平清盛に対し、源氏の同門である源義基(石川吉元)が決起したのだ。

だがまて、しばし! ここで「これぞまさに天佑神助!」とばかり一も二もなく飛びつくのは愚か者である。まずがいったん落ち着いて画面を切り替える。

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清盛側、兵数およそ1万8000、対する反乱勢力、兵数およそ2万8000……。
よし、勝ちそうだな!

「あなたは一人ではない!」

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コウモリ野郎と誹られようとも、負ける戦いをするのは愚か者だけ。戦うなら必ず勝ち馬に乗るべきなのだ。仏の嘘の嘘を方便と言い、武門の嘘を軍略と呼ぶ。

兵数にまさる源氏方の軍勢は快調に勝ち進み、ついには京の都を包囲。完全勝利の目が見えだしたその時、ある知らせが頼朝の元に届く。妻・政子が妊娠したのだ!

他の男によって……

『Crusader Kings III: All Under Heaven』レビュー・評価・感想|TGS2025_027

恋愛関係の構築失敗から、まさかの寝取られ……。

そう、筆者も頼朝プレイに興奮してすっかり忘れていたのだが、『CK3』世界は、誰も彼もが己のリビドーの赴くままにあっちへホイホイ、そっちへホイホイしていく大淫獄時代。あらゆる人間が人妻の貞操を狙っているのだ。

もちろん、頼朝も武士の端くれ。サムライたるもの、舐められたらもちろん族滅だ。いったいどうやって復讐しようかと考え始めた……ものの、それは実現することはなかった。

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暗殺されてんじゃねーか!

それも首謀者はさっき仲直りしたはずの木曽義仲かよ!!源氏同士で仲良くしようって言ったじゃないですかー!

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というわけで、今回のレポートはこちらで終了になります。むべなるかな。
まさか30分でここまで綺麗にオチがつくとは全く思ってなかったので、筆者自身衝撃の結末でした。

とはいえ、ゲーム自体はこのまま頼朝の後継者、この場合はひとり娘である大姫(イチマン)に代替わりして続けていくことが可能です。このゲームの主人公は個人のキャラクター……とさきほど説明しましたが、正確にはそのキャラクターが属する「家門」こそが本作の真の主人公

タイウィン・ラニスター曰く、「お前が死んでも家名は残る」。家の栄誉を求めていくのが『Crusader Kings III』というゲームなのです。

なお、今回は全く紹介できませんでしたが、最新DLC『All Under Heaven』は中国でのプレイもかなり楽しそう。これまでの「闘争」システムを包括するような「状況」というシステムが入っており、「王朝の循環」という気になるモノもありました。

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そのほかにも、ヴァイキングとしてパリやローマを劫略したり、チンギス・ハーンになってユーラシア全土を征服したり、もちろんタイトル通り十字軍戦士となって戦ったり……とにかく中世の世界を舞台に、さまざまな遊び方ができるのが『Crusader Kings III』というゲームです。『All Under Heaven』で日本も追加され、公式日本語対応もあるとのことなので、いまが始めどきかもしれませんよ。

編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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