ファンタジー世界の生き物を討伐、解体、調理するための知識を「現実的に」描いた架空マニュアル本『モンスター解体図鑑』。本企画は気になるこの本の中身から、一部のモンスターを抜粋して紹介していく。
今回は第3回となり、モンスターは「コカトリス」。巨大なニワトリに似た外見だけに鶏肉っぽい味であることは想像がつくが、より野性味を帯びた旨みが特徴らしい。全長は2.6~3メートル、体重は150~180キロにもおよび、かなり食べ応えがありそうだ。
コカトリス(危険度C 魔法属性・火)
生態
乾燥した岩場、低木帯、半砂漠地帯などに棲み、昼間に活発に活動する。巨大なニワトリに似た外見に、ウロコに覆われた頑丈な尾をもつ。
飛ぶことはできないが、鋭い嘴と強靭な脚を活かし、跳躍や突進によって小動物や爬虫類を狩る。嘴の内側には振動感知器官があり、地面下の動きを察知することができる。
単独行動で縄張り意識が強いため、他の個体との接触を避ける性質が強い。侵入者に対しては金属音のような甲高い鳴き声で威嚇する。周囲の石を巧みに動かして巣を保護する行動も確認されている。
おすすめ料理 蛇鶏肉のよだれ鶏風香辛冷菜
~香油が閉じ込める淡い旨味の居場所~
蒸したコカトリスのモモ肉を冷却し、香辣油と絡めた冷菜料理。香辣油は、焙煎ごま油に花椒、刻み唐辛子、砕いた八角、干しナツメ、砕いた桂皮などをじっくり低温で熱して抽出した香味油。
これに黒酢とナツメ由来の果実酢、醤油ベースの甘辛ダレを合わせ、刻み香草と炒った白ごまを加えて仕上げる。
香辣油の芳ばしさと唐辛子の辛味、山椒の清涼感が襲い、すぐにコカトリス特有の、鶏肉よりもやや野性味を帯びた旨味がじゅわっと広がる。
肉の臭みを消し、保存性を高める工夫がなされており、暑熱環境や疲労時、食欲不振時にも食べやすい。
採取可能素材
羽根
赤身中心で筋繊維が緻密。脂肪は極めて少なく、風味は獣肉に近い。
肉
滑り止めや摩耗に強い革材になる。荒地用の手袋や作業靴の補強材、軽量防具としても使用される。
皮(尾部)
細かく砕いて農耕地の土壌改良剤として利用可能。
解体手順
step 01 皮を剥ぐ
羽根を全て毟り、鳥部分とヘビ部分の境目に切り込みを入れて、ヘビ部分の皮を剥ぐ。
手羽と足先を切り落とす。
step 02 内臓を引き抜く
頭と尻尾を切り落とし、肛門のまわりに切り込みを入れて肛門ごと内臓を引き抜く。
step 03 切り込みを入れる
仰向けにして脚の付け根を切り落とす。うつ伏せにして腰と背骨に沿って十字の切り込みを入れる。
step 04 上身を切り離す
切り込みを入れたところから肋骨に沿って刃を入れて肩甲骨を外し、上身を切り離す。
step 05 腕の肉を取る
切り離した上身を裏返して、胸骨の中心の突起に沿って切り込みを入れ、切り込みから骨に沿って刃を入れる。
手羽を切り離す。
step 06 尻の肉を取る
腰の切り込みから腰の骨に沿って刃を入れ、片方ずつ切
り離す。