株式会社インプレスホールディングスは5月13日(月)、上場の廃止を予定していることを公式サイト上にて発表した。同社は現在、東京証券取引所のスタンダード市場に上場している。
同社は、IT分野をはじめ、音楽分野や山岳・自然分野など複数の専門分野に特化したメディア事業を中心に展開するインプレスグループの持ち株会社。パソコン入門書である「できる」シリーズや、ネットメディア「Impress Watch」「GAME Watch」などを有していることでも知られている。

本発表は同日に開催された取締役会において決議され、株式の併合、単元株式数の定めの廃止および定款の一部変更の3点を、6月25日開催予定の定時株主総会において付議するという。その後、7月27日までのあいだ整理銘柄に指定され、7月28日をもって上場の廃止が実現する見通しとなっている。
発表では、株式併合を通じた非公開化により上場を廃止する方針であると明かされており、同社の支配株主である塚本慶一郎氏および有限会社T&Co.のみが株主となる。これにより、両者で約57%の株式を保有することになる。
本株式併合により、支配株主以外の株主が保有する株式は1株に満たない端数となる。この端数株式は、裁判所の許可を得た上でインプレスホールディングス自身が1株あたり210円で買い取る予定とのことだ。

今回の上場廃止の決定に至った背景として、出版を中心とした同社を取り巻く事業環境は、紙の出版物の販売額が19年連続で減少していること、用紙の調達コストや印刷等の原材料費の高騰、物価を考慮した従業員の報酬水準の引上げ等のコストの上昇など厳しい状況が続いていたためであることが挙げられている。
これらにくわえて、一時期成長を見せた電子出版市場も近年は伸び悩む現状があったという。5月13にtに公開された2025年3月期決算資料では、売上高が3年連続の減少、営業利益・営業利益率は2年連続の損失となっている。
同社は今後、非上場企業となることで中長期的な生産・営業機能の集約等組織的な再編を行いやすくなると考えているとのこと。具体的には同社グループ内でのコスト削減試作や、効率的な生産体制を実現していくという。
続けて、非公開化により短期的な業績達成を求められる資本市場と離れ、投資余力及び外部パートナーとの協業が組みやすい状況をつくることが、同社を取り巻く厳しい経営環境下においてもさらなる企業価値の拡大を可能にする道筋であると考えているとのことだ。