ゲーム開発チームのConcrete Realmは10月29日、イギリスの貧困といった社会問題やストリートカルチャーに焦点を当てたアクションRPG『ENDS』を発表し、Kickstarterにてクラウドファンディングキャンペーンを開始した。
本作の対象プラットフォームはPC(Steam)やPS5、Xbox Series Xといったすべてのデジタルプラットフォームでのリリースを予定しており、2025年に発売予定だ。
『ENDS』はイギリス・ロンドンに存在する「ENDS」と呼ばれる無慈悲なストリートを生き抜くアクションRPGだ。イギリスに関しては観光地などから優雅なイメージを持たれるケースも多いが、本作では低所得者が暮らす団地やスラム街、そこに暮らす人々に焦点を当てた作品となる。
制作にはアンリアルエンジン5が使用されており、写実的なグラフィックの作品となっている。
本作の主人公は「エンズ」で普遍的な生活を送ってきた20歳の青年・ラヒム。そして「エンズ」のコミュニティに忠誠を誓い、コミュニティを守るためには手段を択ばない「ソニー」、兄をギャングの抗争で亡くしたため「エンズ」を憎み脱出を願う「リース」の3人の仲間たちがメインキャラクターとなる。
また、「エンズ」は秩序を維持し、薬物依存者から利益を獲得し、邪魔するものを容赦なく排除する負のサイクルで成り立つ地域である。物語はラヒムが仲間たちと共にロンドンのダークサイドに身を投じ、「エンズ」に身を捧げて生きるのか、「エンズ」からの脱出を目指すかの選択を迫られていくドラマが描かれる。
本作のゲームプレイは“骨の折れる”シングルプレイヤー向けのアクションRPGとされており、プレイヤーは街に住む人々と交流しながら金を稼ぎ、障害となる邪魔者に対処していく。作中でのさまざまな選択は物語の行く末に影響を及ぼすため、「選択と結果」にまつわる緊張感も味わえそうだ。
また、改めて注目したいのは本作がイギリスのストリートカルチャーに焦点を当てている点だ。
例えば本作のトレーラーにおいて、楽曲はロンドンの貧困地域やギャング集団をルーツとするUK Drill風の楽曲となっておりトレーラーに登場する「目だし帽の青年」や団地などはUK DrillのMVなどでしばしばギャングが着用し、いわば現代のイギリスのストリートを象徴するモチーフのひとつでもある。
近年ではUK Drillの影響がニューヨークに伝播し生まれたBK Drillが脚光を浴び、国内外のポップスやメインストリームの音楽にも影響を与えている。いっぽう、そのルーツに垣間見える社会問題や陰惨さに、改めて焦点を当てて描くことには報道的な意義があるはずだ。
Kickstarterの紹介ページによると本作は本格的にリアルなロンドンを描くべく、ロンドンのインフルエンサーやミュージシャン、ファッションブランドとのコラボレーションを実施する予定だという。
音楽などの文化に焦点を当てた作品と言えばイギリスのラップ・グライムのアーティストとして名を馳せるStormzyが作中に出演した『ウォッチドッグスレギオン』や世界中の最先端のダンスミュージックとリアルなグラフィティカルチャーに焦点を当てた『Bomb Rush Cyberfunk』なども記憶に新しい。これらの作品のように、『ENDS』が液晶画面を突き破り、イギリスのダークな文化を提示する未来に期待したい。
本作のKickstarterでは、本作のディスコードサーバーへのアクセス権やゲーム本編といったリワードのほか、本作のサウンドトラック、開発現場に訪問する権利などが用意されている。
興味がある読者はキャンペーンに参加してみてはいかがだろうか。