全国ではじめて子どものインターネットやゲームの利用時間制限を定めた、香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」について寄せられたパブリック・コメントの原本が14日(火)、情報開示請求にともなって一部メディアに公開された。
このパブリック・コメントを確認したKSB瀬戸内海放送や朝日新聞などによると、開示された文章はほとんどが電子メールで、送信者や住所の名前は黒塗りにされており、「賛成します」という同じ文言ものや、短い時間で連続して送信されたものが確認されており、以前から指摘されていた「動員」、あるいは「名義貸し」の疑惑がさらに深まり、波紋を広げている。
「ネット・ゲーム依存症対策条例」のパブリック・コメントは、3月の条例可決前に一般向けに公募されたもの。最終的に、条例への賛成が2269件、反対が401件あったという。しかしこういったパブリック・コメントの数自体が極めて多く、全国的にも異例であり、さらに3月末には先んじて原本を閲覧した竹本敏信県議が、同じ文言が感覚的に7割程度あり、動員や名義貸しの可能性を指摘していた。なおこの時点で、閲覧する委員に対して、「情報漏洩があった場合、連帯責任」となる署名をするように求められ、結果として竹本県議のみが閲覧することになったという。
今回メディア向けに開示された原本によって、竹本県議が指摘していた、同じ文言があったことの確認が取れた形となった。
KSB瀬戸内海放送によると、「条例通過により明るい未来を期待して賛成します。賛同します」と「ネット、ゲームが子供達に与える影響様々ですので、賛成」といった一行だけの文言が、それぞれ100通以上、多く寄せられているのが確認されている。朝日新聞によると、反対意見として寄せられた401件の書式はばらばらで、ほとんどは具体的な意見が書かれていたという。
またほかにも2月1日の11時21分、同分、22分と短い時間で送信されている文言が見つかり、こうしたものが名義だけ借りて、同一人物が送信している可能性の疑惑が深まっている。なお同一のプライベートIPアドレスから送信が多いことに関しては、県議会ほホームページにある「ご意見・お問い合わせ」の入力フォームから送信すると、このように表示されることがねとらぼの取材で判明している。
なおパブリック・コメントはそもそも賛成や反対などの票数を問うものではなく、改善案や意見を求めて、よりよい行政に反映させる手続きだ。しかし、原本の表紙には賛成、反対の数が書かれた内訳が載っていたほか、最終会合では条例検討委員から「賛成も多いし早く採決しよう」と、採決を促す発言があり、審議が20分で打ち切られたことをKBSが報じている。
香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」に関しては、こうった採決過程だけではなく、そもそも子どもの学力低下とゲームの因果関係を示す医学的根拠が示されていない問題点も指摘されている。
ライター/福山幸司