物理演算がベースとなっているステージでふにゃふにゃの棒人間が戦う格闘アクションゲーム『Stick It To The Stick Man』のプロトタイプ版がPC向けにitch.ioでリリースされた。「Name your own price」形式で、ユーザーが好きな価格をつけて購入あるいは無料で入手することができる。開発はゲームデザイナーのエバン・グリーンウッド氏率いるチームが担当している。
プレイヤーは会社の最下層でクビを言い渡された不真面目な社員。自分の解雇をなかったことにするために、シュリケンやレッドブル、パンチにキックなどのアーツ(必殺技)によって構成されたコンボを駆使して、ほかの社員を“解雇”しつつ会社の頂点を目指す。最終的には屋上から会社を支配する社長を倒すことが目的だ。
※ゲームの体験版を紹介する海外メディア「Alpha Beta Gamer」が2021年5月に公開したゲームプレイ映像
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本作はわかりやすく言えば、敵を倒しつつ「最強のコンボ」を作るゲームだ。画面下に見えるアイコンがそれぞれアーツとなっており、Zキーを押すことで左から右へと順番に繰り出されていくシステムとなっている。プレイヤーはこのアーツの並びや構成をアップグレード報酬で強化しつつ、敵を打ち倒していくことになる。たとえば空手チョップは空手ストレート、さらに百裂拳に変化し、アッパーカットはSHORYUKENに派生、ナイフ投げが手裏剣にパワーアップする。
提示されるアップグレード報酬は複数から選択できるものの内容はランダムで、選ばずにパスするという選択肢はない。そのため、プレイごとにコンボの内容が大きく変化するのが本作の特徴だ。
たとえば「パンチ」、「キック」、「ナイフ投げ」という順番のコンボに強力なアーツを新たに追加する場合でも、新アーツの攻撃範囲や挙動によってはコンボの繋がりが強くなったり、あるいは前のアーツと噛み合わずコンボが台無しになってしまうこともある。
つまり新アーツを拾うタイミングによっては、コンボがつながらない順番になってしまうわけだ。最適な瞬間に最適なアーツが出ないこともある。ときおり不要なコンボを削除するアップグレードが見つかることもあるので、可能な限り最適なコンボを維持しながら、無数の相手と戦わなければならない。
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(画像は『Stick It To The Stick Man』より)
棒人間が戦う作品というと、Flash世代の読者なら『小小作品』を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。同作と同様に『Stick It To The Stick Man』の物理ベースの体の挙動はかなりリアルで、比較的短い間隔で、時間を遅くする「スローモ」も発動可能だ。多数の敵を相手に大立ち回りを繰り広げる一大カンフーアクションゲームになっている。
ゲームを進めると、通常キャラ以外にも多数のキャラクターがアンロックできる。空手と忍術で戦うキャラ、蹴り技が得意なキャラ、コーヒーを飲むアーツが初期装備のカフェイン中毒者など、個性豊かな解雇予備軍が登場する。
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入社するためにいきなり友人を打倒したり、難易度に相当するオプションが「1時間ごとの給与」として設定できたりと、コメディ要素が強い本作。
『Stick It To The Stick Man』はまだ開発途中のため未完成の部分もあるが、物理ベースの格闘アクションとしてはすでに高い完成度を誇っており、非常に愉快な作品であり、アクションゲームファンにもオススメのゲームだ。
ライター/古嶋誉幸