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あの『死霊館』シリーズが完結!? 最新作『死霊館 最後の儀式』を最大限に楽しむために過去8作品を一気に振り返ってみた。上品な見た目に反して毎回体を張る肉体派なウォーレン夫婦から目が離せない

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2013年公開『死霊館』

<ざっくりストーリー>
5人の娘を持つペロン一家は念願の一軒家を購入する。しかし、飼い犬は家に入ろうとせず、翌日から怪現象に襲われる(犬が犠牲になってしまうためご注意ください)。

次第に娘たちにも被害が及ぶようになり、心霊研究家のウォーレン夫妻に調査を依頼。夫のエドは非聖職者でありながらカトリック教会が唯一公認している悪魔研究家で、妻のロレインは透視能力を持っている。ウォーレン夫妻は、ヴァチカンから悪魔祓いの許可を得る証拠を集めるために調査を開始した。

家にまつわる血塗られた過去が明らかになってくると、自宅に保管していたアナベル人形が猛威を振るい、ウォーレン夫妻のひとり娘であるジュディにも危険が迫る。

<見どころ3選>
・ウォーレン夫妻の頼れる感
・当時の技術で最善を尽くすDIY悪魔検知
・昼間の明るい時間帯でも続く緊張感

拝啓 悪魔さま
繰り返しのお願いとなりたいへん恐れ入りますが、「子ども」「動物」「妊婦」を狙うのはやめていただけないでしょうか

冒頭ですぐに思い出しました。そうだ、犬が犠牲になってしまうんだった。苦しむ姿は描かれていませんが、悲しい結末を迎えてしまうためご注意ください。

ということで第1作目の『死霊館』ですが、改めて視聴したらダントツに好みでした。

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THE CONJURING

まずウォーレン夫妻の調査の姿勢に胸を打たれます。周りから理解を得づらい怪現象に対して真摯に向き合う姿に感動しました。実在した夫婦の実話がベースになっていることもあり説得力があります(エンドロールでご本人の写真や一部の調査記録も公開される)。

実際の調査は70年代の技術を駆使して行っていきます。たとえば、悪魔が現れると周りの気温が低くなるため、その気温差を感知したときにフラッシュが作動するカメラを部屋のあちこちに設置したり(悪魔が通るとフラッシュの光で位置を把握できる)、ブラックライトで指紋や足あとを追跡したり、手作りながらも実用的な検知方法は見事でした。

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なにより、昼間の明るい時間帯なのに「なにか出そう」という緊張感が続くところがよかったです。かくれんぼの目隠し版みたいな遊びをするシーンが、健全な遊びなのにめちゃくちゃ手に汗握る遊びになっていたのでぜひ見てください。

筆者は今回、作品ごとの繋がりを確認したい意図で時系列順に視聴していますが、初見の方は第1作目の『死霊館』から見ていただくとシリーズのよさが伝わりやすいのではないかと感じました。

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2019年公開『アナベル 死霊博物館』

<ざっくりストーリー>
さまざまな怪現象を発生させるアナベル人形は、ウォーレン夫妻の自宅の地下に厳重に保管(というより封印)されている。そこにはこれまでのさまざま調査や事件に関わった呪物も並べられていた。どうやら処分するより “器” に入れておいたままのほうが安全らしい。本当か?

ある日、夫妻が家を空けることになり、ひとり娘のジュディの世話をメアリーに依頼する。そこにメアリーの友人であるダニエラが強引に加わり、最初は警戒していたジュディとも次第に打ち解けていく。しかしダニエラの目的は、呪物がコレクションされている地下室だった。

<見どころ3選>
・容赦なく家を荒らすダニエラ
・大人がいない環境での脅威
・コレクションが動き出して大暴れ

ダニエラが「ダメ」と言われていることをことごとく破っていきます。地下室に入るわ、アナベル人形を外に出すわ、呪物を勝手に身に着けるわ、暴走が止まりません。ウォーレン夫妻は怒っていい。

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これまで怪現象をどうにか回避しようと務めてきたみんなですが、ダニエラは自ら悪魔や霊に会いに行きます。そんな甲斐あって地下室に眠っていた呪物たちが大暴れしてしまい、大人がひとりもいない環境での脅威はいままでと違った緊張感がありました。

ジュディは母親のロレインと同じように霊視ができるため、小さな体で大健闘します。両親の姿を見てきたからなのか、勇敢に対峙する姿勢に胸が熱くなりました。

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呪物たちが大暴れする様子は『ナイト ミュージアム』のようなエンタメ性があります。シリーズのなかでは優しめの怖さかもしれません。

2016年公開『死霊館 エンフィールド事件』

<ざっくりストーリー>
ロンドン北部のエンフィールドという町にシングルマザーと4人の子どもたちが暮らしていた。子どもたちの父親は不倫の末に出て行ってしまい、養育費も滞っているため経済的な余裕はない。そんななか、11歳のジャネットは寝ているあいだに別の部屋に移動してしまう夢遊病のような現象に悩まされていた。

どうやらジャネットは、前の住人である「ビル・ウィンキンス」という老人に取り憑かれているようで、通報を受けた警察も怪現象を目撃する。次第に取材を受けるほど有名になっていった。しかしそれが家族による “でっちあげ” ではないかという見解もあり、ウォーレン夫妻はイギリスまで調査に向かう。

<見どころ3選>
・ロレインのヒアリング能力
・エドとロレインの思いやり
・呼ぶと律儀に出てくる霊

11歳の女の子に72歳の老人の霊が取り憑くという不憫すぎる状況。ジャネットは学校でも居場所を失い、すっかり疲弊してしまいます。そりゃそうだ。

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ロレインはジャネットにヒアリングを行うのですが、心を閉ざした少女に対する声かけが優しすぎて涙が出ました。まず「自分もそういう(霊的なものを見る)経験をしている」ということを伝え、人を頼ってほしいことや霊の狙いをしっかりと説明します。

ウォーレン夫妻の誠実さにいつも涙腺が緩むぜ。

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この夫妻の素敵なところは、直接愛を語り合うというより、それぞれが周りの人に対して「いかに夫が・妻が信頼できるか」ということを言い広めているところ。ジャネットはロレインからエド(夫)の “のろけ” を聞き、エドからロレイン(妻)の “のろけ” を聞き、そこには愛が溢れていてかなり癒されました。

また、今回のおじいちゃん霊は呼ぶと律儀に出てきてくれるところもよかったです。『死霊館のシスター』『死霊館のシスター 呪いの秘密』を見ておくとより繋がりを感じられるのでおすすめ。

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2021年公開『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』

<ざっくりストーリー>
ウォーレン夫妻は、8歳のデヴィッドの悪魔祓いを行う。しかし、けっこう抵抗されてしまい、今度はデヴィッドの姉の恋人であるアーニーに悪魔が憑依してしまった。アーニーは悪魔に操られるように知人を22度も刺して殺害する事件を起こしてしまう。

事件当時のアーニーに悪魔が憑いていたことを確信しているウォーレン夫妻は、アーニーの死刑を回避するために悪魔の実在を証明しようと試みる。

<見どころ3選>
・教会ではなく裁判所への証明
・ロレインの殺人現場再現
・ウォーレン夫妻の馴れ初め

悪魔に取り憑かれて行った殺人は無罪になるのか

これまでは基本的に悪魔祓いの許可を得るために調査を行ってきたウォーレン夫妻ですが、今回は「殺人罪を回避するための証明」という毛色の異なる案件です。そのため悪魔と対峙するだけではなく、法廷でも有利になるよう調査を進めていかなければなりません。

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ここまで8作品をまとめて視聴していることもあり、これまでと異なる目的に新鮮さがありました。

ロレインは過去の調査でも霊視で殺人現場の再現をしてきましたが、今回はより激しくなっていたように感じます。ウォーレン夫妻はふたりとも献身的なので、少し休んでほしいと思っちゃう。

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また本作ではウォーレン夫妻の馴れ初めも語られました。高校生のころ友だちと映画館に行ったロレインは案内係をしていたエドと出会ったそうです。『アナベル 死霊博物館』ではロレインが若いころ親に内緒で当時の彼氏(エド)と3日間外泊していたことを明かしていましたが、そういう話はなんぼあってもいいですからね。もっとください。

ウォーレン夫妻のことが好きすぎて、完結編でもこのふたりを見ることができるのは本当にうれしいです。

2025年公開『死霊館 最後の儀式』

<ざっくりストーリー>
ウォーレン夫妻の娘ジュディは生まれたときに息をしていなかったことから医師たちは死産だと諦めていたが、奇跡的に呼吸を取り戻す。ウォーレン夫妻にとってジュディはなによりも大切な存在であることは間違いない。

父親の誕生日パーティーに恋人のトニーを招待するほどすっかり大きくなったジュディは、日に日に “見える” ことが多くなっていた。母親譲りで霊感が強いジュディはペンシルバニアのとある家に引き寄せられるように向かってしまう。

<見どころ3選>
・娘の恋人にちょっと意地悪をするエド
・濃厚キス現場を母親に見られるジュディ
・ウォーレン一家の「愛」と「信念」の先

10月17日より公開となった『死霊館 最後の儀式』は、いままであまり描かれてこなかった愛娘のジュディを中心に展開します。そのため今回のウォーレン夫妻は「父親」と「母親」になっており、新しい一面が垣間見れました。ファンサ回です。

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とくにエドは娘の恋人に対してわざと名前を間違えたり、服装を茶化したり、けっこうあからさまに意地悪をしていて「これって全世界共通なのか」と少し驚きました。アメリカってもっとあっさり受け入れる文化なのかと思っていたのですが、そうでもないんですね。

いっぽうジュディはそんなエドの父親ムーブをまったく気にとめず、実家で恋人のトニーと濃厚キス。そのド最中に母親のロレインが入ってくるという親フラに思わずちょっと声が出てしまいました。

このように本作は、エド・ロレイン・ジュディの「家族としての姿」が丁寧に描かれています。

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これまでジュディは両親の仕事に対してなにかを言ってくることはありませんでした。ときには世間からの批判も受け、学校での肩身も狭く、常に呪物が地下室に並べられている特異な環境なのに。

しかしここにきてようやく、ジュディの本音も明かされます。

親としてジュディを守りたいエドとロレイン vs 自分の気持ちのままに行動するジュディに、これまでのシリーズを追ってきた身としては涙が止まりませんでした。

『死霊館』シリーズが扱っているのはホラーではありますが、いつもそこにあったのは「愛」や「信念」といった、あたたかい感情だったと思います。実在したウォーレン夫妻の原動力もきっとそういった感情だったのではないでしょうか。

最新作を鑑賞して、ますますこのシリーズが大好きになりました。ホラー映画でこんなに満たされた気持ちになったのは初めてかもしれません。この記事で少しでも魅力が伝わったらうれしいです。

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編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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