100貫の寿司が同時に走る『寿司がはしるやつ(仮)』が速すぎる。わさびやアボカドの課金要素アリ、謎めいた本作の内容を制作者に聞いてみた

 1月15日、あるゲームが日本のTwitter人気ランキングで2位を獲得し、日本中を駆け巡った。ソリッドな電子音楽と共に、すごい速度でさまざまな”寿司”が滑走していくレースゲーム『寿司がはしるやつ(仮)』だ。そのシュールな動画は、またたく間に拡散し世界中に衝撃を与えた。

 このゲームを開発したのは個人ゲーム開発者のksymさん。かつて某デザイン会社に勤めていたが勤務態度が悪くクビに。そのときに社内で一人でもくもくと制作していたプロジェクトはksymさんのものとなり、この『寿司がはしるやつ(仮)』もそのときのアイディアだったという。

 実はksymさんは、昨年も話題になったことがある。デジゲー博に出展した『KARATE URANAI』というゲームだ。これも空手と占いが組み合わさった開発中の謎のゲームである。代表作は他にもAndroidの野良アプリ『んこぴったん』と、iOSの『UTU』というアプリがある。

kARATE URANAI

 今回はそのシュールな作風が特徴的なksymさんに、本作の内容をうかがった。

ライター・取材/福山幸司


──そもそもなぜ寿司なんでしょう。

ksymさん
 もともとスマートフォンのレースゲームは、バーチャルパッドとかジャイロで操作するものが一般的ですが、ゲームパッドと比較して操作性が良くないという不満がありました。タッチデバイスに特化したレースゲームとはどういう形だろうと模索した結果、タップで左右の曲がる方向を切り替えた操作をレースゲームはどうかなと。

 車がピョンピョン左右に動きながら進んでいく挙動は不自然なので試行錯誤してたんですが、ビジュアル的にインパクトがあり、バリエーションも作れて、左右の動きとの相性を考えたときに、これは寿司でしかあり得ない……となりました。マジレスしてしまいましたが、対外的には「日本のカルチャーを世界に広めたい」みたいな綺麗事を言いたいので現在検討中です。

──タップはスピードアップじゃなくて、左右の曲がる方向なんですね。

ksymさん
 アクセルボタンがあるわけではなくて、タップすると曲がる方向が左と右で切り替わる。その操作だけで走っていくゲームになっています。さらにタップを長押しすると少しブレーキがかかります。

──やはりみんなが気になっているのは、ワサビは反映されているのかどうかなんですけど。

ksymさん
 基本無料のゲームで、課金要素をどうするか考えているんですけど、今、検討しているのは課金してワサビを追加すると、スピードが上がるシステムです。しかし速すぎると、すぐ壁にぶつかって走れなくなり、さび抜きにするとまた課金が発生する。そういうループにして一攫千金を狙っています。

 あと、課金でアボカドをネタに乗せるシステムも考えています。「アボカド」と言っておくと、女子受けがいいんですよ。アボカドは女子力があがりますからね。トロは買い切りで5000円とか。あと、いなり寿司はなぜか要望が多いんですけど、まだ作っていません。これは追加コンテンツ的なものとして検討します。

──寿司ネタによって性能が違ったりするんですか。やはりトロが最強なんですか。

ksymさん
 と、見せかけて、値段は無茶苦茶高いけど性能が悪い、みたいなほうが面白いかなと。寿司ネタによってパラメーターが変わるので、軍艦だったら他の寿司とぶつかったときに強い。加速性能が悪いけど、最高速度が速い。逆にぶつかったときに減速しやすい寿司はストリップストリーム性能が高い、などの性能差があります。

──遊べる寿司の数は?

ksymさん
 現在は13種類で、まぐろ、中トロ、大トロ、こはだ、イカ、たまご、ひらめ、サーモン、ウニ 、いくら、赤貝、エビ、穴子です。メジャーどころを選びました。

──ちなみに現実で好きなネタはなんですか?

ksymさん
 江戸前寿司好きとしては……煮蛤が捨てがたいですね。ただモデリングが大変そうなので実装の予定はありません。

──ksymさんは、開発中の『KARATE URANAI』でもちょっと話題になった人なんですね。

ksymさん
 あれも寿司と一緒でスマートフォンで格闘ゲームをやるときにバーチャルパットはどうかと思ったのがきっかけです、プレイヤーは基本的に操作できない格闘ゲームにしました。カラテだけだと男子受けはするけど、女子受けしないんですが、女子に人気の占いを足すことで幅広い層に受けることができる。さらに女子力をあげたい人は課金してアボカドを購入し投げつける事ができます。投げすぎるとアボカド農家の怒りを買い運気が低下します。

──アボカドへのこだわりが。他にもホームページからダウンロードできる『んこぴったん』というパズルがありますが。

ksymさん
 文字を入れ替えていくワードパズルです。文字が「ち」、「ん」、「う」、「ま」、「お」、「こ」と制限されています。意外なほどゲーム性が高く、ワードパズルとして面白いものになっている自信作です。

──これはAndroidのいわゆる野良アプリですが。

ksymさん
 最初からGoogleの審査は通らないだろうと考えて、いさぎよくストアでのリリースを諦めました。

『んこぴったん』(ダウンロードはksymさんの公式サイトから)
UTU(ダウンロードはApp Storeから)

──このiOSでリリースされている『UTU』という体育座りしているゲームは?

ksymさん
 これは音ゲーです。最近の音ゲーというのはノードが飛んできてそれに合わせてタップするというフォーマットができていますけど、自分で音楽を奏でる楽しみもないし、ただの目押しになっているのが面白くない。それに対して作ったのがこのゲームです。

 体育座りしているキャラをタップすると、破壊されて音が鳴るんですけど、それを繰り返して曲にしていきます。プレイヤーが好きなテンポで演奏してよくて、そのテンポをプログラム側で計算して、ファジーな感じで採点していく。プレイヤーが自分で音楽を作り出す没入感を能動的に楽しむゲームとして表現しました。

──それでは時間がきたので、最後に『寿司がはしるやつ(仮)』がバズった感想は?

ksymさん
 まだ開発途中で自分に発破をかける意味で動画を出したんですけど、リリースしていないのに、なぜバズってしまったのか。リリースしていたらその場でみんなダウンロードしてくれると思うんですけど、リリースしたときは今回ほどバズらないと思うんですよ。今は後悔しかないですね。

──リリースはいつごろを予定していますか。

ksymさん
 夏までには出したいですね。4月6日、7日にあるインディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX」に出展予定なので、ぜひお越しください。

──完成楽しみにしています。ありがとうございました。

ライター
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman
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