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ラブデリックの伝説的ゲーム『moon』がNintendo Switch向けに10月10日に発売決定。ゲームアーカイブスにもない幻の名作がついに復刻

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 任天堂は、 本日9月5日に配信したNintendo Directにて、1997年にアスキーから発売、ラブデリックが開発した『moon』を、Nintendo Switch向けに発売すると発表した。発売日は10月10日。ダウンロード専用。

 『moon』は、1997年に発売したプレイステーションから発売したリミックスRPGアドベンチャーを銘打たれたゲームだ。『ロマンシング・サガ』シリーズや、『スーパーマリオRPG』に携わったスタッフたちが設立したラブデリックが開発しており、ゲームの中のゲームが舞台というメタフィクションな構造と、日本のRPGを批評するような内容から、カルト的な人気を得ているゲームだ。

 しかし本作は初代PSゲームアーカイブスで配信はされておらず、プレミアがついていた幻の作品だったため、ここにきて突然、Nintendo Switch向けに復刻が発表されることは、驚きの展開といえるだろう。

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(画像はYouTube 「Nintendo Direct 2019.9.5」より)

 ゲームの開幕は、少年がテレビで王道ファンタジーPRGをプレイしているところからはじまる。「ゲームなんてやめて早く寝なさい!」という母親の呼びかけてで、ゲームを止めて眠りに付こうとすると、少年はテレビに吸い込まれてしまい、気付けばゲームの世界に迷い込んでいた。つまり本作の舞台となるのは、ゲーム内のゲームだ。

 そこで少年が見たものは、テレビを通して見ていたファンタジー世界ではなく、人々に迷惑をかけ、アニマル(モンスター)を殺戮する傍若無人な勇者の姿だった。こうして少年は、自分が操作していたはずの勇者の後を追いつつ、勇者によって傷つけられた人々やアニマルを救済しつつ、世界に「ラブ」を取り戻していく。

 つまり本作は、王道ファンタジーPRGの裏側で実は起こっているかもしれない出来事を暴き出そうとするRPG自体を批評するようなゲームである。しかもそれをゲーム内のゲームという、複雑なメタフィクション性を持っている。

 だが、本作はそういったメタ構造だけではなく、限られた時間内で少しづつ世界が広がっていく様と、自由度の高さが両立したシステム、エピソードが豊富に用意された人々の交流や、その世界に次第に愛着が沸いてくるストーリー性の豊かな部分の評価も極めて高い。

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(画像はYouTube 「Nintendo Direct 2019.9.5」より)
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(画像はYouTube 「Nintendo Direct 2019.9.5」より)

 長らくプレミア価格だった本作。タイトルやあらすじは知っているが、実際にプレイしたことがない人も多いだろう。少年がラブを集めた先にどのような展開が待っているのか、はたして勇者の存在とは。今回の復刻をきっかけに、Nintendo Switchで伝説のゲーム『moon』をプレイしてみてはいかがだろうか。

ライター/福山幸司

ライター
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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