アーシュラ・K・ル=グウィンの手掛けた傑作ファンタジー小説『ゲド戦記』に、作者の没後7年を経て新たなエピソードを収めた『火明かり ゲド戦記別冊』が加わることになった。岩波少年文庫より、5月29日に発売予定となっている。
本書は作者ル=グウィンの没後に公表された表題作「火明かり」に加え、未邦訳だった短編「オドレンの娘」やエッセイ・講演などを収めた、日本版オリジナルの別冊になっているという。
5/29発売決定!#ゲド戦記 最後のエピソード「火明かり」を収録した、岩波少年文庫『火明かり ゲド戦記別冊』を刊行いたします。
— 岩波書店の児童書編集部 (@IwanamiJidosho) February 28, 2025
作家の没後に公表された表題作、未邦訳短編「オドレンの娘」や、エッセイ・講演などを収めた、日本語版オリジナル編集の別冊です。全7冊美装ケースセットも同時発売! pic.twitter.com/4KkVcBtT9Q
『ゲド戦記』はル=グウィンの代表作のひとつ。多島海の世界、アースシーを舞台に、後に大賢人と呼ばれる少年ゲドが魔法の学院で学ぶところから、力を失った彼が伴侶と共に老いてゆくまでを描いた長編ファンタジー作品だ。
さまざまなまじないやものの本質を示す「まことの名」、島々をめぐる冒険に自身の影との戦いなど、その後のファンタジーに多くの影響を与えてきた作品で、今なお世界中に多くのファンが存在する。
またル=グウィンは本シリーズだけでなく多くのファンタジーやSF作品を執筆しており、『闇の左手』などは特に有名。2018年に亡くなったのちも、未邦訳だった短編集やエッセイ集などがしばしば出版されてきた。
『ゲド戦記』シリーズにも生前の彼女が遺した短編があるということはかねてより伝えられてはいたが、未邦訳のため日本読者にとってはもどかしい状況が続いていた。今回その翻訳・出版が決まり、ついに『ゲド戦記』最後の物語に触れられるようになったことは、たいへん喜ばしいニュースと言えそうだ。
なお同シリーズは、日本では2006年にスタジオジブリで映画化もされている。