CD PROJEKT REDは、開発中の新作RPG『Cyberpunk 2077』のカットシーンを原則、すべて一人称視点とすることを明らかにした。海外フォーラムでファンとのやり取りの中で判明したもので、ファンと開発側のやり取りによればセックスシーンも一人称視点で描かれるという。次いで『Cyberpunk 2077』の開発者Marcin Momot氏が、この変更をTwitterで公に認めた形だ。
CD PROJEKT REDの日本公式アカウントも、Marcin Momot氏の言葉を転載する形で、『Cyberpunk 2077』のカットシーンが一人称視点になることを発表している。
(1/2)一部報道にて #サイバーパンク2077 のカットシーンが1人称視点のみになったと報じられていますが、その件についてコメントします。本作は1人称視点のゲームですが、1人称視点においては没入感の最大化が重要です。その中で我々は、本作のカットシーンを1人称視点中心とする決断をしました。
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) September 2, 2019
(2/2)ゲームプレイと物語の伝達において、この決断が必ずプラスに働くであろう確信が我々にはあります。但し本作でプレイヤーキャラクターを視認できる場所がなくなるわけではなく、所持品画面、運転時、鏡にて確認できるほか、ごく一部のカットシーンでも表示されることをお知らせします。
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) September 2, 2019
『Cyberpunk 2077』は一人称視点のRPGで、プレイヤーは見た目などを自由にカスタマイズするできる主人公を操作する。通常のプレイでは一人称視点だが、カットシーンはこれまで三人称視点で描かれていた。2018年に公開されたデモプレイ映像では、画面上にプレイヤーが設定した主人公が写っているカットシーンが確認できる。
今回の発表ではこういった三人称視点のカットシーンが一人称視点となっていることが明らかとなった。ただし2018年のデモプレイ映像を見る限り、一人称視点のカットシーンやイベントは、変更前からもともと含まれており、三人称視点のカットシーンはゲームの基調をなすほどの大部分を占めているわけではなさそうである。また今回のニュースで、主人公の姿がゲームから見れなくなるという懸念があるが、所持品画面や鏡などで確認できるとのこと。
いわゆるFPSのジャンル、たとえば2007年の『Call of Duty 4: Modern Warfare』、2013年の『BioShock Infinite』ではカットシーンも一人称視点で貫かれていた。しかし、昨今の流れとしては、FPSでも「カットシーンは三人称」というパターンが多く、『Wolfenstein: The New Order』、『Call of Duty: WWII』、『Battlefield V』のカットシーンはそれぞれ三人称視点だ。また一人称視点のRPGである『Deus Ex: Mankind Divided』の場合でも、カットシーンは三人称視点で描かれている。
『Cyberpunk 2077』のようにプレイアブルは一人称視点、カットシーンも一人称視点というのは、昨今では珍しい存在だろう。
CD PROJEKT REDの代表作『ウィッチャー3 ワイルドハント』の洗練されたカットシーンは記憶に強く残るもので、主人公ゲラルトを中心に、映画的な演出のカット割りがリアルタイムで描写される豪華な作りになっていた。さらにプレイヤーはただそのカットシーンを観賞するだけではなく、ボタンを押すことによって、台詞ごとにスキップが可能で、映像もその台詞に合わせたカット割にスキップされる。映画的な映像演出に浸るのもいいし、プレイヤーのテンポで台詞を読み進めることができた快適なカットシーンだったわけだ。
『Cyberpunk 2077』は、2012年の発表以来、長きに渡る開発期間を経て、2020年4月16日に発売予定。カットシーンを原則で一人称視点にするという今回の発表は大きな決断と言えるだろう。
しかし、土壇場でCD PROJEKT REDはそのクオリティに妥協しないデベロッパーであり、過去の『ウィッチャー3 ワイルドハント』の洗練されたカットシーンを考えると、高い品質は折り紙つきだ。一人称視点を採用した理由としてCD PROJEKT REDは、「没入感」を挙げており、『Cyberpunk 2077』では見事な一人称視点のカットシーンがゲームの豊かな体験に繋がっていることを期待しよう。
ライター/福山幸司