PUBG Corporation(以下、PUBG Co.)は、自社の傘下となる新たな独立系デベロッパー「Striking Distance Studios」(以下、Striking Distance)の設立を発表した。Striking Distanceは『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』と世界観を共有する物語重視のスピンオフタイトルを開発する。
スタジオを率いるCEOはグレン・スコフィールド氏。かつてVisceral Gamesの副社長兼ゼネラルマネージャーを務め、同社で『DEAD SPACE』のエグゼクティブ・プロデューサー制作を指揮した。2009年にはマイケル・コンドリー氏とともにSledgehammer Gamesを設立。『Call of Duty: Modern Warfare 3』、『Call of Duty: Advanced Warfare』、『Call of Duty: WWII』で共同ディレクター兼プロデューサーを担当した。
The only thing I can say now is that I’m not working on a sequel to PUBG, but an original narrative in the PUBG universe.
— Glen A. Schofield (@GlenSchofield) June 26, 2019
スコフィールド氏はPUBG Co.に参加し、Striking Distanceを立ち上げるにあたっての所信表明を行った。スコフィールド氏は動画内で「創造の観点から、バトルロイヤルジャンルを超えてPUBGユニバースを自由に探索するその可能性にとても興奮しています。」と語っている。ゲームについては「続編ではなく、『PUBG』ユニバースの物語重視のオリジナル作品」としている。
カリフォルニア州サン・ラモンに拠点を置くStriking Distanceはまだ立ち上げたばかりの新興デベロッパーであり、同社の求人情報ページではリードデザイナーやUI/UXディレクターといったゲーム開発から、最高財務責任者のような事業運営まで幅広く募集している。リードデザイナーはシングル・マルチプレイ両方で募集されているため、新作はどちらの形態も取る予定があるようだ。
ページのトップには「Battle Royaleを超えた『PUBG』のビジョン」を視野に入れた一流の会社をゼロから構築するとある。新作が我々の目に見える形で発表となるのはもうしばらく先となるだろう。
『PUBG』はPlayerUnknownことブレンダン・グリーン氏が韓国のデベロッパーBlueholeと協力して開発したシューターだ。100人のプレイヤーがひとつのマップに上陸し、最後の1人になるまで戦うバトルロイヤルジャンルの人気に火をつける立役者となった。
グリーン氏は『ArmA2』のMOD『DayZ』でバトルロイヤルを行う『DayZ Battle Royale』を開発したことを皮切りに、さまざまなバトルロイヤルゲームを制作。
『PUBG』は映画『ハンガー・ゲーム』から着想を得ているが、ゲームでは参加者が戦う理由はとくに説明されていないため、「PUBGユニバース」と言われてもなかなか想像がつかないものではある。
ユニバースを意識した今回の動きの理由は、同じバトルロイヤルジャンルの他のライバルたちの存在が無視できないだろう。最大のライバルである『Fortnite』は、早くからバトルロイヤルルールにストーリーを持たせた。シーズンごとに変化する戦場、ゲーム内外で起きるサプライズはプレイヤーたちの想像を掻き立てている。
2019年にリリースされた『Apex Legends』は、確固とした物語を持つ『Titanfall』シリーズのスピンオフということで、登場する世界やキャラクターに明確なバックグラウンドが設定されている。
アクションゲームで物語を表現する作品を多数手がけているスコフィールド氏の経歴から見ても、Striking Distanceの作品は『PUBG』自体をひとつのユニバースとして再定義する作品になる可能性は大いにあるだろう。果たして新作はどのような形になるのか、今後の報告が楽しみだ。
なお、『PUBG』は7月10日までSteamサマーセールで50%オフの1650円で販売中。新作の前に、ゲームを未経験の方はこの機会にゲームを試してみてはいかがだろうか。
ライター/古嶋誉幸