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なんでもできるMMORPG『逆水寒』で「最強の乞食」を目指そうとしたら、乞食になるまでが超ハードだった←???レベル上げ、ゲーム内コンテンツ踏破、友だち作り、装備強化、大規模対人戦──乞食は一日にして成らず

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古代中国を舞台にした超大型MMORPG『逆水寒』

本作にはなんと、1億通りの遊び方と100の生き方があるらしい。農家、建築家、演奏家、釣り人……多様な選択肢がある本作では、なんと選択肢のひとつに「乞食」が存在している。

最近観た映画に、『チャウ・シンチーのキング・オブ・カンフー』※】というのがある。この映画の主人公は、「カッコいい乞食」。カッコいいというのは、単純に顔がいいという意味ではない。その生きざまである。

この世界の乞食はお互いを助け合う互助組織に属しており、「天下が我が家、乞食はみな家族」という理念を持って行動する。金がなくても、ツキがなくても、食べものがなくても、服がなくても、いざという時は権力に虐げられている者たちのために戦い、そこらへんで寝て、起きて、自由気ままに生きていく。

※『チャウ・シンチーのキング・オブ・カンフー』:
映画『小林サッカー』で世界に名を轟かせた周 星馳(チャウ・シンチー)氏が主演の映画。
親の金で好き放題に遊び回っていたボンクラお坊ちゃんの「ソウ」は、圧政に反乱する組織の女性に求婚するため、猛勉強……というよりも猛不正し、約1300年にわたり行われた官僚への登用試験・科挙の合格を目指す。しかし、武術で極めて優秀な成績を残したものの、筆記試験での不正がバレて皇帝から「一生を物乞いとして生きろ」と厳しい処罰を受けることに。
財産を家ごと没収されたソウは父とふたりで路頭に迷い、芸で生計を立てようとするも「違法な商売だ」として全身の関節を砕かれ再起不能に。息子の代わりに父は献身的な物乞い生活を続けるが病床に伏せ、ついには犬の飯まで食らうようになったソウ親子は女の所属する物乞い組織に加入する。
組織で療養の日々を過ごすソウは、かつて金持ちだった頃に自らが施しをしたみすぼらしい乞食と再会する。その乞食は乞食の中でもトップクラスの存在、ソウは彼に次代の「乞食の王」に任命される──という物語。
ちなみに、めちゃくちゃ面白い映画なので超オススメです。アマプラで観れます。

そんな姿に胸打たれた筆者は、これ幸いと本作で「乞食」プレイをすることを決意した。

……のだが。

本作で「乞食」になるまでの道のりは、めちゃくちゃ、本当にめちゃくちゃ険しかった。

お椀を片手に地面に座り、道ゆく人々に恵みを乞えば、その日から晴れて乞食!とはいかなかった。「乞食は一日にして成らず」ということである。というわけで、本稿では幾多の困難を乗り越えながら、『逆水寒』で乞食を目指す筆者の様子をお送りする。

なお、クローズドベータテストの参加段階で筆者以外はマジで誰も乞食になろうとしてなかったので、今後本作で乞食になりたい人も、ぜひ参考にしていただければ幸いだ。

取材・文/TsushimaHiro
編集/anymo実存

※この記事は『逆水寒』の魅力をもっと知ってもらいたいNetEase Gamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


「乞食」のなりかたをAIに聞いてみた

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さて、このゲームで真の乞食になるためにはどうしたらいいのだろうか。

それを調べるため、「百業巻」(本作に多数存在するプレイヤーの役割一覧的な機能)を開いてみる。

本作はバトルジョブ以外にも「身分」というものを任意に選択可能。商人、薬師、絵師といったさまざまな役割をひとつ設定しておくことができる。選び放題だ。

今回、筆者が目指している「乞食」も、この身分の中のひとつ。

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さっそく身分「乞食」を発見。
「何の憚りもなく、腹を満たして歌を歌い、杖でお椀を叩きながら九州を巡る。」
いいじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので。

この「乞食」を解放する条件は「身分:採掘がレベル1に達すること」と「???」だ。

「???」とは。

じつは、本作の数ある身分の中には詳細な条件が明記されていない「隠し身分」というものが存在する。「乞食」もその中のひとつであり、乞食になるための方法は、ユーザーが独自に発見するしかない。

本作はまだクローズドβテスト段階なので、もちろん日本語の攻略情報などもガッツリ不足している。何のヒントもない状態から「乞食」へのジョブチェンジの仕方を探るというのは、雲をつかむような話だ。

この未開拓な感じ……ワクワクしてきた。

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そこで、筆者は本作に登場する会話機能の搭載された“AI“【※】に注目した。

※『逆水寒』のNPCに搭載されたAI:
約10年かけてNetEase Gamesが自社開発したもので、『逆水寒』にてようやくお披露目となった。プレイヤーが自発的にNPCに話しかけることが可能。NPCにはそれぞれ性格や個性が設定されており、独自の回答を出してくれるほか、好感度システムも実装されており関係性を築きあげられる。

この機能は、簡単に言うと「町中を歩く一部のNPCとテキストで会話できてしまう」というもの。

さっそく、「物乞い」のなりかたを地域の住民に直接尋ねて、聞き込み調査をはじめてみよう。人気の町娘、潤児ちゃんに聞いてみる。

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このアングル……『オブリビオン』とか『スカイリム』の会話シーンを思い出す。

筆者:
物乞いのなりかたを教えてください。

潤児ちゃん:
乞食?あなたがこんなことを聞くなんて、本当に困ったわね。お金がないの?

シンプルに心配されてしまった。

潤児ちゃんは、心優しいまともな人物であった。諦めずに、ほかの人にも聞いてみよう。次は玉露さん。お茶みたいな名前の美女だ。

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筆者:
どうすればこの世界で「物乞い」が可能になりますか。

玉露さん:
それは知りません……とにかく、あなたが物乞いになるべきじゃないのは間違いありません。

はっきりと「なるべきじゃない」と、100億パーセントの正論で諭されてしまった。

いや、俺がおかしい質問をしているのはわかる。
わかるんだが……せめて、ヒントだけでも……!

そこで筆者は、新聞屋として働く青年に話を聞いてみることにした。情報を取り扱う新聞屋なら、何かしらの乞食情報を掴んでいてもおかしくはないだろう。

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筆者:
物乞いになるためには何をしたらいい?

新聞屋さん
失業しているなら役所に行って生活保護を申請すればいいんじゃない?

いや──

まともすぎる────

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途方に暮れて、美しい景色を眺めることにした。

北宋時代【※】の中国に息づく住民たち、まともすぎる。

そもそも、この時代に生活保護条例があったのかどうか?
いや、そもそも生活保護条例があったら、この時代に物乞いの互助組織なんて出てこないか?

それにしても、AIたちがまともすぎて行き詰まるなんてことがあるなんて。
「乞食になりたいのですが」とNPCに聞きまくるありえない聞き込み調査は、この先に待ち受ける苦難を予想させる展開となった。

※北宋時代:
中国の王朝。960年から1127年あたりの時代で、中国では時代劇の舞台としてよく取り上げられる。『逆水寒』は北宋時代後期をモデルに“武侠”の要素を取り入れている。武侠というのは、気功や武術で元素の力を操り、空を飛ぶこともある中華ファンタジー的なジャンルだ。

乞食になるための条件、多すぎ

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暖ちゃん。喋れる人形さんらしい

しかし、案ずるなかれ!

本作にはゲーム内に「ユーザーの質問に対して自動的に回答してくれるQ&A的な機能が搭載されたAI」も実装されている。
その名は暖ちゃん。

「何でも知ってるよ」という暖ちゃんに聞けば、あらゆることがわかるはずだ。ということで、乞食の情報を聞いてみた。

ところが、なんと本作「乞食」がNGワードとして設定されている。AIに「乞食のなりかたを教えて」と入力すること自体ができないようになっていたのだ。

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ゲーム内には「乞食」ってがっつり書いてあるのに……?

手詰まりじゃねーか!

しょうがないので、「乞食」というワードを避けて「物乞いのなりかたを教えてと聞いてみる。

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「この質問、小暖も分からないんです~うぅぅ~」

なんでもわかるんじゃなかったんかい~いぃぃ~!

ハァ……ハァ……落ち着け……これくらいは想定内だ。

暖ちゃんに向けてさまざまな乞食アプローチを仕掛け続けるが、ほぼ8割がた「分からないです~うぅぅ~」とのこと。

試行錯誤しつつ質問を投げかけていく中で、筆者はとあることに気づいた。
文章ではなく、「物乞い」と単語で入力すると暖ちゃんが反応を示したのだ!

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暖ちゃんは「物乞い」とは本作におけるスキルのひとつであると解説してくれた。
で、「スキル:物乞い」を解放するためには、「江湖見聞録-七日間の旅」という初心者向けのやり込みコンテンツの進捗を“30”に到達させる必要があることも教えてくれた。

いまいちよくわからないが、“30”ってどれくらい大変なのだろうか?

さっそく、その条件を確認してみることにしよう。
主な内容は、以下の通り。

・レベル52になる(当時のカンストレベル61に近い)
・複数箇所のファストトラベルのポイントを解放する
(一度、自力で訪れて解放する必要がある)
・友達を1人追加する
・装備を1回鍛造する(強化要素)
・全身の装備強化レベルを5にする
・任意の身分レベルを2にする
・3対3のPVPに参加する
・多人数参加型PVPに参加する
・ありとあらゆるサブコンテンツを一通り触る
・ありとあらゆるダンジョンをクリアする…etc

いや多いな!!!!!

乞食って、なろうと思えば即座になれるもんじゃないの?

しかも、友達も作らないといけないの?

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乞食になるまでの修行パート

乞食は一日にして成らず。

筆者は(スキル:乞食を手に入れるため)「江湖見聞録-七日間の旅」を攻略すべく、『逆水寒』のありとあらゆるコンテンツに触れまくった。

悪漢や山猿と戦い、洞窟で伝説の剣を引き抜き、雪山で想い人を探す女の子を救助し、貧しい出身ながら出世を狙う物書きの青年と出会い……とにかくいろんなことがあった。

しかし、その過程はあまりにも濃密すぎたので、本稿ではすべて割愛する。

筆者がこの過程で常に抱いていた気持ちは、乞食になるための条件が「ゲームをやり込む」ってどういうこと? だった。

誰も恵んでくれねぇ

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進捗30まで進んだ「江湖見聞録-七日間の旅」
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ようやく正式に乞食できるようになった

山を越え、谷を越え、苦労してようやく「乞食」のスキルを入手した。
とうとう、本当に「物乞い」が可能になる、感動の瞬間だ。

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記念すべき乞食の初陣

さっそくスキルを使用してみると、「皆さん、どうか私を哀れんでください。もう三日も食事をしていません」と自動的に台詞が発せられた。

このセリフは他のプレイヤーにも見える状態となっており、この状態の物乞いに近づくことで、他プレイヤーがゲーム内のお金を恵むことができる仕組みだ。

……しかし、どれだけ待っても誰もお金を恵んでくれない。
おかしいな。みんな、筆者の前を素通りしていく。

ここで筆者は、ふんわりとひとつの違和感に気づいた。

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主人公の装備が、いかつすぎた。

こんな「ス〇リート〇ァイターの新キャラですみたいなバッキバキの筋肉を晒してたら、だれも恵んでくれないだろう。

ということで、見た目もなんとかしよう。

おもむろに衣装一覧を開く。

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どれもこれも小綺麗なものばかりと思っていたら……あった!ボロッボロの布切れ!これなら乞食プレイしていても違和感がない、まさに物乞いのための服(?)だ。

衣装「乞食の天地」
⇒解放条件 不明

また隠し要素かい!!!

せめてボロい状態から物乞いプレイをスタートさせてくれよ!

しかも、どうやら「物乞い」スキルを使ってもNPCからはお金を恵んでもらうことはできない様子。実際にプレイしている人間のプレイヤーから、マジのゲーム内通貨を恵んでもらう必要があるようだ。

え!?あと1週間ほど(記事執筆時点)のCBT期間内で!?

果たして、筆者は本当に乞食になれるのか……?

つづく。

編集・ライター
MOTHER2でひらがなを覚えてゲームと共に育つ生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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