スライムってどんな味がするんだろう──?
ゲームやアニメのファンタジーものを中心に、「モンスター」という存在はすっかり一般的になった。今ではモンスターが主役の作品さえもメジャーであり、創作の世界には欠かせない存在となっている。その手の創作が好きな人間にとっては、ある意味では海外の実在する動物よりも身近な存在と言えるかもしれない。
では、もしもモンスターが実在したら、まず最初に確かめてみたいのは……
「味」だ。「味」しかない。むしろそれ以外はどうでもいい。タコやらウニやらイナゴやら、白子にフグにザザムシまで食べてきた俺たちなら、スライムもバジリスクもクラーケンもきっと食べられる……!
というわけで、そんな夢物語を疑似的に叶えてくれるのが株式会社カンゼンから9月11日に発売された書籍『モンスター解体図鑑』だ。
『モンスター解体図鑑』は、ファンタジー世界の生き物たちを討伐、解体、調理するために必要な知識を「現実的に」描いた架空マニュアル本だ。
皮剥ぎや部位の切り離しといった実際の食肉加工でも行われる工程を、ファンタジーの生き物たちにも適用。そこから得られる素材や、モンスターの危険度などにも触れていく。
さらにコカトリスやサハギンの肉を使った“おいしい食べ方”まで収録。架空の動物ながら、リアルな分析によって「狩る・さばく・味わう」楽しみを疑似体験できる。
そして今回、カンゼン様から『モンスター解体図鑑』の一部モンスターを抜粋し、特別に本誌上で掲載する許可をいただくことができた。
この企画ではスライム、スケルトンなど10種類のモンスターについて、実際の書籍から一部を抜粋する形で掲載していく。合計10日間にわたり、毎回異なるモンスターを紹介する予定なので、ぜひお目通しいただけると幸いだ。
スライム(危険度E 魔法属性・水)
生態
熱帯から温帯にかけての水辺に群棲していることが多く、生息場所によって亜種が存在する。食性は非常に幅広く、動植物はもちろん、鉱石や骨、腐敗した死骸なども捕食対象となる。
無性生殖で、分裂しながら個体数を増やす。強力な攻撃手段はもっていないが、外敵からの物理攻撃を受けると分裂し、数で相手を包囲する傾向がある。
複数の小型個体が協調して敵の顔面を覆い、呼吸を妨害する行動も報告されている。さらに、合体して大きな個体になって相手を押しつぶしたりすることもある。核を破壊することで致命傷を与えることができる。
おすすめ料理 粘膜魔あんかけ丼
~温かき余韻と旨味を封じるとろみ~
出汁に醤油や酒、みりんを加え、スライムの体液でとろみをつけたあんを具材と絡め、ご飯の上に盛り付けた東方の料理。具材によっていろいろな味が楽しめ、肉や野菜などの具材を一口大に切って炒めたものが多い。ご飯を麺にしても美味。
保温性に優れていて、冬場に外で食べても冷めにくい。冷めても味が劣化しにくく、夏場には冷製アレンジがおすすめ。とろりとしながらも弾力があり、口の中に入れると溶ける。
スライムの体液を使うことで野菜のみずみずしさ、キノコの香りや深みが増し、肉の臭みも消えて旨味が引き立つ。
採取可能素材
核
微弱な属性魔力を帯びている、比較的柔らかめの核。魔法の属性はスライムの種類によって変わる。
スライムの核を乾燥させて粉にしたものを液体に入れるとゲル状に固めることができる。食用には適していない。
体液
とろみのある液体。魔力を流すことで時間は相応に必要だが、あらゆるものを消化する。
下水や汚物、ごみの処理にも利用されている。コーティング剤や化粧品など、いろいろなものに加工することができる。料理にも利用されている。
解体手順
step 01
容器に入れる
核をスライムから取り出す前に、密封できる容器の中に入れる。
step 02
核を取り出す
その状態で壊れた核をゆっくりとスライムから引き剥がす。
step 03
ふたを閉める
しっかりとふたを閉める。丁度良い大きさの容器がないときは小分けにしても良い。
スライムの体液の活用例
コーティング剤
スライムの体液に植物性油を混ぜると水を弾くコーティング剤になる。これを生地の表面に塗ることで、水の侵入を防ぐことができる。テントや傘に使用される。
食品
スライムの体液は冷やすと固まる。果汁を混ぜて冷やすと、いろいろな味のゼリーを作ることができる。
化粧品
スライムの体液に水、油、花や果汁を混ぜ、蒸留することで肌の潤いを保つ化粧水を作ることができる。