2016年11月に実施されたセガグループ初の合同イベント「セガフェス 2016」。
その第2回となる「セガフェス 2018」が約1年半の時を経て、4月14日から15日にベルサール秋葉原にて開催された。
第1回のコンセプトは「最新のセガは、これを見れば分かる!」だったが、今年は複数のテーマを盛り込んだフロアやゾーンをそれぞれ展開するというイベント内容。
その1つである記念ミュージアムは、メガドライブ30周年、ドリームキャスト20周年というアニバーサリー・イヤーを記念して、セガが発売してきた実機や周辺機器、ゲームソフトなどを振り返る内容となった。
そしてこの記念ミュージアムに象徴されるように、イベントにあわせて発表されたサプライズの数々は、“セガの過去”に立ち返るようなものとなっていたといえるだろう。
本稿では先週末に明らかにされた、セガが進める4つの復刻プロジェクトをあらためて振り返っていこう。
文/ishigenn
Nintendo Switch向けに新生「SEGA AGES」始動
「SEGA AGES」(セガエイジス)シリーズとは、セガの名作タイトルを現代によみがえらせるという名目で誕生したブランド。
その歴史は1996年にリリースされたセガサターン向け『宿題がタントア~ル』からと古く、以降はプレイステーション2やプレイステーション3、Xbox 360などで数々の名作が復刻されてきた。
今回あらためて発表された新生「SEGA AGES」はNintendo Switch向けに展開される。開発はニンテンドー3DS向けの「セガ3D復刻プロジェクト」も担当した有限会社M2。
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『サンダーフォースIV』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、『アレックスキッドのミラクルワールド』、『ゲイングランド』、『ファンタシースター』をふくむ15本が、ダウンロードタイトルとして日本・欧米向けに2018年夏よりリリースされていく予定となっている。
なおM2が手がけた「セガ3D復刻プロジェクト」や、プレイステーション3とXbox 360向けに展開された「セガエイジスオンライン」では、オリジナル版にはないゲームモードや設定オプション、機能が追加されており、今シリーズでも搭載される予定だという。
Nintendo Switch向けに展開されるということもあって、Joy-Conでの2人プレイ対応などには期待できそうだ。新生「SEGA AGES」シリーズではセガの名作がどのように復活するのか、続報に注目したい。
『シェンムー I&II』がPS4でよみがえる
1999年にドリームキャストでリリースされた『シェンムー 一章 横須賀』、2001年にリリースされた『シェンムーII』。両作は当時、登場キャラクターたちが時間の流れに沿って生活するシステムや、アルバイトからガチャガチャまで多種多様に用意されているインタラクティブ要素が画期的であると評価を受けた。
現在では日本における3Dオープンワールド黎明期の歴史的作品として挙げられることも多い。
その自由度の高さは新たなゲームシーンを切り拓き、『Grand Theft Auto(グランド・セフト・オート)Ⅲ』にも大きな影響を与えている。
今回発表されたプレイステーション4版『シェンムー I&II』は、その両作をリファインしてPS4向けに2018年リリース予定。
グラフィックスクオリティが向上するだけでなく、操作オプションやユーザーインターフェイスの最適化などもはかられている。海外ではプレイステーション4だけでなくXbox OneとPC版も発表されているが、Steamに開設されたストアページには日本国内からはアクセスできない状況だ。
ご存知の方も多いと思うが、『シェンムー I&II』に続く物語を描く『シェンムーIII』が現在開発中となっており、当時は初代から続編へと引き継ぐことができたセーブデータの継承機能にも期待したいところ。
2014年に発表された『シェンムーIII』は、Kickstarterにて開発資金を確保したのち、鈴木裕氏とYS NETが開発を継続中。リリースはプレイステーション4とPCを対象に、2018年下半期が予定されている。
シリーズ13年振りとなる『新サクラ大戦』(仮題)が始動
1996年9月にセガ・サターンでリリースされた『サクラ大戦』は、大正12年の日本を舞台としたドラマチックアドベンチャーゲーム。
「光武」と呼ばれる人型蒸気兵器で戦う日本政府の秘密部隊「帝国華撃団」の活躍を描く内容で、プレイヤーは海軍の少尉である大神一郎となって女性団員たちとともに巨悪と戦う。
ゲームはロボットシミュレーションとアドベンチャーパートを軸に進んでいく。
シリーズとしては2005年にプレイステーション2(国外ではWiiにも)でリリースされた『サクラ大戦V』以来、13年振りとなる最新作。
2016年に20周年を迎え、同年の「セガフェス 2016」では「復活してほしいセガの作品」アンケートの1位に輝くなど、ここ数年はファンからシリーズ復活の声が高まっていたが、その願いが叶えられたかたちとなった。
なお今回の発表で『新サクラ大戦』(仮題)の詳細は明らかにされておらず、対応ハードや発売時期も現時点では未定。
舞台は大正29年の帝都・東京で、まったく新しい物語を描く完全新作となり、“最新のプラットフォーム向け”に開発中ではあるそうだ。全貌は後日開催される発表会にて伝えられる予定となっている。
噂になっていた「メガドライブ ミニ」(仮称)が2018年発売
先日の産経ニュースの報道でも噂となっていた復刻版「メガドライブ」。
細かな部分は異なるものの、「メガドライブ ミニ」(仮称)が2018年にリリースされることが発表された。
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1988年にリリースされてから30周年。
「メガドライブ ミニ」は「メガドライブ」向けタイトルを内蔵したゲーム機となっており、カートリッジでのプレイには対応していないという。
当時のデザインを再現しつつも、幅150mm×奥行き114mm×高さ36mmと、オリジナルと比べてサイズは約1/4にまで縮小されており、両手で簡単に持てるほどの大きさとなっている。
「メガドライブ」誕生30周年記念!
— セガ公式アカウント🦔 (@SEGA_OFFICIAL) April 14, 2018
『メガドライブ ミニ』(仮称)2018年発売決定!
思い出の名作ゲームの数々が、これ1台で楽しめます!#セガフェス #メガドライブ #メガドライブ30周年https://t.co/HWj6NFL96y pic.twitter.com/0C9QH1l5Mr
※「メガドライブ ミニ」では、ライセンスをセガが有しているタイトルが多数収録されると考えられる。『獣王記』、『コミックスゾーン』、『ゴールデンアックス』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』などは定番ながら選ばれそうだ。
なお産経ニュースの報道にて触れられていた「Sega Genesis Flashback」とは別モノではあるが、Twitter上では開発のAtGamesが自社の技術によって「メガドライブ ミニ」が動作していると伝えるつぶやきも(ツイートは削除済み、参考リンク:Nintendo Life)。
発売・販売はセガゲームスが手掛けることが発表となっているが、「Sega Genesis Flashback」と同様の構造となるのかどうか、続報が待たれる。
セガの復刻はまだまだ続く?
2017年3月期の決算説明会では、「Road to 2020」と称されたセガの2020年までの取り組みをまとめたロードマップが公開された。その中でも「休眠IPの再活用等を含む過去のIPのリバイバル」は大きく掲げられたテーマのひとつであり、今回その取り組みの様相が見えた流れと言えるだろう。
先日発売された『バーチャロン』シリーズの最新作はもちろん、セガには『ジェットセットラジオ』や『パンツァードラグーン』、『バーチャファイター』に『NiGHTS』といった名作が数多く揃っている。
セガサターンやドリームキャストの復刻とともに、これらのIPにもリバイバルの手が届くのか、今後の動向に期待したい。