フロム・ソフトウェアの『Demon’s Souls』から続く高難度アクションRPGシリーズは、今なお全世界のプレイヤーを魅了しており、海外では『Bloodborne』までの作品を含め「Soulborne」という略称で愛されている。ゲームファンのみならず、ゲーム開発者からもフォロワー作品が現れ、「Soul Like」というひとつのジャンルが形成されるほどだ。
ストリーマーのThe Happy Hob氏も、シリーズ作品に魅了されたプレイヤーのひとりだ。そんな彼は『Demon’s Souls』から『Bloodborne』までの5作品を敵から一度として攻撃を受けずに連続でクリアすることに挑戦した。
一度でも攻撃を受ければ、またはじめから5作品をクリアすべくリスタートする。スピードランで使うグリッチ利用のテクニックは使わず、あくまで通常プレイの範疇での挑戦となる。作品を攻略する順序こそ自由だが、DLCを含む全てのボスも倒すため、ゲームをプレイしたことがある方ならその難しさを簡単に理解することができるだろう。
※2019年2月の挑戦で失敗したシーン(音量にご注意ください)。
「The God Run」と名付けられたこのチャレンジに、The Happy Hob氏は数ヶ月前から何度も挑戦してきた。2019年2月には『DARK SOULS』3部作と『Bloodborne』を順調にクリアし、ついに最後の『Demon’s Souls』へと挑んだ。しかし、14時間に及ぶ挑戦は『Demon’s Souls』をプレイし始めてから開始5分と経たずに水泡に帰す。チュートリアルで登場する最初のボス(であり本来倒す必要のない)「拡散の尖兵」に、些細な操作ミスからダメージを受けてしまったのだ。
The Happy Hob氏は2016年に世界で初めて『DARK SOULS』を一度も敵の攻撃を受けずに攻略し、ノーダメージクリアの先駆者として名乗りを上げている。残念ながらその頃のアーカイブは残っていないが、『DARK SOULS』のディレクター兼プロデューサーを務めた宮崎英高氏もWierdのインタビューで彼の功績に言及。「噂は聞いているが信じていない」と答えている。
その後もThe Happy Hob氏は自身の挑戦に邁進する。単体作品だけでなく、2018年には『DARK SOULS』3作品をを同じ条件でクリアする挑戦を約1年掛けて達成。『DARK SOULS』シリーズのスーパープレイヤーの一人としての地位を揺るぎないものにした。
※昨年の『DARK SOULS』3部作ノーヒットチャレンジにおける達成の瞬間(音量にご注意ください)。
そんな氏も、上記の通り「The God Run」では苦戦が続いていた。挑戦時間は合計で400時間を超えたが、何度も心を折られる結末を迎えた。しかし、3月21日、最後の作品としてチョイスした『DARK SOULS III』の最終ボス「王たちの化身」を見事に撃破。歓喜の雄叫びとともに涙を流して喜びを顕にした。
突如雄叫びを上げ泣き出した飼い主を心配して愛犬もやってきたが、The Happy Hob氏はお構いなしに愛犬と抱き合って喜びを分かち合った。
※「The God Run」達成の瞬間(音量にご注意ください)。
フロム・ソフトウェアは3月22日に新作アクションゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』をリリースした。「ソウル」シリーズからは大きく離れ、ジャンルもRPGから純粋なアクションゲームへと舵を切っているが、高難度で歯ごたえのあるゲームといった点で、「ソウル」シリーズの流れを汲んでいるといえる。そんな作品が出る数時間前に、それまで発売された「Soulborne」全てを一度も攻撃を受けずにクリアする挑戦を達成してしまうというのは、あまりにもタイミングがよすぎるドラマだろうか。The Happy Hob氏の次なる挑戦は、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』を加えた全6作品をクリアすることになるかもしれない。
ライター/古嶋誉幸