『マインクラフト』で『指輪物語』などの舞台となった「中つ国」を制作するプロジェクトが10年以上も進行中。圧巻のファンタジー世界を海外有志ら300名の手で

 『指輪物語』『ホビットの冒険』の著者であるイギリスの作家、J.R.R.トールキン氏が構想する物語世界「中つ国(Middle-earth)」『マインクラフト』(以下、マイクラ)で作り続ける集団が海外にいる。10年以上にわたり行われているこの途方もない取り組みは、300名以上の有志メンバーの手によって執筆時点もなお継続中だ。

 中つ国は、トールキン氏が生涯をかけ築き上げた一連の物語作品の舞台となる架空世界。神話や歴史・言語など、あらゆる設定を緻密に織り込んだ独自の創作手法は、後の作家やクリエイターたちに多大な影響を与えたことでも有名だ。日本国内では『指輪物語』を原作とする映画『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を通じて、広く知られるようになった。

 行くことのできない西方と東方の「中間」の土地、あるいは天上界と地獄の「中間」の地域などとして語られる中つ国を『マイクラ』内に作り上げるプロジェクト「MINECRAFT MIDDLE EARTH」は、2010年10月より活動を開始。当時のオランダサーバーで中心的役割を担っていた「q220」ことNicky Vermeersch氏が発起人となり、今や最古参の『マイクラ』コミュニティのひとつと呼ばれるまでに発展した。

 同プロジェクトで制作したマップの総面積は、実に870㎢にものぼるという。この数字は米テキサス州・ダラスの街の規模に相当するもので、東京・神奈川・千葉・埼玉のどの市区町村よりもはるかに大きい。

(ローハンの地にそびえる山々。画像は「MINECRAFT MIDDLE EARTH」公式サイトより)
(アンドラストの湾を行く船。画像は「MINECRAFT MIDDLE EARTH」公式サイトより)
(オスギリアスの砦。画像は「MINECRAFT MIDDLE EARTH」公式サイトより)
(要塞アイゼンガルド。画像は「MINECRAFT MIDDLE EARTH」公式サイトより)

 海外ゲームメディア「PC Gamer」誌のインタビューにて、Nicky氏は中つ国作りの背景に言及。当初はWorldPainterWorldMachineといった地形編集用のツールも登場しておらず、ほぼフリースタイルに近い状態でブロックを積み上げていったという。
 また、地形生成の設定を自由に変えられる「カスタマイズ」機能も実装される前だったことから、「森」を作りたい場所に「山脈」が誕生するといったハプニングも日常茶飯事。建築を行うために「障害物の解体」から取りかからなければならないなど、苦労は絶えなかったようだ。

 だが参加メンバーらはそうした困難も楽しみつつ、ときにコンテストを開催して腕前を競ったりしながら、各人の創意工夫によって制作を続けてきた。原作を参照した際に矛盾が生じる場合は『マイクラ』の仕様にあわせて進められるよう、独自のルールまでもが練られている。原作においても中つ国はすべてが明らかな形では描写されていないため、足りない部分は個々人の想像力によって補われているとのこと。

 彼らの活動ペースは現在も衰えることがなく、直近では公開済みのマップをツアー形式で紹介する動画などもYouTubeを通じて投稿されている。中つ国の世界が広がるサーバーには「MINECRAFT MIDDLE EARTH」の公式サイトからアクセスが可能だ。なお同プロジェクトでは取り組みやサーバー運営に対する寄付を受け付けている。

ライター
フリーランスの翻訳者を経て、2021年より編集アシスタントとして加入。京都の町屋で猫と暮らす。
Twitter:@dashimaruJP
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