PC-スマホ-ゲーム機間の垣根を無くす! 世界最大級のゲームエンジンを生んだ男は、20年前からクロスプレイを進めてきた【Unreal Engine ティム・スウィーニー氏インタビュー】

 『フォートナイト バトルロイヤル』(以下、フォートナイト)『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)『Rocket League』『ARK: Survival Evolved』……。これらはいずれも、ゲームエンジン「Unreal Engine」【※】を採用して開発された、マルチプレイヤーがメインのゲームタイトルだ。
 どのタイトルも数百万人から1000万人を超えるような巨大なプレイヤーコミュニティを有しており、ストリーマーの注目タイトルやeスポーツの種目としても波及しつつ、マルチプレイヤーゲームとして目覚ましい成功を収めている。

※Unreal Engine……ゲームを開発するためにさまざまな処理を受け持つソフトウェアをゲームエンジンと呼ぶ。Unreal Engineは代表的なゲームエンジンのひとつで、かつては美麗な3Dグラフィックを表現できることが特徴のエンジンだったが、2012年にリリースされた「Unreal Engine 4」からはブループリントなどを搭載し、プログラマ以外でも一部の処理を組めるといった作業の効率化などにもスポットが当てられた。2015年3月に一部条件を残して無料化。ビデオゲームでの使用のほか、テレビドラマ『デスノート』に登場する死神リュークの3Dモデル制作に使用されるなど、さまざまな分野での利用が進んでいる。
(画像はUnreal Engineブログ | リアルを彷彿とさせるデジタル版 Andy Serkis を生み出した Epic Games と 3Lateral の開発技術より)

 これらはPCや複数の家庭用ゲーム機、作品によってはスマートフォン上ですら動作する「マルチプラットフォーム」作品であり、また『Rocket League』と『Fortnite』に関しては、PCや異なる家庭用ゲーム機どうしのプレイヤーが一緒にプレイできる「クロスプラットフォームプレイ」(以下、クロスプレイ)に対応している。

 「Unreal Engine」を筆頭としたゲームエンジンの普及、テクノロジーやハードウェアの進化によって、このマルチプラットフォームおよびクロスプレイの動向はゲーム業界でより拡大しつつある。
 ゲームをプレイする際にハードウェアや時間、場所を選ぶ必要がないのはもちろん、異なるゲーム機を持っているプレイヤーどうしでも一緒に協力や対戦プレイできるようなゲームの未来が、徐々に到来しつつあるのだ。

京都に来日したティム・スウィーニー氏 (写真は編集部撮影)

 特に「マルチプラットフォーム」と「クロスプレイ」を強く提唱するのが、「Unreal Engine」を開発するEpic Gamesの創設者であるティム・スウィーニー氏(Tim Sweeney氏)である。
 氏は21歳のころに初めてゲームを開発・販売して以降、Epic Gamesの創設者として同社を指揮し、Unreal Engineの発展と普及に尽力してきた。

 そんなスウィーニー氏は、現在は旧来のゲーム業界のようにユーザーをプラットフォームごとに囲い込むよりも、ユーザーどうしを繋げることでより豊かな価値が生まれてくると断言する。

 今回は京都にて開催された「Unreal Fest 2018」に来日したティム・スウィーニー氏に、幸運にも取材する機会に恵まれた。Unreal Engineの馴れ初めから、マルチプラットフォームとクロスプレイへの思いを語っていただく。

取材、写真、文/ishigenn


「Unreal Engine」を生み出した「ジョン・カーマックの衝撃」

──今回、スウィーニー氏にインタビューさせていただくに際して過去のインタビューを拝見させていただきましたが、あまり子どものころのお話はされていない印象でした。11歳からゲームのプログラミングを始められたとか。

スウィーニー氏
 最初に「Apple II」※1977年に発表されたアップルのパーソナルコンピュータ)を手に入れて、それからプログラミングを始めました。
 そのころは寝る時間や学校に行く時間以上にプログラミングに時間を使っていたと思います。それぐらいプログラミングに夢中になっていて、最初のゲームを出すまでに10年ぐらいはそういう生活を送っていました。

──そのスウィーニー氏が子どものころというのは、「Apple II」もそうですが1970年代から1980年代にかけてゲームやPCがどんどん進化していった時代ですよね。ゲームではどういうものに触れられていたのでしょうか?

スウィーニー氏
 いちばんプレイしたのはAtari 2600で、アドベンチャーゲームはたくさん遊びました。Apple IIでは『ウルティマ』【※】もプレイしましたね。大きな世界の中に自分がいて、そこを探検している感覚を得られるようなゲームが好きでした。

※『ウルティマ』……リチャード・ギャリオット氏が開発したコンピュータRPG黎明期の代表作。2Dフィールドを舞台にリアルタイムで進行するRPGとしては使徒とも言われる。シリーズ化したのちに発売された『Ultima Online』は、現代のMMORPGのひな形となった。
(画像はGOG.com | Ultima 1+2+3より)

 ただ、全般的にいうとゲームをプレイするよりも、自分でプログラミングをするほうが好きでしたし、ゲームをプレイする目的も「楽しいから」、「遊びたいから」というよりは、「このゲームはどうやって作られているんだろう?」というのを知るためにプレイしていたような節があります。

──少し時間は飛びますが、そのあとスウィーニー氏はPotomac Computer Systemsを設立されて、Epic Mega Gamesを経てEpic Gamesに社名を変更されました。そして「Unreal Engine」を1996年から展開されていますが、開発に取り組まれた背景をお聞かせいただけますか?

スウィーニー氏
 仰るとおり1996年からUnreal Engineは始まったんですが、Epic Mega Gamesができてからしばらくは、ずっと2Dゲームのプログラミングでゲームを作っていました。そんな中、id Softwareのジョン・D・カーマックが『Wolfenstein 3D』という初の3Dシューターを出したとき【※】、非常に衝撃を受けました。

※ジョン・D・カーマックと『Wolfenstein 3D』……1992年にリリースされたid SoftwareのFPSで、開発には天才プログラマであるジョン・D・カーマック氏が参加。FPSの始祖と言われる。カーマック氏とid Softwareはここから、『DOOM』や『Quake』といった伝説的FPSを生みだしていく。
(画像はSteam | Wolfenstein 3Dより)

 まさかそんなことが可能とは思ってもいなかったので驚きましたし、インスパアもされたので、「自分でもやってみたい」と思ってチャレンジしたのです。ただ、やることがありすぎて大変だったので、いったん諦めました。

 ゲーム制作もゲームプログラミングも諦めようかなと思った時期もあったぐらいなのですが、それから3Dグラフィックについて調べ、研究している記事を読むなど勉強を始め、1995年から『Unreal』【※】という3Dのゲームを開発し始めました。

※『Unreal』……1998年にリリースされたEpic Games開発のFPS。Unreal Engineを使用して初めて作られたFPSである。
(画像はSteam | Unreal Goldより)

 その『Unreal』に付いていたMODツールが非常に使いやすいということで、別の会社から「MODツールを使ってゲームを作りたいのでライセンスしてくれ」というコンタクトを受け、1996年からUnreal Engineが始まりました。
 自分たちはゲームを作っていたつもりなのですが、それを見た他の方から「エンジンとして使いたい」というリクエストをいただいたのが、Unreal Engine誕生の背景です。

──なるほど。Unreal Engineはライセンス提供を前提に作られていたわけではないんですね。

スウィーニー氏
 最初からライセンスを考えてエンジンを作ろうと思っていたわけではないんです(笑)。というのも、そもそも当時はゲームエンジンというものやそのコンセプトがなかったので。
 Epic Gamesとしては単純にゲームを作っていたら、お客さんから「使わせてほしい」というコンタクトをいただいて始まったというところです。

──Unreal Engineが登場する以前にはDoom EngineやQuake Engine、1999年にはid Tech 3が存在していたと思いますが、当時はゲームエンジンというコンセプトはなかったのでしょうか?

スウィーニー氏
 たしかにid Softwareは『DOOM』『Quake』のエンジンを提供していましたが、彼らはゲームエンジンビジネスというものをあまり真剣に取り組んでいたとはいえない節があり、『DOOM』や『Quake』のゲームディスクを渡して終わりというやり方をしていました。

 一方Epic Gamesはエンジンライセンスに可能性があると思っていたので、ゲームコードとエンジンコードをきっぱり分け、ライセンスしやすいよう真剣に取り組んだことが大きな違いでしょう。

──ということは、最初からゲームコードとエンジンコードを分けて設計されたゲームエンジンは、Unreal Engineが世界初になるかもしれないと。

スウィーニー氏
 そのとおりだと思います。同時に、我々Epic Gamesが初めてエンジンライセンシングビジネスを真剣に取り組んだ会社であることは間違いでしょう。
 質問を受けたら回答し、お客様が特定の機能を開発することをヘルプし、サポートも含めてライセンスビジネスに取り組んだのもEpic Gamesが最初だと思います。

20年前から続く「マルチプラットフォーム」「クロスプレイ」構想

──その後、ひと言では言い表せないほどの発展を遂げたUnreal Engineですが、今回お聞きしたいのは近年の「マルチプラットフォーム」、「クロスプレイ」についてです。Unreal Engineにおいては、いつごろからこれらをコンセプトとしていましたか?

スウィーニー氏
 マルチプラットフォームやクロスプレイのサポートというアイデアは、かなり以前から我々も持っていて、逆にプラットフォーマーや他の会社が我々の言うことを聞いてくれないことに非常に強いフラストレーションを感じていました。

 『Unreal』はPC、Mac、Linuxのクロスプレイに対応していましたし、ごく早い段階からUnreal Engineでもプレイステーション、Xbox、iOS、Androidといった機種でのマルチプラットフォームをサポートしていましたが、どうしてもそれぞれのプラットフォーマーが他のプラットフォームとのあいだに壁を作ってユーザーを囲い込もうとする動きが強く、それについて我々は非常に強いフラストレーションを感じてきたのです。

──Unreal Engineの初期からマルチプラットフォームとクロスプラットフォームプレイはコンセプトとしてあったと?

スウィーニー氏
 1998年(※『Unreal』がリリースされた年)からですね。

──現在は『フォートナイト』や『Rocket League』のようなタイトルが大成功していますが……。

スウィーニー氏
 20年前には『フォートナイト』のようなゲームを携帯端末でプレイできる日が来るとは思っていなかったので、今は素晴らしい時代だと思います。

『Rocket League』
(画像は『Rocket League』公式サイト | Screenshotsより)

──近年ではクロスプレイが当たり前のゲームがUnreal Engine 4で多数発売されていますが、なぜ増えてきたのでしょうか。

スウィーニー氏
 特にマルチプレイヤーモードがあるゲームは、ひとりのプレイヤーが遊ぶゲームではなく、ソーシャルなエンターテインメントになっています。みんながいちばん楽しいと思うのは「本当の友達と同じゲームをプレイすること」でしょう。
 でも、自分はプレイステーション4しか持っていない、友達はPCしか持っていない、別の友達はiPhoneしか持っていない──。必然的にクロスプレイをサポートしていないとみんなが同時に遊べなくなってしまうので、よりゲームがソーシャルになるにつれて、そういった必要性や必然性が出てきているのが現状だと思います。

 SNSを例にとって考えるとわかりやすいのですが、iPhoneユーザーはiPhoneユーザーどうし、PCユーザーはPCユーザーどうしでしか繋がれない……と、プラットフォームで分断されていたら、SNSはこんなに発展しなかったでしょう。もしそういう世界だとしたら、なんて馬鹿げた設定なのだと感じるはずです。

 不幸にしてゲーム業界の過去20年間はこういった分断を当たり前に過ごしていたので、マルチプレイヤーモードがあるゲームに関してはクロスプレイをサポートしていかないと、プレイヤーを十分に満足させることはできなくなると思います。

──クロスプレイが増えてきている背景には技術的要因もあるのでしょうか?

スウィーニー氏
 Unreal Engine 4を使っているデベロッパーが増えているというのもひとつの要因だとは思いますが、それ以上に大きいのは繰り返しになりますが、ゲーマーやユーザーが「自分の友達と遊びたい」という欲求に対応するのが自然な流れになっているということでしょう。

 子どもを持つ親になっている開発者も増えていますが、自分の子どもが友達どうしで遊んでいるのを見ていると、ある子どもはプレイステーション4しか持ってない、別の子はXbox ONEしか持ってない、また別の子はスマートフォンしか持ってないという状況では、クロスプレイがないと友達どうしで遊べなくなってしまいます。

 同じゲームで遊べないと仲間外れにされ、友達付き合いが壊れる可能性すらあります。子どもの遊び方を見て「クロスプレイをよりサポートしなきゃいけない」と考える開発者も増えていますし、制作側の人間はクロスプレイをやらなきゃいけない、やりたいという思いが強まっているのが現状だと思います。

──クロスプレイについては未来を感じていますが、いくつかの問題や壁が残っているのではないかと考えています。そのひとつはハードウェアごとに操作性が違うという点です。
 『フォートナイト』はマッチングでルール分けすることで解決していると思いますが、今後は対戦するうえで操作性の異なるプラットフォームのユーザーどうしでも交えるようなマッチングは考えられているのでしょうか?

スウィーニー氏
 『フォートナイト』の場合、プラットフォームごとにサポートレベルを変えることである程度解決しようと考えています。たとえばモバイルだとオートエイムが入っていたり、エイムアシストも強く利くようになっていたりと、バランスの調整を図ろうとしています。

『フォートナイト バトルロイヤル』ではクロスプレイに対応しているものの、現時点では機種の異なるプレイヤーの混合チーム同士がマッチングする方式が採用されている
(画像はEpic Games|『フォートナイト』を入手より)

 プロではなく普通のプレイヤーレベルがコンソールとモバイルでプレイしても不公平やストレスを感じない程度にバランス調整できていると思いますし、大多数のプレイヤーが満足できるようなレベルには達していると思います。

 大多数のゲーマーやプレイヤーは「完璧にバランスがとれたマッチング」よりも「友達と楽しく遊びたい」ということを重視していると思うので、クロスプラットフォームでのプレイサポートというのは重要だと考えています。

──もうひとつの壁は、先ほどお話にもありましたとおり、プラットフォームホルダーどうしの方針の違いによってクロスプレイが実現しない例があることです。

スウィーニー氏
 ビジネス上の判断や決断というのは、古いビジネス観から来ているものだと思います。競合相手を締め出すことによって自分のマーケット市場のシェアを守ろうとすることや、競争で優位に立とうとする考えから来ているアクションであって、喩えて言うなら石油の油田やガソリンスタンドのシェアを確保するために争っているのと同じです。

 理解できるものではありますが、現代の世界においてはもっと進んだ文明に我々はいるはずであって、囲い込むことよりもユーザーどうしを繋げることでより豊かな価値が生まれてくる世界に生きています。メトカーフの法則【※】を知っていますか?

※メトカーフの法則
 George Gilder氏によって1993年に提唱された通信ネットワークに関する法則。ネットワークの通信の価値は、ユーザー数の二乗に比例して増えていくというもので、ユーザーが多ければ多いほどネットワーク価値が指数関数的に増加していくことがわかる。

 電話が2台しかないとネットワークとしてはAとBを繋ぐだけですが、電話の数が増えれば増えるほど繋ぐ経路は冪乗に増えていくので、それだけ価値が生まれる。
 現代の世界においてはユーザーとユーザーを繋いであげられる企業ほど、より多くの価値を生み出している傾向があります。それはFacebook、Tencent、Appleもそうです。

メトカーフの法則の図
(画像はWikipedia|メトカーフの法則より)

 先ほど見ていただいた絵が示すとおり、より多くのユーザーどうしを結び付けることによってユーザーたちは多くの時間をゲームならゲームに使うし、それはつまり多くのお金を使うことになるので、より多くの価値が生まれるというのが現代の考え方だと思います。
 『フォートナイト』においても実際、ふたつ以上のプラットフォームでプレイしている人は、ひとつのプラットフォームでしかプレイしていない人に比べて2倍以上の時間を『フォートナイト』に費やしていますし、友達と一緒に遊んでいる人は、ひとりで遊んでいる人に比べて3倍以上の時間を費やしています。このデータは厳然たる事実と言えます。

──初期のUnreal Engineからクロスプレイに関する考えがあったとのことですが、20年前は決して一般的な考え方ではなかったのではないでしょうか。

スウィーニー氏
 当時のゲーム業界では一般的な考え方ではなかったと思いますが、すでにインターネットは登場していましたし、ワールドワイドウェブ(World Wide Web、WWW)という考え方もありました。インターネットの考え方は先ほどの絵と同じで、すべてのプラットフォームがひとつのネットに繋がることで価値が生まれる。
 ワールドワイドウェブという概念が生まれてきて、当時からすべてのソフトウェアはその考え方に基づくべきだと思っていましたし、PCに関わるデベロッパーもそういう考え方を持っていたと思います。

PC、Windows 10、Xbox Oneに引き続き、まさかのスマートフォン向けの展開も開始された『PUBG』。
(画像はPLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDSの公式Facebookページより)

 ところがゲームに限っていうと、不幸にもプラットフォーマーが自分たちのコンソールを囲い込むというビジネスモデルで成功してしまったので、そこから閉鎖された歴史が20年間続いてしまったというのがゲーム業界で起こったことだと思います。

──マルチプラットフォームタイトルがUnreal Engine 4で増えている背景についてお聞かせください。『PUBG』や『フォートナイト』といった最新の3Dビジュアルゲームがスマートフォンでもプレイできる時代が来ています。

スウィーニー氏
 たとえばプレイステーション4 Proでプレイするとハイクオリティなグラフィックで解像度も高く、シェーダーも凝ったものとなりますし、影もリアルです。
 ただ、モバイルで表示するとなると解像度は低くなります。シェーダーもシンプルですし、影は省略され、ビジュアルに関してはスケールダウンするかもしれませんが、見た目はプレイステーション4にほぼほぼ近いクオリティのグラフィックにはなっていて、ゲームプレイとしてはまったく同じように体験できるはずです。

 このスケーラビリティを実現しているのがUnreal Engine 4のマルチプラットフォームサポートです。iPhoneと比べるとプレイステーション4はおそらく4倍以上のメモリを持っていて、GPUのパフォーマンスでいうと10倍以上あることになりますが、とはいえプレイステーション4が100倍早いのかというと、そこまでの差はありません。
 モバイルのデバイスもどんどんパワーが上がっていますし、現代の開発者にとってそれほど大きな差があるわけではないのです。そういった部分でのスケーラビリティやスケールダウンを実施するのはそんなに大変なことではなくなってきていると思います。

──今後はより簡単にスマートフォンやコンソール、PCでマルチプラットフォームとクロスプレイが実現できいくと。

スウィーニー氏
 おっしゃるとおりですね。すでに『フォートナイト』ではコンソールからハイエンドPC、モバイルまでをサポートしていますが、それを実現しているエンジン側のソースコードはUnreal Engine 4を使っているユーザーであれば誰でも使える状態に公開されているので、同じことをやるのは可能です。

──VRやスマートゴーグルといった新たなハードウェアが登場しています。スウィーニー氏はマルチプラットフォームとクロスプレイの将来をどのように描かれているのでしょうか?

スウィーニー氏
 特にARは相性がいいと思いますし、人と人を繋ぐというところでARは大きな技術になると思います。今から10年以内に人々はみんなAR機能を持ったメガネをかけて街中を歩くようになるでしょうし、いま我々はこの場で3人(※スウィーニー氏と通訳、インタビュアー)集まって話していますが、みんなが違うところにいても体感的には同じものを感じながら話ができるという時代が訪れると思います。
 そこまで来ればARという技術はいまのスマートフォンやPC以上に世界や文明を変えられるインパクトを持った技術になると思います。

 そうなったときに重要になるのは、UIを含めての3D表現。デジタルヒューマンの技術も重要になってきます。その中でUnreal EngineのようなリアルタイムレンダリングできるCGソリューションが果たす役割はさらに大きくなると思っています。

──ありがとうございました。

(画像は編集部撮影)

 ティム・スウィーニー氏がゲーム開発者として歩み始めた1980年代、個人や小規模なデベロッパーたちは、自宅のガレージなどでゲーム制作に勤しむことが少なくなかった。
 駆け足で行われた今回のインタビュー中、メガネをTシャツで拭きながら遠い記憶を見つめ直すスウィーニー氏は、自身も最初はたったひとりで、実家の一角で仕事をしていたと語る。

 インタビューの終わり際に、かねてより思っていた素朴な疑問をぶつけてみた。「Epic Mega Games」と名乗っていた会社が、どうして“Mega”を抜いていまの名前になったのか? というものだ。

スウィーニー氏
 Epicは“叙事詩”、Megaは“巨大”を意味するので、名前だけでも大きく見えるようにと思ってEpic Mega Gamesにしていたんです。
 Epic Mega Gamesを設立して会社を始めたころは、まだ僕ひとりしかいなく、実家で仕事をしていたので、俺たちはすごいゲームを作っているんだぞと名前だけでも見えるようにね。

 そして『Unreal』の成功を経て、もはや虚勢を張る必要がないからMegaを外してEpic Gamesにしたんだ、とスウィーニー氏ははにかんでみせた。

 20年前に『Unreal』とともに生み出されたUnreal Engineは、「マルチプラットフォーム」と「クロスプレイ」というハードを跨いだ壮大なコンセプトを引き継ぎつつ、さらなるゲームの未来を切り開こうとしている。それはまるで後世から眺めれば、叙事詩の一節のようにも見えるだろう。

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インタビュアー・著者
ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn
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