ソニー・インタラクティブエンタテインメントが「ゲームアプリケーションで特定のタスクをプレイするための自動化されたAI制御モード」と呼ぶ特許をアメリカで申請していることが判明した。海外メディアSegmentNextなどが伝えている。
この特許は2020年4月12日に出願され2021年4月15日に公開されたもの。発明者はスティーブン・オスマン氏、ジェフリー・R・スタフォード氏、ハビエル・F・リコ氏の名前がクレジットされている。この特許は、ゲームをプレイするユーザーをAIを使ってモニタリングし、そのプレイスタイルをシミュレートして、ゲームプレイを手助けしてくれるAIキャラクターを生成。そしてそのAIキャラクターを使って、ゲームを自動モードで進行できるものだ。
具体的にはプレイヤーがゲームを一時停止して、AIキャラクターが特定の課題をこなすように「オン」にする。そしてプレイヤーがめんどうだと思う苦手な課題、たとえばレベルアップなどをAIキャラクターに肩代わりしてもらうことができる。もしくは対戦型マルチプレイヤーゲーム中に、AIキャラクターに戦ってもらい、その間にプレイヤーは食事をしたり、トイレにいってもいいわけだ。
またプレイヤーがAIキャラクターを使用するということは、プレイヤーがその場面でゲームの興味を失ったことを意味している。その要因は難易度なのかテンポなのかさまざまだが、この情報がゲーム開発者にフィードバックされることによって、今後の開発やアップデートに役立てることができるものになるという。
他にも特許には、プレイヤーがゲームで行き詰まったときゲームシステムに助けを求めることができる仕組みが含まれている。
プレイヤーがゲームで行き詰まった内容をテキストや注釈つきビデオクリップをシステムに問い合わせると、それに答えられるプレイヤー全員に送信がされる。そして返答をくれた内容はすべてデータベースに収集され、もっとも一般的な回答が最初のプレイヤーに伝達される。このデータベースは後からでもアクセスすることができるので攻略に役立てることができる。
今回、判明した特許はとてもユニークなものだが、たとえばAIキャラクターについては、スマートフォン向けゲームではしばしば実装されている戦闘や移動のオートモードを彷彿とさせる。今回の特許はそれのAIを駆使した強化版ともいえそうだ。
またプレイヤーが行き詰まったことをシステムに助けを求めることができる仕組みも、ゲーム攻略サイトや攻略本をゲームシステム側で済ませてしまえる仕組みともいえるかもしれない。
どこでAIキャラクターを使ったか、どこで助けを求めてしまったかは、当然のこととしてゲーム側が検知することはありえるので、報酬が違ってくるなどのペナルティはありえるだろう。
しかしこうした「プレイヤーAI」と呼べるものは、その具体的な様相はわからないが、攻略や手助けだけでなくゲーム自体に大きな変化をもたらすかもしれない。興味深いものといえそうだ。
ライター/福山幸司