湾岸戦争の爆撃を受けても壊れなかったという逸話を持つ任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」が、1989年に発売されてから2019年4月21日で生誕30周年を迎えた。『ポケットモンスター』や『星のカービィ』といった名シリーズが生まれ、販売台数は1億台を超える、偉大なプラットフォームだ。
今月、そんなゲームボーイ風のゲームを手軽に作るツール『GB Studio』が無料でリリースされた。Windows、Mac、Linuxに対応し、GitHubを通じてソースコードも公開されている。
制作したゲームはItch.ioにアップロード可能なほか、HTML5形式で出力しPCやスマートフォンにて対応ブラウザ上でプレイしたりすることができる。あるいはゲームボーイ用のROMデータとして出力することもできるため、環境があれば自作ゲームをゲームボーイで遊ぶこともできる。
またGB Studioの大きな特徴は、プログラミングの知識が不要で直感的にゲームを作ることができる点だ。PNGで保存した画像ファイルを用意すれば、すぐにでもゲーム作りを始められる。サンプルプロジェクトも用意されているので、そちらを改造しながらどういったことができるか少しずつ学ぶこともできる。
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ただし作ることができるゲーム内容は、戦闘のないシンプルなトップダウン視点のアドベンチャーゲームに特化している。イベントをうまく組み合わせて戦闘システムを作ることはできそうだが、『ポケモン』のような複雑な戦闘は再現するのは難しそうだ。逆にゲームボーイ風のグラフィックで会話やフィールドパズルを利用したアドベンチャーゲームを作りたいが、複雑なプログラミングやゲームボーイへの知識が無い方にはうってつけと言えるだろう。
メイン画面に画像ファイルを並べ、シーンごとのつながりを設定し、キャラクターや看板といったオブジェクトにセリフやフラグを設定するインターフェースは、初心者が見ても何が起きているかわかりやすい。サンプルプロジェクトのPNGファイルを少し書き換えるだけでタイトル画面が完成する。
すでにSNSではサンプルを制作したユーザーが作り上げた成果を発表している。ビジュアルノベルや戦闘風の画面も見られるので、発想次第でさまざまなゲームを作ることができるようだ。
発売から30年が経ったが、息の長いハードだけに世代を超えて多くの人々に愛されてきたゲームボーイ。そんなゲームボーイで自作のゲームを作りたいと思う方も多いのではないだろうか。『GB Studio』はそんなあなたの夢を叶えてくれるソフトウェアだ。
ライター/古嶋誉幸