ニューヨークを拠点に活動するエレクトロニックパンクデュオ「Machine Girl」は6月16日、6月17日にNintendo Switch、PC(Steam)向けに発売したハイスピードなアクションゲーム『Neon White』に関して、同作のオリジナルサウンドトラックアルバム『Neon White OST 1 – The Wicked Heart』、『Neon White OST 2 – The Burn That Cures』を二枚同時にリリースした。
Machine Girl初のゲームのサウンドトラックである本作の配信プラットフォームはBandCamp、SteamのほかApple MusicやSpotifyなどの各種ストリーミングサービスとなっている。価格はBandCampでは各種10ドル以上で、Steamでは2本のセットが1200円で販売されている。
インディーゲーム開発スタジオのAngel Matrixが開発する『Neon White』は地獄から選ばれた罪人たちが、天国の永住権をかけて戦う一人称視点のアクションゲームだ。プレイヤーは生前の記憶を失ったコードネーム「ホワイト」となり、強制的に悪霊退治に参加することとなる。
本作のアクションパートはステージ内に配置された「ソウルカード」により展開するユニークなシステムとなっている。カードは拳銃やショットガン、刀などの武器として使用できるほか、廃棄することで飛躍力の高いジャンプやダッシュが発動できるため、プレイヤーはカードの使用方法を戦略的に判断しながらステージを駆け抜けることとなる。
ステージを出来るだけ早く走破することがアクションパートのみならずアドベンチャーパートにもメリットをもたらすため、ステージを何度か挑んで戦略を編み出し、より速いクリアを目指そう。クリアタイムのオンラインランキング機能も搭載されており、ゲームのデザインもスピードランが行いやすい設計となっている。
本作のサウンドトラックを手がける「Machine Girl」はプロダクションとボーカルを手がけるマット・スティーブンソン、ドラマーのショーン・ケリーからなる電子音楽のグループだ。
バンド名は2008年に公開された映画『片腕マシンガール』にちなんで名づけられたもので、ジューク/フットワークやデジタルハードコア、ブレイクコア、パンク、デスメタルなど多様なジャンルから引用し、マッシュアップする作風が特徴。
音楽メディアAVYSSを手がけるCVNやtoiret status、NTsKiなど日本国内のアーティストの作品もリリースするオハイオのレーベル「Orange Milk」からのリリース作品で知られている。
天国を舞台にスピーディーなアクションを展開する本作のサウンドトラックには、浮遊感のあるシンセやリバーブが印象的なジャングル、ドラムンベース、ブレイクコアは勿論のこと、Machine Girlらしい歪なサウンドデザインやマッシュアップが光るUKダブステップやエレクトロニカも収録されている。
特にディスク1はジャングル、ドラムンベースを主体に収録楽曲が構成されており、Machine Girlの苛烈な攻撃性以上に、90年代後半から2000年代のダンスミュージックのスタイルや美意識にフォーカスした作風だ。
いっぽうのディスク2には、ゲーム音楽の低ビットレートのゲーム音楽を想起させるビットクラッシュした音色が随所に使用されており、Machine Girl流のUKダブステップ、ノイジーでダークなアンビエントなどより多様な楽曲が収録されているため、フェチズムにあわせて好きな曲を探して頂きたい。
ゲームメディアのfanbyteのインタビューによると、『Neon White』のサウンドトラックはMachine Girlが手がけてきたプロジェクトのなかで最も多くの時間を費やして制作されており、何度もプレイするゲームデザインにあわせて、常に要素を足し算して作曲したという。
また、サウンドトラックは『ジェット セット ラジオ』、『サルゲッチュ3』、『Hotline Miami』をオマージュしており、なかでも『ジェット セット ラジオ』のサウンドトラックを手がける長沼英樹氏、『サルゲッチュ3』のサウンドトラックを手掛ける寺田創一氏には本作に限らず影響を受けているという。
アンダーグラウンドで輝くミュージシャンと新作インディーゲームがコラボした本作。興味がある読者はアルバムをチェックしたり、ゲームをプレイしながら楽曲を楽しもう。