カプコンが手掛ける剣戟アクションゲーム『鬼武者』シリーズの最新作『鬼武者 Way of the Sword』が、2026年9月4日にいよいよ発売されます。
発売を目前に控えた7月下旬、大阪のカプコン本社にて本作の試遊イベントが開催され、発売前の本作をプレイするという貴重な機会をいただきました。試遊を通じて痛感した本作の面白さは、「とにかく攻めまくれる」という、アクションの爽快さです。
本作は戦いの最中、敵の攻撃を回避したり、パリィしたりして身を守るのですが、なんと主人公である宮本武蔵は攻撃している途中でもパリィができるので、敵に対して攻撃の手を緩める必要がありません。
そんな強烈な戦闘システムが印象的な本作なのですが、今回はストーリーも含めて2時間にわたって遊ばせていただいたことで、過去の試遊や体験版ではあまり意識しなかった「武蔵の人間性」を存分に感じ取ることが出来ました。
とてつもなく豪快で、令和の時代にはあまりにも強烈すぎる荒々しさ。でも、その裏には誰よりもまっすぐな“筋”が通っている。だからこそ、武蔵のむちゃくちゃな暴れっぷりに筆者は心を鷲掴みにされました。
さらに、今回は試遊のみならず、BGMの制作や効果音のこだわり、そしてゲーム内に再現した京都の景観を巡るツアーにまで参加できたほか、本作のディレクターである二瓶賢氏と、プロデューサーを務める門脇章人氏へのインタビューも実施させていただきました。
開発陣のこだわりを全身に浴びてきたレポートをお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
武蔵の選択肢は「攻めるか守るか」じゃなく「斬るか、ぶった斬るか」
このゲームの主人公は、日本人なら誰もが知る伝説の剣豪、宮本武蔵です。達人の剣術を使う武蔵を操作し、幻魔と呼ばれる怪物たちを相手にさながら時代劇のようなアクションで斬り伏せるのが本作『鬼武者 Way of the Sword』なのですが、なんとこの武蔵は「受け流し」という、攻撃中でもパリィができるすさまじい技術を持っています。
ボスが攻撃を振りかぶる。普通のアクションゲームなら、こちらは攻撃の手を止めて、回避なりガードなりの守りに入る場面です。でも武蔵は、攻撃を緩めなくていい。どんな体勢や角度だろうが、敵の攻撃を華麗に刀で受け流せるのです。
この人並み外れた技によって、本作のバトルはめちゃくちゃ面白くなっています。
「敵が攻撃を構えたら、いったん手を止める」というアクションゲームの常識をぶっ壊す受け流しがどれほどのものか、大唾拉(だいだら)というボスとの戦いを通して説明させてください。
筆者の操作する武蔵が猛攻を加えている最中、敵から振り下ろされるのはとてつもなく巨大な棍棒。まともに食らえば吹っ飛ぶ質量の一撃を、武蔵は刀で受け止めます。ここまでは力と力のぶつかり合い。ですが、武蔵は力比べには付き合いません。
最小限の動きでするりと受け流し、勢いを逃がすと、そのまま敵の懐へ入り込み、斬撃! 仕切り直しの暇も与えず、さらに相手の体力を削ることができました。
強大な攻撃を真っ向から受け止める豪快さと、敵の怪力をいなす繊細さの同居が、惚れ惚れするほどかっこいい。
驚くのは、この受け流しのモーションがボスの攻撃ひとつひとつに固有のものが用意されていることです 。その数、なんと300種類以上。
本作を遊んでいると、ボスと戦うたびに「コイツの攻撃はどうやって受け流すんだろう」とワクワクしてしまいます。敵へ斬りかかりつつも、内心では敵の一撃を待ちわびて不敵に構える。プレイしているだけで、まさに戦いの道を生きる剣豪という面持ちになっていました。かかってこいよ、俺は武蔵だ。
もちろん、剣豪の技は受け流しだけではありません。敵の攻撃に合わせてタイミングよく攻撃ボタンを押すことで発動する「一閃」は、瞬間移動して敵の一撃をすり抜け、その勢いのまま斬りつける強烈なカウンター技です。
受け流しに比べてタイミングはかなりシビアで、ミスすると直撃をもらいますが、その分、決まったときのリターンが強烈なんです。攻撃をギリギリまでひきつけた次の瞬間、ボスを空間ごと両断する一撃。
ダメージもさることながら、その演出の気持ちよさたるや。決まれば「俺、天下無双かもしれん」と思います。そしてまたカッコいい演出を見たくて、リスクを承知でつい狙いたくなってしまうんです。
手堅い受け流しか、紙一重の一閃か。ボス戦では、瞬時に敵の攻撃を見極めて、行動を変える必要があります。しかし、どちらもやっていることは攻撃的なのが、本作の面白い所です。どっちに転んでも攻めまくる。武蔵の選択肢は「攻めるか、守るか」じゃなく、「斬るか、ぶった斬るか」でした。
そんな武蔵の戦闘アクションのひとつに「掴み返し」があります。これは、敵の掴み攻撃に対してタイミングよく回避を合わせると発動する、蹴りや殴りで反撃するカウンター技です。いわば体術パリィ。
剣豪のくせに、いざとなったら殴る蹴るもいとわない。しかし宮本武蔵といえば、勝つためなら手段を選ばないことで知られる男でもあります。
二刀も使うし、巌流島の決闘に遅刻したなんて逸話もあるし、そりゃ拳も足も使いますよね。 掴み返しは技のひとつでありながら、武蔵という人物を表現する要素にもなっているんです。
今回試遊をしているなかでも、羅掌願(らせつがん)というボスに掴み返しを決めたときの演出が衝撃でした。掴みをいなすと同時に世界がスローになり、下から顔面への強烈なハイキック。直後には低い画角で、しゃがむ武蔵が映る。
アクション映画のようなカメラワークがかっこよすぎるんです。刀を使わずとも、ここまで絵になるのか、この漢は……!
さらに、斬り合いの最中、攻撃同士がかち合うと、まれに「鍔迫り合い」が発生します。それまで流れるように続いていた剣戟は、刀と刀が噛み合った瞬間に“ビタッ”と止まる。狙って出せるものではないので、発生した時には「来たッ!」と息を呑みました。ここからは、ボタン連打の勝負。
連打で勝てば、敵を弾き飛ばして攻めを継続できます。刀越しに至近距離でにらみ合う姿は絵になるし、なにより、攻めて攻めて受け流してまた攻めるという猛烈な連撃のさなか、不意に起こる鍔迫り合いという緩急で、メリハリがあって戦闘がとにかく楽しい。
受け流し、一閃、掴み返し、鍔迫り合い、本作はどの技を使っても絵になります。武蔵のモーションが洗練されていて、プレイヤーはいわば「達人の体を借りている」ような感覚です。斬りたい、と思えば達人の所作で斬ってくれる。受け流したい、と思えば敵の攻撃を完璧にいなしてくれる。
ボスとの戦いは、まるで「武蔵が主演のアドリブ時代劇」を自身の手で体験しているようで、戦いながら興奮が収まりませんでした。
一方で、驚かされたのは武蔵の言動です。巨大なボスを「豚」呼ばわりし、戦闘の途中では隙あらば「その程度かよ、おい!?」などと煽ります。
最初は「武蔵、言葉強っ!」と心のなかでツッコんでいたのですが、戦っているうちにすっかり感化され、気づけば一緒になって「かかってこいよ」とオラオラになっていました。
江戸時代の豪傑の体に放り込まれてしまった、令和に生きるプレイヤー。でもそれがなんだか心地いいのは、武蔵の荒々しさに芯が通っているからでした。
巧みな戦闘技術のみならず、隙あらば“口撃”も欠かさないこの男がどれほどの豪傑なのか。ここからは、武蔵の荒々しくも魅力的な人間性の話をさせてください。
うるせぇ、叩き切るぞ。俺は武蔵だ。
武蔵の魅力は、剣術の腕前だけではありません。その性格もかなりパンチが効いてるんです。というのも本作の武蔵は、口喧嘩をしながらボスを叩き切ります。
たとえば縁結びで知られる神社「安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)」に登場するボス・羅掌願は、こんな問答を仕掛けてきます。
「我は救ってやったのだ 縁切り・縁結びを願う、愚かで弱い人間どもを…」
「わかるか。我こそは、人間どもの救い主であるぞ」
要約すると、「我は愚かな人間を救ってやった」という挑発です。もちろん、ここで言う“救い”は言葉通りの意味ではなく、“足が痛い”と聞けば足を切り落として「これでもう足は痛くないな」と嘲るような、悪意に染まったおこないです。身勝手に人を傷つけ救いを称する、その傲慢さへの武蔵の返答は……
馬乗りで顔面に刀を突き刺しながらの、罵倒でした。
「何が救いだイカレ野郎。テメェは性根から狂いすぎてて、まるで話にならねぇよ!」
言葉が強すぎる。でも、武蔵にとって話の通じない輩に反論なんて必要はなく、思っていることを吐き出しながらぶった斬るだけで事足りてしまうのです。拳で決着をつけるのが現代のヤンキーであれば、江戸時代のヤンキーとも言える武蔵は刀で決着をつけてしまいます。
攻撃の最中だろうがどんな体勢からでも敵の攻撃を受け流せるのも、とてつもなくデカい棍棒を気合で弾き返せるのも、こんなむちゃくちゃな武蔵だからこそ。とんでもないことが画面内で起こっていても「武蔵ならやってのけるよな」と納得してしまうのです。
武蔵が戦闘中に披露する荒々しくも繊細な技の数々は、武蔵の性格がそのまま現れているようにも感じられます。技と人格が一致しているから、武蔵という存在には圧倒的な説得力がある。だからこそ、操作していて楽しいし、武蔵に猛烈に感情移入できてしまうんです。

コンプライアンスが厳しい令和の世の中では、さすがに武蔵のようには生きられません。でも、コントローラーを握っている瞬間だけは、荒々しくも芯の通った剣豪“武蔵”になれる。
細けぇことなんか知ったことかと、心のおもむくままに幻魔を斬り伏せられる。『鬼武者 Way of the Sword』は、そんな痛快剣戟アクションゲームでした。









