Epic GamesのCEOであるティム・スウィーニー氏は公式サイトにて、従業員の約16%(約830人)を解雇することを発表した。過去に買収した音楽サービス「Bandcamp」を売却するほか、「SuperAwesome」の大部分をスピンオフ(独立化)させる意向であるとのこと。同社はゲームエンジン「Unreal Engine」や『フォートナイト』の開発元として知られている。
発表に際してスウィーニー氏は、同社がこれまで『フォートナイト』を「クリエイター向けメタバースを中心としたエコシステム」として成長させるために資金を費やしてきたとコメント。人員削減をすることなく計画を進めることができると楽観視していたが、振り返ると非現実的であったとコメントした。
スウィーニー氏が言うように、Epic Gamesは『フォートナイト』上にてワールドを構築できる「Unreal Editor for Fortnite」(UEFF)を展開しており、。今年3月からはベータ版の提供が開始されたばかりだ。
発表では、展開を広げる『フォートナイト』はふたたび成長しつつあるとした上で、その推進剤となっているのは「ユーザーとの大きな収益分配があるクリエイターコンテンツ」であり、『フォートナイト バトルロイヤル』が成功し始めたころの利益率よりも低いビジネスだと原因を解説している。コスト削減に取り組んできたものの、財政的に人員削減という手段を取ることしかないと続けた。
Epic Gamesは解雇された従業員をサポートする予定で、基本給6ヶ月分と健康管理費6ヶ月分(米国、カナダ、ブラジル限定)の退職金パッケージを提供する。また、自社株購入権利を2024年末までに行使するよう推奨しつつ、猶予を今日から2年間にわたり拡大。米国では確定拠出年金(401k)の不労利益の分配も提案するそうだ。このほか、可能な限り転職サービスやビザの支援といった特典を用意する。
スウィーニー氏によれば、レイオフ対象となった約3分の2はコア開発以外のチームに属していたと説明している。また、Epic Gamesの製品や取り組みは一部予定通り出荷されるものの、当面はリソースが不足しているため予定通りに登場しないものもあるとのこと。一方で今回の決断により財務的な安定を得られることが強調されている。
なおEpic Gamesといえば、2012年に中国のテンセントが40%の株式を取得したことで知られるが、今回の発表に際してテンセントとの株式に関する話には触れられていない。このほか、『Fall Guys』の開発Mediatonicを2021年で買収したことも知られるが、同社のスタッフが今回のレイオフにて影響があったことを示唆するツイートをしている。