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『キングスナイト』の曲は『ドルアーガの塔』を意識した──作曲家・植松伸夫が語るスクウェア初期作品の思い出

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植松さんは大学を卒業した

加藤:
 神奈川大学卒業。卒業してるのがえらいです。

植松:
 でしょう?

加藤:
 この時代のクリエイターさんで……植松さんファミコン以前からですよね。1988年の頃からですよね?

植松:
 ただね。当時のスクウェアって坂口博信さんとか田中弘道さんとかは国大に通いながらバイトで来てたんですけど、ボクがバイトで入った頃は大学出てたんですよ。

加藤:
 なるほど。卒業してた。在学中だったら多分……。

植松:
 辞めてますね。

一同:
 (笑)

加藤:
 そのあと、音楽の仕事とかされてたときにスクウェアさんに入ったと。

植松:
 音楽されてたって、音楽の仕事なんてあるわけないじゃないですか。プー太郎ですよ、プー太郎。

217:
 うそっ!?

加藤:
 プー太郎だけど、自分なりにはやられてたわけですか?

植松:
 うーん。まあ、そうですけどね。

ソング・オブ・ザ・イヤー受賞

加藤:
 すごいのが、第14回日本ゴールドディスク大賞で、「ソング・オブ・ザ・イヤー」(洋楽部門)を受賞。

植松:
 「Eyes On Me」ですよね。

加藤:
 これは外せないですよね。

植松:
 でもこれ、歌詞が英語だから洋楽部門だったんですよ。

加藤:
 歌っているのがフェイ・ウォンさんだからってのもありますよね。

植松:
 うん。だから日本のヒット曲に比べれば、売り上げ枚数なんてちゃっちいもんなんですよ。

加藤:
 いや、ちゃっちくはなかったと思う。枚数は出てないですけど、けっこうな枚数でしたよね。
 (スタッフが枚数を調べた結果)50万枚! ほら、絶対売れてましたから。

植松:
 ボクがスクウェアの社員じゃなくてフリーだったら大儲けですよね。

一同:
 (笑)

加藤:
 でもそれは、今でもそういうの狙ってるわけですよね? そういう大ヒット曲を。

植松:
 いや、狙ってないっすよ。

加藤:
 そうなんですか、あら。

植松:
 ほんとにほんとに。淡々とゲームの曲を作り続けてるだけで。だって歌モノとか作ってもシングルカットとかしてないですもんね。

加藤:
 そっか。そうですよね。

植松:
 ゲームに身を捧げてますから。お金じゃない。

217:
 (笑)

加藤:
 でも植松さん、そういうの嘘じゃなくて淡々とゲームの音楽を作ってらっしゃるじゃないですか。

植松:
 うーん。もう疲れた。

一同:
 (笑)

植松さんは映画音楽が作りたい?

加藤:
 ボクが昔インタビューしたときにおっしゃっていたんですけれど、映画の曲を作ってみたいとか。

植松:
 言ってました? そんなこと。

加藤:
 言ってたと思います、確か。

松尾:
 全員うろ覚えですからね。

植松:
 ちょっと考え方が変わって来たんですよ。

加藤:
 これは5、6年前ですからね(本を広げる)。あ、ほらほら。「当時は映画音楽を作りたかったんですよね。今も夢として残っていますけど」と。

植松:
 ボクが子どもの頃の、ヨーロッパ映画音楽とかすごい好きだったんですよ。メロディアスなのがメインテーマとして流れるみたいなのを聴いて「こんな音楽が書きたいな」って、子どもの頃は思ってましたね。

加藤:
 もともと、中高の頃から曲を作ってらっしゃったわけですよね?

植松:
 まだシーケンサーとかなかった頃ですよね。マルチトラックのカセットにシンセサイザーを何回もダビングして、“ピンポン録音”っていうやつですよね。

加藤:
 重ねて重ねて、また1本に入れてっていう。

植松:
 大学の頃から、そういうの始めましたね。

加藤:
 その頃だと多分、エンターテインメントで一番大きなのが映画だった……。

植松:
 そうですよ。間違いないですよ。

加藤:
 すると当然、その映画に楽曲を作りたいみたいな。そういうことを夢見て東京に来た、というようなことを昔のインタビューではおっしゃってますね。

植松さんの連載を振り返る

加藤:
 植松さんのコラムをファミ通でずっと連載してたんですけれど、2冊の本にちゃんとまとまってるんですよ。実はこの連載が始まったときと、終わったときのファミ通を用意してますよ。コラムが始まったのが2000年の3月17日号。これに何が載ってたかというと……。

『キングスナイト』の曲は『ドルアーガの塔』を意識した──作曲家・植松伸夫が語るスクウェア初期作品の思い出_006

植松:
 プレイステーション2同時発売ソフト特集。

加藤:
 スクウェア的には『ベイグラントストーリー』が出たときですね。植松さんの連載「みんなそうなの?」は54ページ。

植松:
 第1回って、ハワイにいたときに始まったのかな。

加藤:
 ハワイにスタジオありましたよね?

『キングスナイト』の曲は『ドルアーガの塔』を意識した──作曲家・植松伸夫が語るスクウェア初期作品の思い出_007

植松:
 『IX』を作ってた頃、みんなでハワイで作ってたんですよ。

加藤:
 (コラムを読む)「初めましてなのだ。スクウェアサウンズの植松であるぞ」

植松:
 (苦笑)

加藤:
 「この度ちょいと縁がありまして、ファミ通さんでコラムを書かせてもらうことになりました」

松尾:
 音読、ちょっと恥ずかしいですね。

加藤:
 「『半熟英雄』知ってますか? 『トム・ソーヤ』は?」って言ってますよ。

217:
 『半熟英雄』知ってますよ。

松尾:
 『トム・ソーヤ』っていうのは、『スクウェアのトム・ソーヤ』ですね。

加藤:
 「おまけ、ハワイ豆情報その1。みんな知ってるか? ハワイの人は家に入るとき、靴を脱ぐんだぜ。アメリカ人なのに意外でしょ?」

217:
 えっ? そうなんですか!?

植松:
 ほんとほんと。ほんとなんですよ。

加藤:
 じゃあ終わりの号も見てみましょうか。2002年の年末だから3年近くだね。『アンリミテッド:サガ』が出た頃。『ドラッグオンドラグーン』もスクエニさんですね? あと『FFタクティクス』。

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加藤:
(記事をめくって)スクエニ合併のときですよ! このときにコラムが最終回って、すごくないですか?

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松尾:
 なんか暗示してますね。

植松:
 それは知らなかったなー。

加藤:
 キリないから飛ばそう。

松尾:
 2002年は『FF』でいうと『XI』が始まった年ですよね。

加藤:
 ありました。最終回って書いてある。

『キングスナイト』の曲は『ドルアーガの塔』を意識した──作曲家・植松伸夫が語るスクウェア初期作品の思い出_010

217:
 「みんなありがと」なんか悲しい!

植松:
 (写真を見て)うちのわんこですかね、あれは。

加藤:
 確か連載中に犬を飼い始めたんですよ。

植松:
 これ、毎週書いてたんですか? ボクは。

松尾:
 ボクは(笑)。

加藤:
 たいしたもんですよね、ほんとに。

植松:
 いやいやいや、ありがとうございますー。お世話になりました。

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