イギリス・リバプールに拠点を置くCosmonaut Studiosは、タイムトラベルを題材にした一人称視点アドベンチャーゲーム『Second Chance』のSteamストアページを開設した。Cosmonaut Studiosはベテランと新人の9人の開発者からなるインディースタジオだ。
『Second Chance』の舞台は、2015年5月のイングランド北部。ここではある日、住宅火災によって6人の人たちが死亡した。プレイヤーは時間を跳躍することができる特殊工作員となって、住民たちの運命に干渉し、全員の命を救いだすことになる。大本の出火を抑止することはできないが、火災以前の7日間の出来事を操作することによって、悲劇を食い止めなければならない。
Steamのストアページの紹介文を読むと、本作の自由度はかなり高いことが伺える。住民たちが暮らす生前の7日間ならば、好きな順番からさまざまな干渉を与えられるという。考えただけでもフラグが膨大になり、シナリオを書くのが大変そうだが、どうやら主要の物語が変わるイベントと、わずかな変更しか及ぼさないイベントに分かれているようだ。たとえば、大きな時間軸での出来事を変更すると、既存のイベントが変化したり、新しいイベントが追加され、物語の結末に近づくことができる。それ以外の時間軸の変更は、登場キャラクターの秘密や物語の背景などがわかる程度のものに留まるようである。
だが、大きな時間軸の変更は必ずしも良い方向に作用するとは限らない。時には回り道をするかのような不利益な選択が、最終的にいい結果をもたらすこともあるようだ。どのように機能するのかは不明だが、システム画面としてタイムチャートのようなものも存在しており、時間軸を操作するプレイヤーの助けになるだろう。
本作のSteamのストアページにあるトレイラーを見るに、主人公は特殊な機器を用いて、住民の過去7日間の出来事を垣間見ることができようだ。映像では下着姿の女性、口論を起こしている人たちなど、暮らしている住民の私生活を覗き見ることが確認できる。ここから6人のそれぞれの登場人物の思惑が交錯し、火災の原因と至るのだろう。住民たちがどのような性格や背景をもったキャラクターなのか、そして出火の決定的な要因が何なのか気になるところだ。
一人称視点の作品で過去改変ものといえば、『TIME SHIFT』や『シンギュラリティ』、部分的には『タイタンフォール2』や『バイオショック インフィニット』があった。しかしそれらはあくまでシューターが中心であり、時間操作は物語に絡んでくるものの、あくまで副次的要素。またウォーキングシミュレーターでは『Everybody’s Gone to the Rapture –幸福な消失–』、『The Vanishing of Ethan Carter』、『Tacoma』など過去を垣間見えることが主題ではあったが、それ自体を改変するわけではなかった。
なお過去の映像を見ると、もともと本作は『The Seer』というホラー要素が強い一種のウォーキング・シミュレーターとして開発されていたようだ。本作はその点で、ウォーキングシミュレーターの美麗なアートワークを一人称視点で魅せる伝統を引き続きつつ、しっかりとした物語性やキャラクターを重視した自由度の高い時間操作アドベンチャーを志向しているようである。こういったアプローチはとてもユニークで、新鮮のように思える。
発売日、価格とも未定。PC以外のプラットフォームも今のところ発表されていない。もちろん日本語化は決まっていない本作。どこまでコンセプトが貫かれているかが肝心ではあるが、とても注目に値する作品といえそうだ。日本国内のパブリッシャーを含め、本作の動向を追ってみてはいかがだろうか。
ライター/福山幸司