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『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は、どうしてこんなに「気持ちいいアニメ」なのか?鬼才・亀山陽平監督に聞く、3分半に詰め込んだ映像の快楽と爽快感

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「なかよくしましょう」に込められた監督の想い。「みんな違ってみんなクズ」なキャラたちでも、お互いを知れば仲良くできる

──『ミルサブ』は「意図なし、主義なし、主張なし!」とキャッチフレーズが付けられていますが、この作品を作るうえで、監督自身が描きたかったテーマのようなものはあったりするのでしょうか?

亀山監督:
「ある程度、他人の立場を理解して仲良くするのって大事だよね」みたいなテーマが、話の流れとしてはあるのかもしれません。

アカネとカナタ、カートとマックスのような、世の中的にドロップアウトしてるとみなされる人たちにもある程度事情があり、その背景を知ることで「仲良くしよう」という感情が生まれてくるような……。

だから、「仲良くしましょう」が作品のテーマにはなってると思うんですけど、それをあまり映像で伝える自信がないから、作中に出てくるバッジにそれをそのまま書いちゃうっていう(笑)。

すごく意識の低いアプローチをしてるなとは思うんですけどね。

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』亀山陽平監督インタビュー。会話の面白さにこだわり、3分半に詰め込んだ映像の快楽と爽快感_023
画像は『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』本編第11話より ©亀山陽平/タイタン工業

亀山監督:
でも、最後まで描き切ってみると、あらためてそこがこの物語の主体であり、テーマだったなとは思います。

ファンの方々がファンアートなどで、作品のその後を描いてくださってるのを見ても、やっぱりこの作品はキャラクター同士が仲良くしているのを見るのが楽しいところでもあるし、それがテーマとしてちゃんと伝わったところでもあるのかなと。

だから、いまの世相がどうこうというよりは、「周りから承認されたい、評価されたい」というのは、みんなが持ってる価値観で、常に人が抱えているジレンマだと思うんですよね。

それを理解したうえで、「喧嘩せずに仲良くできたらいいよね」ということは、自分がずっと思ってることのひとつです。そうならないのが世の中でもあるんですけど。

だからこそ、作品のなかでキャラのそういう姿を描いて、見てて良い気持ちになれたらいいよね……と。そこが、自分が『ミルサブ』を通して描きたかったことなんだと思います。

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』亀山陽平監督インタビュー。会話の面白さにこだわり、3分半に詰め込んだ映像の快楽と爽快感_024
画像は『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』本編第11話より ©亀山陽平/タイタン工業

──『ミルサブ』は一話完結のエピソード構成である一方で、「なかよくしましょう」というテーマだったり、脱力感のある空気だったり、全体を通しても芯の通った作品だと思うんですが、そういった統一感のようなものは意識されていたのでしょうか?

亀山監督:
脱力感は単純に自分の作風なんだと思うんですが、「なかよくしましょう」というテーマは、最初からある程度決まってました。

というより、テーマをある程度決めてからお話を書き進めていかないとガタガタになっちゃったり、いま何をしているんだかわからなくなったりするので……。

治安の悪い人たちが集まったからこそ、必然的にケンカになりそうだったところで、お互いの事情を理解して仲良くなっていく……そういう全体の流れについては、スタートラインの時点で、テーマとして決めていました。

こういったテーマや思いついたことは、忘れないようメモとして残しています。作る時にちゃんとテキストでメモしてあるんです。

本当に、自分が読む用のめちゃくちゃ雑な文章にはなっていますけど……それを見ながら、各話のあらすじを作って、細かいイベントやセリフを決めていきました。

──そのメモには、ほかにどういったことが描かれているのでしょう?

亀山監督:
えーっと……ほかのテーマで言うと、「みんな違ってみんなクズ」みたいなことが書いてあった気がします(笑)。

つまり、「ダメな側面」はみんな持っているもので、それは自分自身もそうだから、仲良くしなきゃいけないよね……といった感じのニュアンスです。

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』亀山陽平監督インタビュー。会話の面白さにこだわり、3分半に詰め込んだ映像の快楽と爽快感_025
画像は『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』本編第4話より ©亀山陽平/タイタン工業

──では、『ミルサブ』はそこのテーマに沿って作られた形なんですね。

亀山監督:
そうですね。

ただ、実際に制作していて難しかったのは……そこのテーマに凝りすぎてしまい、単純に「話として、見ていて面白くないもの」ができてしまう瞬間があったんです。これはよくないなと。

これはアニメーション作品なんだから、その瞬間瞬間で面白くないとダメなので……そこのバランス調整は本当に難しかったです。それこそ会話劇の部分などは、テーマを気にせず、表面的に見てても面白いように作らなきゃいけない。

だけど、テーマに凝りすぎて、「ここのキャラの葛藤を描かなきゃ」といったことを考えすぎると、いざ自分で見返してみて「これ……見ててなんも面白くねえ!」と思ったりするんですよ。

たとえるなら、最初に「イタリア料理のフルコースを出すんだ」と決めて、イタリアの料理であることにこだわりすぎた結果、作った料理が全部美味しくなくなっちゃった……みたいな。でも、料理はまず美味しくないとダメなわけじゃないですか

あくまでエンタメ作品だから、「テーマに凝りすぎない」ということも、すごく大事なんですよね。そこのバランス感覚は、本当に気をつけています。

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▲画像は『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』本編第8話より ©亀山陽平/タイタン工業

時間と余裕があれば、作りたい作品のアイデアはたくさんある

──『ミルサブ』劇場版の後の作品の展望などはありますか?次の作品への期待をしても……?

亀山監督:
アイデアはいっぱいあるので、作り続けていきたいですね。

ただ、制作のペースを上げるためには環境を整えなければいけないので、2026年はそこをメインに動いていければと思います。

2026年からは、新体制を実験的に動かすための作品作りが多くなっていくのかなと。ちょろちょろ映像が出たりするかもしれないので、そういうものをのんびり楽しんでもらえたらいいかなと思います。

──もし予算も時間も気にせず好きなものが作れるとしたら、今作りたい作品はありますか?

亀山監督:
いまやりたいのは、アカネのスピンオフですかね。

『ミルサブ』のあとの時間軸で、「総長をやめて、一般人として生きようとする」みたいな話とか。

いま想定してるストーリーが、自分としては結構よくできていると思っていて……ただ、「ちゃんとできたら面白いんだろうけど、現状の技術力ではちゃんとできないな」という状況なので、どうしたらこれを実現できるのかをずっと考えてます。

アカネの話に限らず、作りたい話や、『ミルサブ』でやってみたいことをちょこちょこ書いていますね。それこそアカネの話も、おおまかなあらすじはできているし、キャラクターのスケッチなども残しています。そういったものも、いずれは形にしていきたいです。

──最後に、アニメ版からのファンの方へのメッセージをお願いします。

亀山監督:
作品を見てくれて、本当にありがとうございます!

あと、更新のペースが遅くてすみません。

劇場で改めて流すうえで見ごたえが出るように頑張っていますが、結果が伴っているかわからないので……「どうやって、あの12話を1本にするのか?」という編集の技みたいなところも含めて、楽しんでもらえたらいいかなと思います。

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アニメーション作品は、その瞬間瞬間で面白いものでないといけない」。

亀山監督は当然のようにそう口にしていましたが、亀山監督がいかに「面白いアニメ」に対してこだわりを持ち、そのこだわりと向き合ってアニメ制作を続けてきたかという熱は、映像制作に関わったことのない筆者にすら、インタビューを通じてひしひしと伝わってきました。

しかしそれ以上に話していて感じたのは、亀山監督がアニメ制作が大好きであるということ。インタビュアーが問いかけた、映像やキャラクターの話題について、亀山監督はひょっとするとファンよりも楽しそうに語ってくださったのです。

そんな亀山監督だからこそ、どの瞬間を切り抜いても面白い『ミルサブ』という作品が生まれたのだと、納得するしかないインタビューでした。インタビューを行ったのは11月ですが、もう劇場版が見たくて見たくて仕方がないです。マジで。

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』は、2月6日に劇場公開予定。さらに、放送・配信シリーズの『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は公式YouTubeチャンネルにて、本編全12話が無料で視聴可能です。

インタビューを読み終わった今からでも遅くない。
ちょっと43分26秒ほど時間を作って、『ミルサブ』一気見しませんか?

↓ 劇場版の作品情報はこちら ↓

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』
2月6日(金) 公開
https://milkygalacticuniverse.com/movie/

■スタッフ
原作・監督・脚本・キャラクターデザイン・音響監督・制作:亀山陽平
配給:バンダイナムコフィルムワークス

■キャスト
チハル:寺澤百花、マキナ:永瀬アンナ、リョーコ:小松未可子、アカネ:金元寿子、カナタ:小市眞琴
カート:内山昂輝、マックス:山谷祥生、O.T.A.M.:藤原由林
アサミ:小野賢章、ハガ:ロバート・ウォーターマン

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編集者
なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『ドラゴンクエスト』シリーズで育ち、『The Stanley Parable』でインディーゲームに目覚めた。作った人のやりたいことが滲み出るゲームが好きです。
ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog

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