アメリカのカトリック団体「FUNDACION RAMON PANE」(ラモンペイン財団)は、位置情報を利用して現実世界を舞台に聖書に登場する人物や聖人を探す『Follow JC Go!』をiOSとAndroidでリリースした。現在スペイン語版のみが利用可能だが、今後数週間で英語、イタリア語、ポルトガル語など他の言語も追加される予定となっている。
海外カトリック系メディアCruxによれば、『Follow JC Go!』は現ローマ教皇フランシスコの祝福を受けており、バチカン公認の伝道ツールとして認められていることが伝えられている。
『Follow JC Go!』は、ありていに言ってしまえば『Pokémon GO』のカトリックバージョンだ。
実際に街を歩いて聖書の人物や聖人を探し、ゲーム内で「eTeam」と呼ばれる自分だけの福音伝道チームを結成することができる。聖人たちを発見した場合、関連したクイズが出題され、それに答えられれば自分の仲間になる。
カトリックに関連した施設のほか、ホテルや観光地、レストラン、ショッピングセンターなどを探す事ができる「ポイントオブインタレストファインダー」も用意されている。ゲームを使って歩き回ることで霊性(Spirituality)や水、パンを見つけることができ、それらを集めることでサプライレベルを上げると、ゲーム内で生きる助けになる。他のプレイヤーが近くにいる場合はゲーム内でも通知され、プロフィールを確認したりメッセージを送ることもできる。
ゲームには広告が表示されるほか、ゲーム内通貨であるデナリウス銀貨を購入することができるが、これらの収益はラモンペイン財団の慈善事業に利用されるという。
『Follow JC Go!』は、2019年1月にパナマで開催されるワールドユースデーに向けて開発されたゲームだ。デザイナーやエンジニアだけでなく、教会史や聖書の専門家、神学者らで構成された43人のチームで2016年から開発されている。ゲームを通じて、特に若い世代に向けて信仰や思いやりの心を育むことが狙いだ。
キリスト教のゲームと言えば、2016年にはカトリックの修道士が作った『Passiontide The Videogame』のような例もある。同作には敵を攻撃する要素も含まれており、キリスト教としてふさわしくないのでは?という意見もあったが、『Follow JC Go!』にその心配はなさそうだ。
ほかにも、オレゴン州ポートランドのマルトノマー大学では「クリスチャンゲームデベロッパーカンファレンス」が毎年開催され、クリスチャンの開発者たちが交流を深めている。
『Follow JC Go!』の成功が認められれば、庶民派で親しみやすいと評価を受ける現ローマ教皇の元、ゲームという形で伝道を行う手法はさらに広がるかもしれない。
文/古嶋誉幸