かつてソニーが開発していたスーパーファミコン向け周辺機器であり「PlayStation」のプロトタイプ、いわゆる「Nintendo PlayStation」のオークションがついに始まった。オークションは現地時間3月6日までとなっている。
主催のヘリテージオークションはこの注目の競売のため専用のトレイラーを制作しており、冒頭で「公開オークションとしては初めてNintendo PlayStationが出品された」と伝えた。予想落札価格はヘリテージでも予想がつかないという。なお、出品者であるテリー・ディーボルド氏は、120万ドル(約1億3千万円)で購入するというオファーを断って今回オークションに出品している。
比較的早くこのオークションの開始を報じたarstechnicaの記事では1万5千ドルの入札があったと記されていたが、記事を執筆している現在すでに26万ドル(約2850万円)の値がついており、さらにその入札額は伸び続けている。
このオークションに誰が参加しているのかはヘリテージオークションのサイトでは公表されていない。ただし、Oculus社の創立者のひとりであるパルマー・ラッキー氏は、このオークションの入札に参加していることをTwitter上で明かしている。
氏は「いま自分が最高入札額者。自分と入札し続ける狂った奴はいる?」とツイート。この発言があった時点で入札価格は21万ドルだったが、前述のとおり26万ドルに更新されており、どうやらすでに数千万円規模の入札合戦が繰り広げられているようだ。
さらに「Nintendo PlayStationはすごいクールだけど、300万ドル(約3億2000万円)の価値があると思っている人は一握りだろうね」と、さらなる入札に応ずることを示唆するコメントも残している。
Nintendo PlayStationはかつてソニーが開発を進めていたスーパーファミコン向け周辺機器だ。CDドライブを搭載しているのが大きな特徴で、プロトタイプは全部で200台が生産されたという。見慣れたスーパーファミコンのコントローラーには、「SONY PlayStation」の文字が刻印されている。
ヘリテージオークションによれば、プロトタイプの多くは破棄されたという。今回出品されたものは、動作確認はスーパーファミコン版『モータルコンバット』で行い、完全に動作が確認されている。CDで遊べるゲームソフト自体は見つかっていないが、CDドライブも修復されており、音楽CDを再生することができる。
このほか、スーパーファミコンにも搭載されたAV出力、Sビデオ、スーパーファミコンのマルチ出力ポートが搭載。こちらに関しては、「NEXT」とラベルされた正体不明のポートも確認できるという。
1億3千万円のオファーを断って最終的にオークションに出品されたNintendo PlayStation。かつては噂されるだけの存在だったコンソールだが、現実に一体どれほどの値段がつくのだろうか。
ライター/古嶋誉幸