KGProjectは、『クーロンズ・ゲート』の続編『クーロンズリゾーム』の開発における初期費用を集めるクラウドファンディングプロジェクトをCampfireにてスタートした。目標額は200万円。資金は各種アセットの購入、試作品の開発にあてられる。
なお、プロジェクトはオールイン形式を採用しており、たとえ目標額に達成しなくても、集まった支援金はゲームの開発に使用される。
『クーロンズリゾーム』は、1997年にPlayStationで発売されたアドベンチャーゲーム『クーロンズ・ゲート』の続編として企画されているプロジェクトだ。前作の企画開始から25周年を記念した作品として2019年11月に公表され、これまでにゲームの情報が少しずつ明かされてきた(参考記事)。
リメイクではなく完全新作として2021年秋リリース予定で、対応プラットフォームはNintendo Switch、PlayStation 4、PC(Steam)。PlayStation 5への対応も見込んでおり、ゲームは4Kクオリティで制作されるという。
主人公は前作と同じ「超級風水師」ではなく「陰界」の調査を手がける機関から派遣されるエージェントとなる。前作の設定を踏襲しつつ、新たな『クーロンズ・ゲート』の世界を切り開く。前作の特徴であった「陰陽五行」を軸にしたバトルシステムが、本作でどうなるかも楽しみだ。
前作『クーロンズ・ゲート』は、ゲームの特徴だった路地裏の移動を画像の切り替えで表現する「jpegダンジョン」と呼ばれる技法を採用していた。一方、『クーロンズリゾーム』はすべてリアルタイムレンダリングとなり、陰鬱とした路地を思うまま歩き回れるようになる。
リアルタイム空間は「路地裏オープンワールド」と銘打たれ、自由なゲームプレイを担保しながら指向性のある路地裏空間を利用し、次に向かうべき場所を見失わないゲームを目指す。また、ゲームのリリース後もスピンアウトシナリオを追加する予定のようだ。
キャラクターデザインは『Caligula -カリギュラ-』のキャラクターデザインを手がけたおぐち氏が、異形キャラクターの原画は『クーロンズ・ゲート』のキャラクターデザインを手がけた井上幸喜氏が担当。また、音楽は『クーロンズ・ゲート』でも音楽を制作した蓜島邦明氏が続投する。
なお、ゲームの開発には既製品のアセットを使用し、クオリティを保ったまま開発速度も向上させると公言している。そのなかでも「FUTURE SLUMS」と呼ばれるアセットは退廃的な中華風スラムの再現に適しており、このアセットを軸に開発を続けるという。
「アセットフリップ」などといった蔑称もあるため、「アセット」と聞くと眉をひそめる方もいるかもしれない。しかし、AAAゲームを含め多くのゲームが大なり小なり既製品のアセットを利用しており、通常の利用については何の問題もない。アセットは、特に開発リソースが少ないインディーゲーム開発の強い味方となる。
今回のCampFireのクラウドファンディングでは、支援金額によってシナリオ本や試作品のプレイ動画、制作セッションへの参加などのリターンが得られる。見どころは、現在は解体された九龍城砦で拾得したという麻雀牌が返礼となる30万円のコースだろう。
本プロジェクトはファンとともにゲームを作る「共創」をひとつのテーマとして掲げており、会員制掲示板や制作セッションへの参加権利を特徴としている。返礼として配布予定の試作品のプレイ動画については、検証が進み次第、ウェブブラウザ上で実際に遊べる形式での配布も視野に入れているという。
なお、一般的にゲームのクラウドファンディングでは完成した製品版が返礼に並ぶことが多いが、『クーロンズリゾーム』の返礼品に製品版ゲームの記載はなく、記事執筆時点でクラウドファンディングページの記載内容ではどの支援額でもゲーム本体はついてこないことになるので、支援する際は注意が必要だ。
ついに企画が目に見える形で進行し始めた『クーロンズリゾーム』。前作をファンを大事にする姿勢を前面に押し出しており、ファンと協力したゲーム作りをゲームの特徴としている。ゲームの開発に貢献したいという方は、クラウドファンディングで本作を支援して欲しい。
ライター/古嶋誉幸