ダウンロード販売が少しずつシェアを伸ばし、ゲームの記録装置もHDDからSDDに入れ替わりつつある昨今、耳にする機会が減っているものがある。それが「ディスクの読み込み音」だ。
オールドゲームのコレクターでストリーマーのHungry Goriya氏は、そんなディスクの読み込み音を流しながらゲーム配信をするという一風変わった取り組みをしており、海外で注目を集めている。
使われたコンソールはドリームキャスト。ビジュアルメモリに電源が入ったときの「ピーッ」という音や音楽家の坂本龍一氏が作曲した起動音も有名だが、ディスクを読むときの独特の「ジー」という作動音は、当時ドリキャスで遊んでいたファンには懐かしく聞こえるのではないだろうか。
Hungry Goriya氏は『Skies of Arcadia』(エターナルアルカディア)の配信からドリームキャストのディスク読み込み音を流している。マイクを本体に向けて設置して音声や声とともに同時に収録することで懐かしい音を拾い上げた。氏のTwitterアカウントには、どのようにドリキャスの音を収録したのかも写真で紹介されている。
Hungry Goriya氏は海外メディアKotakuのインタビューを受け、「このアイデアは、ストリーム技術を支えてくれている私の配偶者からもたらされました」と、アイデアの出所を語っている。「そんなに作動音がうるさいとマイクに入っちゃうね」と、皮肉っぽく言われたのだという。それを逆手に取り、ある種の郷愁をもたらす作動音を流すことにした。
氏は「ドリームキャストは非常にはっきりとした音を出し、コンソールで育った人々に懐かしい思い出を呼び起こしました」と伝えており、配信でもこのノイズは狙い通り好評でだったようだ。上記の動画でも独特の作動音が堪能できる。あまり気にすることはなかったが、久しぶりに聞くと確かに懐かしい。
筆者はドリームキャストのディスク読み込み音のほかにも、PlayStation Portableの作動音をよく覚えている。携帯ゲーム機としてはディスクメディアでゲームを読み込むというのは珍しく当時は驚いた。こうした当時はどうでもよい、あるいはノイズとしか聞こえなかった音が、あとになって懐かしさを呼び起こすトリガーになるというのも少し不思議だ。
ライター/古嶋誉幸