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【60作まとめ】早川書房が夏の超特大セールをやっているので「おすすめ本・シリーズ」を気合いと勢いでいっぱいまとめてみた。ド定番からいつかは読みたい大作級まで、SF、ミステリー、ファンタジーいろいろ

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ワイン、チーズ、カレー、そして本。
これらには共通する特徴があります。なんでしょう?

正解は寝かせることで熟成されておいしくなること! カレーは一晩寝かせたほうがおいしくなるように、本もたくさん積んで寝かせておくと味わいが深くなります。

ということで、早川書房の特大セールをお知らせします。

早川書房の夏の特大セールが開催中。おすすめ約60作を全力でまとめてみた_001

8月20日まで、早川書房から刊行されている書籍約3000点の電子版が、最大50%オフになる夏の大型セールが開催中です。

とはいっても、それだけセール対象になっていたら何を読めば良いのか分からない、という方も多いでしょう。迷うくらいなら買ったほうが後悔がなくていいですよ。

それでもどうしても決められない、せっかくならいい本を買いたい!というみなさまのために、筆者の独断と高慢と偏見で「気軽に読める本」⇔「読むのに気合がいる本」&「物語を楽しむ本」⇔「テーマや世界観を味わう本」という軸で、おすすめ書籍をまとめてみました。

「この本はもっとこっちだろ!」もかなりあるとは思うのですが、識者のみなさまに置かれましては、なにとぞ広い心でお許しいただけると幸いです。

電書はNGな方も、ぜひお近くの本屋さんを探検する際などに参考にしていただけると。
みなさまの良き読書ライフにご活用いただけますと幸いです。

執筆/恵那

物語を楽しむ×気軽に読める:さっぱり直球にエンタメしよう!

『オリエント急行の殺人』

言わずと知れたミステリーの女王、アガサ・クリスティーを代表する「名探偵ポアロ」シリーズのひとつ。それなりに長い話なのですが、それを感じさせない読みやすさ&きれいなオチに読後の納得感も抜群で、著者が亡くなって半世紀が経つ作品とは思えないほどおもしろいです。シリーズ作品も多数あるので、気に入ったら他のものもどうぞ。クリスティーのもうひとりの名探偵「ミス・マープル」のシリーズなどもセール対象です。

『ウは宇宙ヤバイのウ!』(シリーズ)

隕石による地球滅亡まであと3日──! 宇宙的トンデモ事象が次々と襲来する女子高生(?)の話で、かわいい表紙絵に挿絵あり軽い文体とラノベのノリながら、中身はゴリゴリのSFをやっている作品。世界改変とかタイムトラベルとか、隕石とか目じゃないくらいの事態が冒頭から次々に起こりますが、実は雰囲気で流さずにロジックはハードだったり。そもそもタイトルからしてそうなのですが、有名作のパロディも多数。SF好きな人ほど刺さりそうな要素がたくさんあります。

『夏への扉』

SF初心者の“入門作”的な扱いをされることも多い作品。いうてそんなに初心者向けかな? と思わなくもないのですが、ポップかつわかりやすく気持ちの良いエンタメであることは確かです。『月は無慈悲な夜の女王』などの作品でも知られるハインラインの作品の中では最もミニマルかつポジティブな作品で、宇宙船も異星人との戦争もなし。「ご都合主義!」と思ってしまう箇所も多いのですが、「ご都合主義のどこが悪いよ!」と嬉しくなってしまうような、底抜けに明るいパワーのある物語です。ねこもでます。

『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』(シリーズ)

とりあえずハッピーになりたいあなたのラッキーカラーは緋色。そんなあなたにおすすめなのがシャーロック・ホームズのパスティーシュ(模倣作)『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』です。
ええそうです。女体化小説です。でも女子化したホームズ&ワトソン(こっちも女性)とか見たくない人います? まあいるかも知れませんが私は見たいです。結構丁寧に原作の流れを拾いつつ、作中の事件は女性化したことが活かされまくっているし、ホームズパスティーシュであることも活かされまくっているので、気になる方はぜひ。続巻も多数。

『人間たちの話』

著者の柞刈湯葉氏については「横浜駅SFの人」と言えば「おっ!」と思う方も多いかも? 作品としては、非常にSFらしさを感じる設定やちょっとした風刺を漂わせつつ、文章がとにかくコミカルで飽きません。個人的には某名作SFを思わせる「たのしい超監視社会」が好み。タイトルだけでもなんとなく作品の空気が分かるのではないかと思います。

『嘘と正典』

まぶしい笑顔のカールおじさんが表紙の名短編集。表題作でもある「嘘と正典」は、タイムマシンを駆使してマルクスとエンゲルスの出会いを阻害し、共産主義を歴史から消滅させようとするCIAの陰謀を描く……という、あらすじだけでおもしろさ120点が約束された短編。絶対外さない短編集を1冊選べと言われたら個人的には最有力候補。同著者では『火星の女王』などもセール中です。

『ハウスメイド』(シリーズ)

裕福な家で家政婦として働くことになった主人公が、ヤバい秘密に巻き込まれてしまうという海外版「家政婦は見た!」。この説明の入り方でどうかと思うけど、ぜんぜん「家政婦は見た!」な方向性じゃないのでご期待ください。海外では300万部以上売れ、映画も公開予定。ちなみに2作目もセール中です。

『同志少女よ、敵を撃て』

「第二次大戦時の独ソ戦もの」という、どう考えてもミリオタ向けでしかなさそうな題材なのに、主人公をソ連の女性兵士&その上官に設定し、その関係性を追っていく話にしたことで、なんだかすごくおもしろい。とはいえ、単に戦争をエンタメ化しているというのでは決してないのがすごいところ。全然セールとか関係ないんですが、これを読むと絶対に『戦争は女の顔をしていない』(女性たちの独ソ戦を描いたノンフィクション)が読みたくなるはずなので、これのリンクも置いておきますね。読みたくなれ。

『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』

「シャーロック・ホームズ」×「クトゥルフ神話」という、どう考えてもおもしろそうなものを混ぜちゃったパスティーシュ『クトゥルー・ケースブック』シリーズの1作目。ホームズがしっかりホームズをしており、“クトゥルフTRPGで異様に立ち回りの上手い探偵キャラ”みたいになってます。全3巻で完結……と思いきや、まさかの続巻『ハイゲイトの恐怖』も登場していますが、残念ながらそちらはまだセール対象外。

『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』

やたらと名前の長い本作は、ゲーム好きなら好きな人が多そうな気がする小説。物語を端的にまとめれば、ゲームの開発を通して結びついたふたりの男女の人生を描くもの。愛とか友情とか情熱とか、変化せざるを得ない関係性とか、「人生」が詰まってます。するりと読み始められるのですが、読み切るには体力がいるかも。

『時の娘』

名前からしてSF? と思われそうだが実はジャンルとしては歴史ミステリー。シェイクスピアの戯曲『リチャード三世』で悪名高い15世紀のイングランド王について、「本当は悪い人ではなかったのでは?」ということを入院中の刑事が調べていく。ミステリーとしてはもちろん、「歴史の読み方」を考える際に刻んでおきたい知恵もあり、読み応え十分。ややこしいことに東京創元社から同名の短編集が出ているのだが、そちらはSF。ちなみにそっちもおもしろい。『たんぽぽ娘』で有名なロバート・F・ヤングの短編などが収録。

『われら闇より天を見る』

かつて海沿いの小さな街で起こったひとつの事故、それから時を経て、街では殺人事件が起こる──。気持ちよく謎を解いていくミステリーではないものの、おもしろさは間違いなし。「無法者」を自称する少女と町の警察署長のふたりを中心に、さまざまな人たちのドラマが描かれていきます。やるせない影の差す小説でもあるのですが、そうなってしまったときには、ぜひ本書のタイトルを思い出してみてください。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

今年のSFとしては紹介しないわけにいかないのが『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。「もういまさら良くない?」と思っている、映画だけ観て本作を見た気になっているそこの君、私はいま君のためにこれを書いています。ぶっちゃけこれネタバレ食らっても小説は全然面白いから……!ネタバレですべてが崩壊するほどヤワな小説じゃないから……!

原作小説はかなりしっかりと「科学」の話。映画では別の部分に大きくフォーカスをあてていたのですが(あれはあれでたいへん良かった)、小説版を読めばそれと異なるおもしろさにも気づくはず。危機に陥っても決してへこたれない主人公と、前へ前へと進む科学のポジティブな可能性のシナジーは、間違いなく本作の醍醐味のひとつ。もちろん、まだ何も知らない人はそれ以上に驚天動地の驚きも味わえると思います。記憶を消してもういっかい読みたい。

『九龍城砦1 囲城』(シリーズ)

タイトルを見てピンときたひとはたいへんえらい。そう、昨年日本公開されて大旋風を巻き起こした香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』の原作です。なんか映画とは全然違います。
「いったいどうやってこの小説からあの映画が……?」に間違いなくなるので、読む前には覚悟の準備をしておいてください。「いいのか?これで?」という感想が次々出るかもしれない。でも映画もそうだったじゃん。あの映画好きだったらこっちも好きだって。

『虐殺器官』

アニメ映画化されたことでも有名な作品で、著者はしばしば夭折の天才とも言われる伊藤計劃。硬めの文体かつSF・ミリタリー要素も含んだ内容は決して軽くはないものの、世界中を飛び回って殺戮を引き起こす「謎の男」を追うというサスペンスに満ちた物語には、そうした重さを感じさせない牽引力がある。人間に殺戮を引き起こさせる「虐殺の器官」というテーマのダークさや、引き締まった文体のカッコよさ、そして真っ黒な表紙など、人生の序盤に出会ってしまうと何かが狂う要素が詰まっている。「ほう?」と思った中高生の君はぜひ読んでみよう。そして狂え。

『24人のビリー・ミリガン』

名高い名作『アルジャーノンに花束を』……は今回のセールでは残念ながら対象にはなっていないのですが、その作者・ダニエル・キイスのもうひとつの名作『24人のビリー・ミリガン』はセール対象になっています。犯罪を起こして逮捕された人物がその記憶をまったく持っておらず、実は24人もの人格をもつ「多重人格者」だった……という物語で、しかも実話を元にしたというノンフィクションもの。「アルジャーノン」と方向性は大きく違うものの、こちらも傑作です。

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編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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