ファミリーコンピュータ向けソフト『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(以下、ドラゴンクエスト4)では、ボス戦で「にげる」を8回繰り返すと、以後、会心の一撃が連発するという裏技がある。この裏技に関して、本作のプログラマーである内藤寛氏と山名学氏がYouTubeで証言をしている。
1990年に発売された『ドラゴンクエスト4』は、キャラクターごとに分かれた章立ての形式、AIによる戦闘システムなどを導入し、ドラマティックな名作として語り継がれている。2001年にはPlayStation向けにリメイクされ、それをベースにニンテンドーDSやスマートフォンにも移植された。こうしたリメイクにより、オリジナルをプレイしたことがない人でも時代を超えて魅了し続けている作品だ。
このオリジナル版『ドラゴンクエスト4』では、ボス戦で「にげる」を8回繰り返すと、以後、会心の一撃が連発する裏技が存在する。最終決戦のデスピサロ戦などで重宝するので、利用したプレイヤーも多いだろう。プレイヤーの救済措置として、あまりにも出来すぎた裏技なので、開発者が意図した仕様なのか、意図しなかったバグなのか疑問に思った人もいたはず。
この裏技について詳細を明かしたのは、『ドラゴンクエスト4』のプログラマーである内藤寛氏のYouTubeチャンネル「内藤かんチャン」に投稿された動画「DQ4にげ8バグについて、あの人を直撃!」だ。
ここで内藤寛氏は視聴者からの質問に答える形で、戦闘部分のプログラムを担当した山名学氏にこの裏技について電話で直撃。結論から言うと意図していなかった「バグ」であり、当時のメモリー容量の問題もあり、「にげる」をカウントする専用のカウンターを持っていなかったことが原因とのこと。
『ドラゴンクエスト4』では「にげる」は通常、4回までしかできない。戦闘では必ず4回目で逃げられる仕様になっていた。しかしボス戦では逃げることができないため、4回逃げても戦闘が継続するという開発者が想定していなかった自体に突入する。
コンピューターは2進数が使われているため、10進数の「4」は3桁の「100」、「8」は「1000」となる。このため「にげる」を8回行うと、カウントが1000になるわけだ。
しかしメモリー容量の問題もあり、本作は専用カウンターを持っていないので、2進数が3桁や4桁になってしまうと隣のフラグまで侵食。「にげる」のカウンターの隣の隣のフラグは、たまたまパルプンテにおける会心の一撃が連発するフラグを担当していた。そのため本作で8回逃げると2進数が1000となり、会心の一撃フラグが「0」から「1」になる。このため戦闘で会心の一撃が連発することになってしまったわけである。
このほか、YouTubeチャンネル「内藤かんチャン」では、『ドラゴンクエスト3』の有名な「ランシールバグ」や、『ドラゴンクエスト3』のタイトルロゴについての裏話も披露している。プログラマー視点からのゲーム開発者の裏側という、貴重なエピソードが聞けるので、視聴してみてはいかがだろうか。