YouTubeの「FINAL FANTASY」公式チャンネルは、動画「Inside FINAL FANTASY VIII Remastered」を公開した。ディレクターの北瀬佳範氏をはじめ、プロデューサーの橋本真司氏、アートディレクターの直良有祐氏の三者が、1999年に発売したオリジナル版『FINAL FANTASY VIII』の当時の思い出を語っている。
オリジナル版『FINAL FANTASY VIII』は、前作『FINAL FANTASY VII』が世界的に大ヒットを受けて、大きな期待と注目が集まっていた。蓋を開けてみると、従来の『ファイナルファンタジー』シリーズの枠に囚われない、非常に意欲的で挑戦的な作品となった。
「Inside FINAL FANTASY VIII Remastered」で、ディレクターを務めた北瀬氏はそんな本にまず思い出すことに、「FF初の主題歌」を挙げている。フェイ・ウォンさんが歌う『Eyes On Me』のシングルCDは、50万枚を超えるヒットを記録している。
また北瀬氏は世界観に触れ、『FINAL FANTASY VII』でサイバーパンク調をやったので、「さらに近未来」を目指していたが、あくまでストーリーは「ファンタジー」がベースにあって欲しいと思ったので、魔女イデアというキャラクターを採用したと説明した。
実は魔女イデアは、『FINAL FANTASY VII』のときにキャラクターデザインの野村哲也氏がすでに書き下ろしていたものだという。北瀬氏がそれを気に入って覚えていたので、『FINAL FANTASY VIII』のときに復活させたという。また西に良い魔女、東に良い魔女がおり、東の魔女の都エスタのエメラルドグリーンの風景は、『オズの魔法使い』的なエッセンスをいれていたという裏話が披露された。
さらにエスタといえば、エメラルドグリーンに加えて、半透明のスケルトンカラーが特徴的だが、そういった要素はアートディレクターの直良有祐氏が当時、スケルトンカラーに熱中していた個人的なものからきていると語っている。
プロデューサーの橋本真司氏によると、『FINAL FANTASY VII』では、移動シーンとバトルシーンとイベントシーンでポリゴンの頭身が違うが、『FINAL FANTASY VIII』ではこれを統一することがテーマとしてあったため、直良氏はリアルスケールの街などの絵作りには苦労したそうだ。さらにアートのディティールが求められることになったため、実際の学校にロケハンなどをしており、そういったものをゲームで反映させているという。
北瀬氏は、このように頭身がリアルになり、キャラクターのドラマをさらに見せられることに注力し、まず印象的なシーンをどう作るかというところからスタート。スコールとリノアがラブストーリーがテーマとしてあったので、二人が抱き合うカットシーンをまずは作りこんだ。そこから作品のキーカラーやグラフィックのトーンが決まり、イラストレーターの天野喜孝氏にロゴの依頼した。
バトルシステムについては、もともと開発の初期から新しいシステムを採用することが念頭にあったという。アクティブタイムバトルを発明した伊藤裕之氏がガーディアンフォースやドロー、ジャンクションシステムを設計。北瀬氏や直良氏は、『FINAL FANTASY VIII』の以前や以後でも、このシステムは遊んでみても新鮮と感じるので、今こそ遊んで欲しいと述べている。
他にも『FINAL FANTASY VIII』のカードゲームや、欧米での展開、好きなキャラクターやビジュアルを語っているので実際に動画をチェックして欲しい。
9月3日に発売した『FINAL FANTASY VIII Remastered』は、PS4、PC、Nintendo Switch、Xbox Oneで展開中だ。北瀬氏ならびに、バトルプログラムの原田弘氏、キャラクターモデルの栢野智博氏のオリジナルスタッフがリマスターを手掛けている。これまでリマスター同様、倍速機能などで遊びやすくなったほか、キャラクターモデルが刷新されて鮮明なモデリングとなっている。
ライター/福山幸司