『かまいたちの夜』や『TRICK×LOGIC』でシナリオを務めた小説家・我孫子武丸氏が、話題のアナログゲーム「マーダーミステリーゲーム」のシナリオを制作することをTwitter上で明らかにした。
実はこの一年くらいゆっくり進行してる案件があって、それもあって色々アナログゲームも積極的に遊んでいるのだけれど、マーダーミステリーは一回しか遊べないシナリオ重視のゲームということもあって、何とか一つくらいは作ってみたいという気持ちにさせられる。
— あびこ (@sukiyapotes) July 23, 2019
公開されてしまった。ツイート見ている人は想像ついたでしょうがこのところマーダーミステリーのことばかり考えています。近いうちに形にします。 我孫子武丸さんが マーダーミステリー に参戦! | トリプルエム https://t.co/ejPwYVfS3x
— あびこ (@sukiyapotes) September 30, 2019
マーダーミステリーゲームは、現在、日本でにわかに盛り上がりつつある会話型のアナログゲームのジャンル名だ。殺人事件が起きるシナリオの中で、参加者は物語の登場人物となって犯人を探し出し、殺人ミステリーを疑似体験していく。逆に犯人役に割り振られた人は、参加者に見破られず逃げ切ることが目的となる。
所要時間は2時間から3時間、プレイヤー数は6人から10人前後。手順としては、参加者はゲームマスター(ホスト)から物語のプロローグとルールが紹介されたあと、参加者にはそれぞれ数ページ程度のブックレットが配られる。そのブックレットにはプレイヤーが演じることになる登場人物の生い立ちや、事件の行動の時系列、個別ミッションが書かれている。
このブックレットに書かれた設定やシナリオを元に、参加者は全員で、あるいは個別に情報共有して事件の全体像を掴もうとディスカッションをする。さらにシナリオが進行すると、ゲームマスターから事件に新展開が告げられることがある。このように物語が進みつつ、推理を重ね、容疑者をしぼりこんでいき、最後には真犯人の投票に移る。
ゲームを複雑にしているのが、犯人を見つけ出すという目標以外に、プレイヤー自身の個別ミッションがあることだ。それぞれのプレイヤーは「ある秘密を守り通す」など、自分に課せられた目標を達成しなければならない。しかしこのことが真犯人を見つけ出すことと、しばしばジレンマを生んでおり、ゲームを一筋縄ではいかないものになっている。
ミステリー系RPG『王府百年』会レポート: ゲームという比喩https://t.co/Jedj0gk6AP
— T.Mizutani(中日翻訳者) (@T_Mizutani) September 25, 2018
昨日は烏丸のゲームバー、ドッツさんにて話題のマーダーミステリーゲーム、「王府百年」を遊んで来ました。謎解きゲーム、人狼、TTRPGなどのどれとも違う新しい体験。 pic.twitter.com/hsqdp0CRex
— あびこ (@sukiyapotes) July 23, 2019
もともとこのジャンルは中国で流行しており、それを翻訳家のT.Mizutani氏が、日本で『王府百年』を紹介したのがきっかけで広く知られるようになった。その後、各地のボードゲームカフェで扱うようになったり、専門店ができるほどまでに急成長している。『王府百年』はマーダーミステリーの代表的なゲームだが、2019年春には日本市場向けに作られた台湾のゲーム『約束の場所へ』も人気を博している。
そんな話題のマーダーミステリーゲームに、小説家の我孫子武丸氏が制作した作品を発表するという。我孫子氏といえば、さまざまな作品を代表作に持つ小説家だが、ゲームに詳しい造詣を活かして『かまいたちの夜』でノベルゲームに旋風を巻き起こし、『TRICK×LOGIC』ではプレイヤーに本格的に推理させることを打ち出したコンセプトが好評を博した人物。マーダーミステリーゲームにも新たなる傑作が生み出されるかもしれず、これから要注目といえるだろう。
ライター/福山幸司