9月23日にニューヨークで開かれた国連気候行動サミット2019にて、地球規模の環境問題にゲーム業界全体で取り組む同盟「Playing for the Planet Alliance」が、世界の大手21社によって結成された。同盟には、ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント(以下、SIE)をはじめ、マイクロソフト、ユービーアイソフト、そしてクラウドゲームサービス「Google Stadia」でゲーム事業に参入したグーグルなど、業界を牽引する大手各社が名を連ねている。
この取り組みに関して、SIEは次世代のPlayStation開発における具体的な施策を、サミット直前に同社CEOのJim Ryanによる署名で発表している。
これまでSIEは、プロセッサコアをはじめとしたマイクロコントローラの機能を複数集積した「System-on-a-chip」アーキテクチャや、半導体デバイスにおける各トランジスタで電流を低減する微細化、RAMの情報を維持したままほかのパーツの電源を落とすことによって消費電力を抑える「Suspend to RAM」といった技術の導入によって、PlayStation 4の電力消費を大幅に低減することに尽力してきた。
こうした企業努力によって、現在までに削減できた二酸化炭素排出量は推定1600万トン。この削減量を、次の10年で2900万トンまで引き上げる計画だという。ちなみに、これは2017年におけるデンマーク全体のCO2排出量に相当する。
声明の中でRyan氏は、次世代のPlayStationではゲームプレイに要する消費電力を、現行のPlayStation 4よりも劇的に低減できると発表した。新機種が節約する電力を100万人のユーザーに換算すると、アメリカ国内1000世帯の平均消費電力に相当する見通しだという。
このほか、SIEの取り組みはハードウェア事業のみにとどまらないことについても、声明では触れている。同社はサステナビリティという人類共通のゴールに向けて、業界全体や気候の専門家と連携することで、サステナビリティをテーマにしたゲーム開発に向けた情報資源の構築にも注力しているとのこと。また、気候問題への意識を高めるためにPlayStation VRを活用する方法も模索していくと、同社は明言している。
次世代機であるPlayStation 5には、2Ryzenの8コアCPU「Zen 2」、レイトレーシングに対応したAMDのRadeon GPU、ソリッドステイトストレージが搭載されることが、現在までに判明している。今後は、サステナビリティを見据えた技術革新にも期待が寄せられる。
ライター/Ritsuko Kawai