ボードゲームの魅力とは何でしょうか。
ゲームそのもののおもしろさや勝った負けたはもちろんですが、実際に卓を囲んでやるとなると決してそれだけではないと思うのです。
たとえば誰かがルールを間違えてしまって意味のわからないことになるだとか、負けたやつが往生際悪く足掻いて謎のローカルルールが生まれるだとか、そうしたゲームの本筋から少し外れたやり取りまで含めての時間がボードゲームの醍醐味と言えるような気がします。
そんな“卓を囲む時間”そのものをデジタル化した作品が『テーブルゲーム・ワールド CCFOLIA for Nintendo Switch 2』です。
TRPGオンラインセッションツールとして、卓ゲーマーやTRPGプレイヤーにはおなじみのあの「CCFOLIA」が、なんとNintendo Switch 2 向けのデジタルゲームを作ってしまったという、驚きの経緯を持つ本作。
本作を東京ゲームショウ2026にて試遊させていただくことができたので、その様子をお届けしたいと思います。
ゲームなのにゲーム側が仕切らない。「どうぞご自由に」が生むテーブルゲームらしさ
本作はボードゲームやTRPG、マーダーミステリーなどといったテーブルゲームが47作品(リリース時の本数)収録されております。
将棋のように誰もが一度は目にしたことのある定番のテーブルゲームだけでなく、一風変わったボードゲームや本格的なシナリオ体験型ゲームまで幅広く収録されており、そのラインナップは実に多彩。
「こういったゲームに興味はあるけど何から遊べばいいのかわからない」というような方にとって、さまざまなテーブルゲームに触れるいいきっかけにもなりそうですね。

そして、この『テーブルゲーム・ワールド CCFOLIA for Nintendo Switch 2』の最大の特徴とも言えるのが、あえてゲーム側がルールをガチガチに管理しないという点。
デジタルでのテーブルゲームとなると通常であれば「あなたのターンです」といった表示が出てきたり、「この手札からこのカードしか出せません」といったような指定をされたりするようなイメージですが、本作は盤面に入ったら基本的に「どうぞご自由に」。

そのため、ゲームが始まったからといって全員が黙々と画面の指示に従って進める……という感じにはなりません(もちろんそのゲームに対する参加者の理解度によるけど)。
「このカードって今出していいの?」「ここの色も変わるんじゃない?」とみんなでやいのやいの言いながら、途中で「あ、これさっきのやり方間違ってたわ」と気付いたり、そういったドタバタ劇も起こりつつゲームを進めていくことになります。
ゲーム側がすべてを管理してくれないからこそ自然とプレイヤー同士の会話も生まれ、実際にひとつのテーブルを囲んで遊んでいるような感覚がありました。
そうだった、ボードゲームってこういう時間も含めて楽しいんだった……!
とはいえ、「自由に任せる」という名目で説明まで丸投げされているわけではありません。
各ゲームの遊び方やルールはゲーム内からいつでもすぐに確認できるため、「何をすればいいのか結局わからないままだった」ということは一切なし。
進行には口を出さないけれど、遊ぶために必要な情報はきちんと用意してくれている。このあたりの「自由さ」と「親切さ」のバランスも、実際に触ってみて印象的だったポイントです。

ルールブックにない遊び方も大歓迎。ルールそのものも、どう遊ぶかも、すべて自分たち次第
そして、ゲーム側がルールを厳密に管理しないということは、裏を返せばそれは「遊び方そのものを自分たちで自由に決められる」ということ。
現実のボードゲームでも、遊んでいるうちに「これ禁止にした方が面白くない?」と独自のルールが生まれたり、仲間内で謎のローカルルールがいつの間にか定着していたりするものです(余談ですが筆者は小学生時代に友人同士で将棋を遊ぶ際、「桂馬で王を狙うのはお互いに混乱するから禁止」という謎の制限をつけていました)。
本作ではシステム側から「その遊び方はできません」と止められることがないため、現実世界のテーブルゲームならではの自由な遊び方も、そのままデジタルの世界に持ち込めるわけです。
たとえば今回の試遊体験で遊ばせていただいた『トントンリバーシ』という、白黒の石の代わりに白黒のブタを使って遊ぶゲーム。

このゲームではブタのサイズを変更することができるのですが、変更してもゲーム内でなにか仕様が変わるわけではないため、「この条件でこのくらいデカくなって、デカくなったらこういう効果がつくようにしよう」と決める、みたいな具合で。
こういう独自の新ルールとか考えるのワクワクして好きだったなあ。

待てよ?
ゲーム側からルールを制限されないということは、ズルもできるってことなんじゃないか?
ということで隙を見て、対戦相手(同行していただいたライターさん)の相手側の牧場にいるブタの色をこっそり反転させるという盤外工作を実行。
こっちの色のブタを自ら置かせるのを狙うという、自由にできるゲームならではの戦法です。
とかやってたらボロ負けしました。自由をはき違えて卑怯な手に走るべきではないですね。
でもこうやって待ち時間に好き勝手できるのって楽しいな……! 友達の駒を勝手に触って怒られていた頃のような少年心がつい蘇ってしまいました。
盤上の勝負から“愛の告白”まで。個性豊かなテーブルゲームが勢揃い
今回の試遊では、『トントンリバーシ』のほかに『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。』も遊ばせていただきました。
こちらは山札から引いたカードに書かれた言葉を自由に組み合わせ、即興でプロポーズの言葉を作るというゲーム。
それぞれが完成したプロポーズを披露してその中でもっとも心に響いた人が勝利という、盤上で駒を動かすタイプとはまたひと味違ったテーブルゲームです。
今回は司会進行をしていただいたお姉さんにジャッジをしていただくことにしていざ実践。

筆者が作り上げた渾身のプロポーズは「きっと君は尊い宝石箱 愛してる」。
君自身が宝石なのではなく宝石“箱”なのかという若干の疑問は残りますが、限られた手札から作ったものとしてはなかなかロマンチックでいいのではないでしょうか。
と思ったら、同行していただいたライターさんが生み出した「僕はどきどきする翼。君は濡れた犬。大切にするよ」という、プロポーズとして成立しているのかすらあやしい謎の一文に敗北しました。
いやお姉さん!! 絶対大切にしてくれないって!! なに言ってるかわからないもの!!

デジタルなのに、そこにあるのはいつもの“卓を囲む時間”。自由だからこそ生まれるテーブルゲームらしさが心地よい
頭を使ってプレイする馴染み深い定番ゲームあり、ノリと勢いで遊べてゲラゲラ笑えるゲームあり。今回の試遊の時間で触ったものに限って言っても、収録されている作品の幅広さを感じられました。
そして何より印象的だったのは、デジタルゲームならではの遊びやすさを備えながら、アナログゲームさながらの自由さがそっくりそのまま残されていること。
ルールに沿って真剣に勝負してもいいし、その場のメンバーで遊び方をアレンジしてもいい。ゲーム側にすべてを委ねるのではなく、プレイヤー同士で「どう遊ぶか」まで楽しめるのが本作の大きな魅力だと感じました。
あくまでゲームなのですが、そこで起きるのは「次俺だっけ?」「それ逆だろ!」とみんなでワイワイ言いながら遊ぶ、あの現実世界でのテーブルゲームならではの時間そのもの。
まさにデジタルとアナログのいいとこ取りとも言える、“みんなで囲むテーブル”そのものを持ってきたような作品でした。
普段からボードゲームを遊んでいる方はもちろん、離れた人たちと気軽に卓を囲みたい方や、これを機にさまざまなテーブルゲームに触れてみたいという方も、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。




