20年経っても色褪せない「絆」をテーマにしたストーリーと、ダブルヒロインを筆頭とする素敵なキャラクターたち
ストーリーとそれを彩るキャラクターも戦闘システムに並ぶ、『流星のロックマン』が名作たるワケを象徴する強烈な売りである。どのシリーズ作品も見入ってしまう展開が豊富なのと、思わず応援したくなったり、励ましたくなってしまうキャラクターたちが多数登場する、大変見ごたえのあるものに仕上げられているのだ。
その象徴とも言えるのが主人公「星河(ほしかわ)スバル」と、その相棒である宇宙人「ウォーロック」のコンビ。スバルはウォーロックと合体融合(電波変換)した「ロックマン」になって、作品ごとに(文字通り)命がけの戦いに身を投じていく。
だが、スバル自身は「孤独を抱えた不登校児の少年」。性格もうしろ向きで趣味もインドア寄りと、『ロックマンエグゼ』の主人公だった光熱斗(ひかり ねっと)とは180度異なる設定付けがされている。このようになった背景には、彼が尊敬する父親で、宇宙飛行士の「星河大吾」を宇宙ステーションの事故で失った(※厳密には消息不明になった)ことがある。
『流星のロックマン』の1作目では、そんなスバルが粗暴で好戦的な性格のウォーロックに引っ張られ、ロックマンとして様々な戦いに巻き込まれつつも、同級生たちを始めとする様々な人間たちを出会い、精神的に成長していく様子が描かれる。
始めは暗く、消極的な性格だった少年が少しずつ心を開いて、ウォーロックや信頼できる大人、友人たちとの絆を深め、ゆくゆくはヒーローとなっていく様は非常に見応えがあり、キャラクターとしても強い印象を残す(人によっては母性本能を強烈にくすぐられるかも……)。
また『流星のロックマン』1作目では、多くの孤独を抱えた人間が地球を狙う「FM星人」に心の隙間を付け込まれ、暴走するという展開が数多く用意されている。その人間たちの抱える孤独と闇にも、令和の時代でも通ずるテーマがあり、年齢層の高いプレイヤーなら思わずドキッとしたり、心を抉られるような思いをするほどだ。『ロックマン』シリーズ全体で見ても相当に踏み込んだ内容で、「これ、『ロックマン』なのか……?」と、困惑してしまうかもしれない。
だが、決して最初から最後まで暗く、重々しい展開が続く訳ではなく、それらを乗り越え、新たな一歩を踏み出そうとする人の持つ強さも描かれている。多少、強引な展開もあったりするが、総じて『流星のロックマン』の1作目は、戦闘システムと「ブラザーバンド」なるキャラクター同士の「絆」を可視化するシステムと絡み合わせた、見所満載のストーリーに仕上がっているので、少しでも興味を抱いたのなら楽しんでみていただきたいところだ。
もちろん続く『流星のロックマン2』と『流星のロックマン3』のストーリーも見どころの多い内容にまとまっている。これは最初の『流星のロックマン』もそうなのだが、シリーズは一貫して「絆」をメインテーマに据えた、さまざまなエピソードやキャラクターたちの葛藤などを描いているのが特色で、それぞれに特有の印象深いイベントが用意されている。

ただ、『流星のロックマン2』以降はスバルが1作目の出来事を経て、精神的に成長した状態で登場するので、ナンバリングを順に追ってから楽しむのがいい。特に『流星のロックマン3』のストーリーは1作目から張られていた伏線が回収される展開があり、それによってクライマックスの印象がひと際強くなるのでなおさらだ。
さらにスバルとウォーロック以外にも、この『流星のロックマン』シリーズには魅力的なキャラクターが多数登場する。とりわけ響(ひびき)ミソラ、委員長こと白金ルナのふたりはそれぞれ異なる魅力を持ったヒロインとして描かれている。しかも、どちらかに偏ったりすることもなければ、それぞれの作品に見せ場が設けられ、文字通り「ダブルヒロイン」として描かれているという特筆に値する見どころがある。
『ロックマン』シリーズのダブルヒロインと言えば、『ロックマンDASH』の「ロール・キャスケット」と「トロン・ボーン」のふたりが先行例としてあるが、それを経て生まれた本作では本編での描かれ方が極まっている感じだ。特に先例のふたりを知るプレイヤーならば、魂が息づいていることを強く実感させられるだろう。

ふたりは3作目の展開終了後も『流星のロックマン』シリーズ絡みのグッズ展開で度々クローズアップされるのみならず、今回の『流星のロックマン パーフェクトコレクション』でも、イーカプコン限定の「ダブルヒロインセット」が用意されるなど、主人公のスバルとウォーロックを後ろに追いやる勢いの存在感を見せつけている。
なぜ、これほどまでにヒロインの2人がクローズアップされるのかは……『流星のロックマン パーフェクトコレクション』の全ストーリーを体験した上で知るのだ。筆者からはそれしか言えない。
男性キャラクターに関しても、スバルとウォーロック以外に『流星のロックマン』の中盤以降に登場する同級生でどこか影のある少年「双葉ツカサ」、『流星のロックマン2』より登場するライバル「ソロ」や、『流星のロックマン3』でスバルに大きな影響を与える「暁シドウ」といった強い印象を残す面子が揃っている。
また、大人側にも頼もしいキャラクターが多く、3作連続で出演する「天地守」、そして『流星のロックマン3』にて登場する(と、同時に筆者の『流星のロックマン3』における推しキャラでもある)「ヨイリー博士」は必見だ。
あまり多くを語るとネタバレになってしまうことから詳細は伏せるが、敵として現れるキャラクターたちに隠されたドラマにも注目である。こうも『流星のロックマン』には深く印象に残るキャラクターが多く、その点だけを味わうだけでもじゅうぶんに楽しめる余地を持っている。
実質、キャラクターゲーム(キャラゲー)としての『ロックマン』の到達点とも言える仕上がりなので、純粋に誰かしら、気になるキャラクターがいるのなら、ぜひそのままゲームに手を出してみていただきたいところだ。きっと誰かしら推しが見つかる。
しかも『流星のロックマン パーフェクトコレクション』なら、アシスト&難易度設定機能でストーリー部分を重点的に楽しむ遊び方が容易に可能である。なぜ1作目の発売から20年が経とうとしている現代も、『流星のロックマン』のストーリーやキャラクターは語り草になっているのか。それらを追加された各種機能を活用して体験してみるのだ。
命がけで戦った変身ヒーロー”ロックマン”の軌跡が最新の環境でついに蘇る!!
代表的なふたつをピックアップしたが、『流星のロックマン』の魅力はこれに留まらない。ローポリゴンで描かれつつも、躍動的な動きが表現された戦闘限定の3Dグラフィック、疾走感と近未来感が表現された音楽も魅力としてあげられる部分だ。
特に音楽については、今回の『流星のロックマン パーフェクトコレクション』にて新規のアレンジ版がシリーズ全作の全曲に用意されている。大事なことなので繰り返すが、シリーズ全作の全曲に……だ。

過去の『ロックマン』シリーズのコレクションタイトルにも、アレンジ楽曲が一部収録され、切り替えられるというのはあったが、今回はなんと全曲である。「なんでそこまでやっちゃったんですか……」と、もはや引いてしまうほどの力の入れようだ。
グラフィックについても3Dモデルは高解像度化されていて、一部ボスの表情がハッキリ分かるようになるなどの恩恵が顕著に表れている。メインメニュー画面のキャラクター5名の3Dモデルもそうだが、今回の3D周りの力の入れ方には感服するばかりだ。これが『ロックマン』シリーズ初採用の「RE ENGINE」【※】の底力か……!
※RE ENGINE
カプコン開発の次世代ゲームエンジン。『バイオハザード7 レジデント イービル』の開発で初めて導入されたのち、『ドラゴンズドグマ2』『モンスターハンターワイルズ』『バイオハザード レクエイム』といったカプコン開発タイトルで活用されている。『ロックマン』シリーズでは今回の『流星のロックマン パーフェクトコレクション』が初の採用例となる。
一方、操作が変更されたことに伴い、一部タッチ操作で行うミニゲームの難易度が過度に上がってしまっているといったマイナスの影響が現れている部分も確認されている。
また、今回筆者が体験したのはSteamのPC版なのだが、戦闘中の操作がAボタンでバトルカード、Bボタンでロックバスターと、原作のニンテンドーDS版と逆になっていたのには正直、困惑した。シールドはXボタンと、ニンテンドーDS版のYボタンと同じ位置のボタンだったのも大きい。

ただ、Nintendo Switch版については原作のニンテンドーDS版と全く同じ操作系になっているとのこと。それと、東京ゲームショウ取材当時は、ビジライザーとメニュー画面のボタン配置がニンテンドーDS版と逆になっていたことを筆者自身、指摘していたが、製品版では原作のニンテンドーDS版と同じ配置に戻っている。
さらにキーコンフィグ設定も用意されているので、あえて逆の操作で楽しむことも可能だ。一方、戦闘はキーコンフィグ設定が用意されていないのがちょっと気がかり。これについては、後々にアップデートで追加されることを望みたいところである。
それと、前述したように本作には新録のパートボイスが追加されている。ただ、これは『流星のロックマン』の1作目に限り、OFF設定にしておくことをオススメしておきたい。初見プレイである場合は特に、だ。
というのも、ストーリーと新録ボイスのミスマッチが生じる。ONにするのはメインストーリーのクリア後か、別のバージョンを遊ぶ2周目からがいい。逆に『流星のロックマン2』以降はそのままONで遊んでもいいだろう。
そんな少し気になる部分もありはしたが、単純な原作の復刻ではなく、再構築同然の形で『流星のロックマン』が令和に帰ってきてくれることにはただひたすらに感謝の限りだ。本当に開発チームの方々には「これ以上ない形で蘇らせていただいて本当にありがとうございます!」とお礼の言葉を送りたい。
そして、かねてから『流星のロックマン』という作品が気になっていたものの、原作が発売されたニンテンドーDS本体を持っていなかったり、一部作品の中古価格の高騰に頭を悩ませていた皆々様がた。時は来た!本作を通して、『流星のロックマン』の素晴らしき世界を体験してみるのです!

最後にお知らせをひとつ。3月6日より放送される配信番組「Capcom Spot Light」では、本作のオンライン要素にまつわる新情報が発表されるとのことだ。気になる方はぜひ、番組をチェックいただきたい。







