ゲームDJってなんなのか?
MC:
ご覧の皆さんもだいぶマジメなテンションになっていると思います。「エロい話しようぜ」とのコメントがありますが、それはのちほどksonさんが遊んでいるときに茶々を入れましょう。
そしてウリの話の続きになりますが、それを伝えるのがプロデューサーの仕事のひとつだとして、安藤さんがこれまで手がけた作品ではどうやってウリを伝えてきたんでしょう?
安藤:
「このゲームって要はこういうことだよ」がウリなので、それを中心にキャッチコピーを考えたり、ポスターを作ったり、ウェブサイトや広告を作ったりして売っていけばいいだけです。いま話したことを、そのまま実行していけばいいんじゃないかな。
MC:
安藤さんはいま、『シシララTV』というご自身のメディアを持ってゲームDJとして番組を作ったり実況されたりしています。ここまでのお話のようにゲームをプロデュースしてきた方が、「なぜゲームDJと名乗るのか」が不思議でしたので、それをお伺いさせてください。
安藤:
わかりました。あ、その前にksonはメモをアルファベットで書いていますね。日本語なのか英語なのか。
MC:
最初の“ウリ”は平仮名で書いていますね。
安藤:
(笑)。で、ゲームDJですが、僕は初代のプレイステーションからゲームを作り始めて、PC用のMMOやPS2、PS Vita、スマートフォン用などいろいろ手がけました。それこそApple Watch用やiPod用なども作りましたが、いまは「つぎに何がとても売れるのか」がものすごく不透明というか、よくわからなくなっている時代です。次に何かをヒットさせようとするなら、「ゲームを作っているだけだとマズいんじゃないか」と思ったんですね。たとえば自分ではゲームを遊ばないけど、ksonが遊んでいるところを観たい人もいる。それから自分では遊ばないけれど、賞金を懸けて戦っているプロのゲーマーを観るのが好きな人もいるわけです。
ゲームは昔と違ってひとりでも作れるようになったり、一方、『ファイナルファンタジーXV』のように何百人で作るものもあったりします。プラットフォームにしてもVRがあったり、スマートフォンもあったりと、すごい複雑になってきているんですね。そこで「作っているだけだとちょっとマズい」、ゲームを作る以外に「“伝えること”もちゃんとしていこう」と思ったんですよ。ksonに先ほど「『俺の料理』って知ってる?」と尋ねたら、「知らない」って言っていたでしょ?
kson:
知りません。
安藤:
ゲームは発売されてから時間が経つと、バーチャルコンソールなどのアーカイブになっていない限り、おもしろくても忘れ去られていくんですよ。遊べないし、「遊ぼう」と思っても用意にけっこう気合がいるんですね。一方、音楽は「’70年代にこういうロックが流行ったよ」とちゃんとFMなどでDJが紹介してくれる。ゲームでもそれをちゃんとやる人がいないと、昔作られたおもしろいゲームが忘れ去られてしまう。だから伝えることをちゃんとやっていこうと思ったんです。
それによっていろいろな人と会ったり、話したりできる。シシララでは毎週月曜日に、作った本人がゲーム実況をする番組をやっています。たとえば今年の春に河野一二三さんと『クロックタワー2』をいっしょに遊びました。彼が過去に作ったゲームをいまいっしょに楽しむことで、新しいアイデアがひらめくこともあります。だからインプットとしてもすごくいい。その行為って「ああ、音楽のDJといっしょだな」と思って、ゲームDJという言葉を作ったんですね。ゲームDJという肩書きは、かっこ悪いけど覚えやすい。ゲームを作るし、伝えるし、それらを混ぜる人だ、ということです。
MC:
なるほど、なるほど。
安藤:
それから実況をしていると、ゲームに新しい魅力が生まれたりするんですよね。たとえばVRのゲームで遊んでいる人をみんなが観ていて、そのプレイの様子を映しながらコメントも入れると、新しい遊びになったりします。それはカードゲームなどでもそう。番組を観ている人にはカードの中身がわかるけど、プレイヤーには見えていない状況が起こる。すると番組を観ている人には「ここでジョーカーを切らないんだ?」というような新たな楽しみかたが生まれたり。そういう発明をしていかないと、つぎにヒットするゲームは作れないと思ったんですね。
音楽のDJにも、自分で曲を作る人もいれば、人の曲をかける人もいるなど、けっこうバラバラです。簡単に言うとそれのゲーム版で、ゲームも作るし、人のゲームも伝えます。作る人は作るだけ、遊ぶ人は遊ぶだけ、伝える人は伝えるだけ。でも俺はぜんぶ。作るし、伝えるし、混ぜる。そういうことをやっています。意外といなかったでしょ、そういう人。
kson:
すごい。先生は、すごい忙しいのですねえ。
安藤:
先生は忙しいのかなあ。そんなこともないよ。
kson:
作って、遊んで、まぜていますから……。
安藤:
今度、作った人を呼んで『俺の料理』をいっしょに実況しようよ。やりましょう。
kson:
『おれのりょーり』をいっしょにしてもいいのですか?
安藤:
いいですよ。
kson:
オホホ。やりまーす。うふふふふ。女子力が上がりますか?
安藤:
上がりますねえ。
kson:
OK! やりまーす。
安藤:
そのときはちゃんと料理のためのコスプレをしてきてください。
kson:
OK!
安藤:
では『俺の料理』を作った人にご連絡します。ぜひいっしょに実況しましょう。
kson:
おれのりょーり。
安藤:
ということをやっています。
おもしろいのに売れていないゲームはすべてプロデューサーが悪い
MC:
最初にだいぶ答えていただいていますが、「プロデューサーは何をする人ですか」という質問が届いています。
安藤:
あらためてマジメに言うと、売上に関する最高責任者です。ディレクターはおもしろさに関する最高責任者。そのゲームがおもしろくなかったら、ディレクターが悪い。そのゲームがおもしろいのに売れなかったら、プロデューサーが悪いということです。
MC:
最近の映画だと、監督と配給会社の人という感じですよね。「鈴木Pと宮崎駿の違いね」というコメントがありますが、解ってますね。
安藤:
そうですね。だからオレはゲームを作っているときに、ディレクターに「このゲームはおもしろくない」とは言わないんですよ。一生懸命考えてもゲームって、なぜか最初にできあがる試作のものっておもしろくない。でも、おもしろいかどうかの責任を取るのはディレクターだし、先ほど言ったように、その人はオレが連れてきた人だから、その人に対して「おもしろくない」と言ったら、「おもしろくない人を連れてきたのはお前やん」と言われて終わりなんですよ。
MC:
なるほど。
安藤:
そんなときは、「このままだと売りにくい」と言います。「ここをこういうふうに直してもらえたら、もっと売ってみせるから」と。それに続けて、「おもしろくするのはあなたの仕事だよ」と言います。プロデューサーは、それくらい売上に関する責任者だということです。
MC:
もう「なるほどな~」というコメントばかりになりましたね(笑)。
安藤:
売れるかどうかがプロデューサーの実力です。
MC:
ではここからは皆さんからの質問を読み上げ、ksonさんに選んでもらおうと思います。
安藤:
ねえ、ksonは自分からこんなにセクシーな衣装を着てきたのに、ひとりでカメラに抜かれるのがイヤなんだよね。恥ずかしいんでしょ?
kson:
はずかしいのー。うふふふふふ。
安藤:
そのへんの奥ゆかしさが、ksonの魅力なのかもね。
kson:
に、日本人だ……。
MC:
「キャッチコピーの作り方」、「プロデューサーに向いている性格は?」、「ディレクター兼プロデューサーはどうですか?」、「安藤さんはスケベですか?」、「ksonさんの年齢は?」
kson:
うるせえ。
MC:
ksonさん、何か気になる質問はありましたか?
kson:
ほおー。どれもとても気になりますけど……安藤先生はすけべですか?
安藤:
こんなにいっぱいあって、そこ!? でもスケベですよ。スケベなほうがおもしろいゲームが作れます。
kson:
どうしてですか?
安藤:
ゲームってボタンを押したら、ちゃんと反応しないとダメですよね。たとえば『スーパーマリオ』でAボタンを押すと、マリオはどうなりますか?
kson:
『スーパーマリオ』は私はあまり知らないけど、ジャンプしますか?
安藤:
そう。Aボタンを押すとジャンプする。ずっと押すと、高くジャンプする。ずっと押してもピョンぐらいのジャンプだったら楽しくない。触ったときの敏感さが楽しさのひとつになっていますよね。伊予柑さん(MC)で試します。触ったときにすぐ身をよじる敏感な伊予柑さんは楽しい。今度は鈍感な伊予柑をやってください。……ほら楽しくないでしょ?
kson:
楽しくないです。
安藤:
もう1回敏感な伊予柑。ほら。楽しいでしょ?
kson:
楽しいです。
安藤:
要するに、ゲームはインプットとアウトプットで構成されているので、リアクションがいいゲームのほうがおもしろいんですよ。それは触ったときに感度がいいかどうかということだから、スケベなほうがおもしろいゲームは作れると思います。それとksonはスケベですか?
kson:
私は奥ゆかしいのプロの日本人をめざしますから。
安藤:
それはちゃんと答えになってるのかな? じゃあ奥ゆかしいスケベということなのかな? そういう風に思っておきます。スケベなほうがいいと思いますよ。