ファンタジー世界の生き物を討伐、解体、調理するための知識を「現実的に」描いた架空マニュアル本『モンスター解体図鑑』。本企画は気になるこの本の中身から、一部のモンスターを抜粋して紹介していく。
今回は第6回となり、モンスターは「キマイラ」。ライオン、ヤギ、ヘビの3つの頭を持っているだけあって、3種類の肉の複雑な味わいが楽しめる。
ヤギ部分は脂肪分が多くジューシー、ライオン部分は噛みごたえがあり、ヘビ部分はさっぱりとしているのがそれぞれの特徴。3つの味覚が混ざり合った複雑な味を堪能できるハギス【※】がオススメとのこと。
※ハギス:内臓を胃袋に詰めてゆでた料理。現実ではスコットランドの伝統料理として、羊の内臓と胃袋でつくられる。
キマイラ(危険度B 魔法属性・火・土・毒)
生態
ライオンの頭部と胴体、ヤギの頭部と後脚、ドラゴンの翼をもち、尾部は毒ヘビの頭部になっている。
険しい岩場や山岳地帯に生息し、翼を活かして断崖や高台に出入りすることで、外敵からの接近を防いでいる。高所で待ち伏せて獲物が近づいてきたら俊敏な動きと滑空を活かして襲いかかる。
主に大型草食獣を狙うが、小動物や果実、キノコなども口にする雑食性。基本的に単独行動で、強い縄張り意識をもっており、積極的に威嚇や攻撃を行う。
もともと人工的に生み出された合成獣だが、近年では野生個体が確認されている。
おすすめ料理 三頭獣のハギス
~獣の魂を宿す3 つの味覚~
ライオン肉、ヘビ肉、ヤギ部の内臓を茹でてミンチにし、オーツ麦、刻んだ玉ねぎ、ハーブとともに胃袋に詰めて茹でた料理。
強い匂いを放つ素材も多いため、香草や酒での下処理が必要。
味わいは濃厚かつ複雑で、特にヘビ肉の淡白さが全体のバランスを取っている。噛みごたえのあるライオン部分、脂肪分が多くジューシーなヤギ部分、さっぱりとしたヘビ部分と、3種の特徴が同時に楽しめる。
特にピート香のあるスモーキーな銘柄のウイスキーと相性抜群で、ウイスキーを振りかけて食べることも。燻製や塩漬けもおすすめ。
採取可能素材
肉
ライオン、ヤギ、ヘビの肉が取れる。
野性味が強く、クセのある香りが混じるため調理には工夫が必要。
皮
ライオン部分は重装防具や盾、丈夫な手袋やブーツに、ヤギ部分は軽装鎧や防刃ベスト、鞄、ベルトに、ヘビ部分は軽装防具や装飾品になる。
たてがみ
熱と摩耗に強く、しなやかで耐久性が高い。弓の弦の補強材や防具の縁取り素材になる。
飛膜
軽量で強靭かつ魔力を通す性質があり、魔導士の飛行マントや儀式用の帳などに利用される。
解体手順
step 01 皮を剥ぐ
腹の中心線に沿って切り込みを入れライオン部やヤギ部の毛皮、ヘビ部の皮を剥ぎ取る。
step 02 内臓を取り出す
腹から胸の上まで開き、内臓を取り出す。
step 03 四肢を切断する
ヤギ部の後脚、ライオン部の前脚を付け根から切断する。
step 04 頭部を切断する
ライオンとヤギの頭部、尾の先にあるヘビの頭部を切り離す。
step 05 尾と翼を切り離す
毒腺の破損に注意しながら毒ヘビの尾を慎重に切り離し、翼も根元から切り離す。
step 06 肉を取る
骨に沿って刃を入れ、肉を切り離す。部位ごとに分け、用途に合わせて整理する。



