ファンの間でPC版『ダークソウル』の必需品とされたパフォーマンス改善Modを制作したことで知られ、これまで数々の国産ゲームをPCへ移植してきたDuranteことPeter Thoman氏が、新たなゲーム会社PH3 Gamesを共同設立したことを、フォーラムサイトにて明らかにした。家庭用ゲームのPC移植のほか、ゲームの最適化といった開発プロセスにおけるコンサルティング業務に従事する予定だという。
Duranteのユーザー名で知られるThoman氏は、オーストリアを拠点に活動するコンピュータ科学の専門家。同氏が2012年に制作したPC版『ダークソウル』用のMod「DSfix」は、レンダリング解像度の調整をはじめ、被写界深度のクオリティ向上、SSAO(Screen-Space Ambient Occlusion)およびSMAA(Subpixel Morphological Antialiasing)の追加、インターフェイスのカスタマイズ、セーブデータの定期的バックアップ、表示言語の変更など、もともと不便な点が多かった同作のプレイ環境を大幅に改善するもの。当時からファンの間では、導入必須Modとして親しまれてきた。
Modコミュニティで名を馳せた後は、日本ファルコム『英雄伝説 閃の軌跡』シリーズのPC移植や、Enhance Gamesの『Rez Infinite』におけるQAコンサルティングを手がけてきた。Thoman氏によると、開発チーム内で昨年9月から起業を計画しており、ようやくオーストリア国内での手続きが完了したのだという。新設されたばかりの公式サイトは業務内容のほか、これまでに手がけたプロジェクトや、提携先からのメッセージの掲載に留まっている。また、当面はこれまでどおりPC移植における品質向上に努め、早急なスタジオの拡大は予定していないとのこと。
自社でオリジナルのIPを開発する可能性については、「アイデアは常にあがってくるが、今は一からゲームを作り上げることではなく、自分たちの専門技術と少数精鋭を武器に高品質の移植を手がけていきたい」と、コメントしている。
なお、Thoman氏を含めた3人の共同設立者は全員が博士号の取得者であり、ゲームクリエイターとしてよりもコンピュータ科学の研究者としての印象が強い。今後、その専門性はSteamへのゲーム移植のみならず、ゲーム業界の多方面で発揮されることは間違いないだろう。
ライター/Ritsuko Kawai