「必要なのは誠意(意味深)」にじよめちゃんは、いかにエロソシャゲ界に君臨する“最強”公式Twitterになったか? 意外とマジなコミュニティ運営術に迫る【インタビュー】

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農奴のメール送信ミスで「死ね」と怒られた大事件

ーー話を戻します。にじよめちゃんが受肉したとき、メルマガ読者の反応はどうだったんでしょう?

にじよめちゃん:
 最初に肖像画が出たのは、たぶんTwitterのアイコンだったはずなんだよな。「Twitterに、にじよめちゃんとかいうのがいますけど、メルマガにいるにじよめちゃんと同一人物ですか?」という問い合わせがいくつか来ていて。あわせて「こんな見た目だったんだ!」とか、「おっさんじゃなかったの?」とかどうでもいい意見も来たけどな。

ーーおっさん(笑)。メルマガにしかいなかったにじよめちゃんが、Twitterなどを経て実体を得ていったと。そして以降、にじよめちゃんがにじよめ自体を侵蝕をしていく過程で、ユーザーサポート窓口の主体を巻き取っていったわけですよね? お問い合わせに限らず、にじよめのプラットフォームのテイストが、かなりにじよめちゃんに侵蝕されているような気がします。

にじよめちゃん:
 巻き取ったつもりもなきゃ、巻き取りたくもないんだよ。ただお客が勝手に問い合わせて来ちゃうから、自然とそうなってっただけだよ。そういうのを甘やかして拾うのがいけないんだろうけど。

ーー普通、公式アカウントって「質問にはお答えできません」とか返しますよね? プロフィールに書いてある場合も多いと思います。

にじよめちゃん:
 Twitterにアカウント作っておいて「質問にはお答えできません」ってのもヘンな話やろ。
 もちろんね、筋違いの質問、たとえばそれぞれのゲーム運営に関する質問には、基本的に「ユーザーサポート窓口があるんだからそっち行け」って返してるよね。ただやっぱり、しょうもないサポート窓口もあったりする。我が社との契約で取り決めている返信頻度を守ってなかったりな。
 だから「問い合わせて3日待ったけど返事が来ない」などの問い合わせの場合は、とりあえず「確認しとくわ」と答えて、農奴からゲームの運営に電話させて「ユーザーサポート滞ってるんじゃねえか?」と威圧しているわけだ。

ーーユーザーのために、みずからも動くわけですね。

にじよめちゃん:
 農奴がな。

農奴A:
 ハイ、私は動きます。

ーー(笑)。にじよめちゃんのサイトへの侵蝕っぷりも凄いですよね。たとえばゲームのソート画面で現れる「とにかく全部見たい」チェックボックス、“夜の部へ”というアダルト側のページに行くボタンの名称、さらにマウスオーバーすると出てくる“これは気にするな”というダイアログ……独特のにじよめ語というか、ざっくりとした言葉で記述されていて、けっこうめずらしいです。やっぱり、にじよめちゃんの仕業なんでしょうか?

にじよめちゃん:
 仕業て。まあにじよめちゃんが入れ知恵して農奴が働くという形だね。

(画像はにじよめより)

 そもそもね、エロサイトの説明文って時点で、丁寧に書けば書くほど胡散臭くなるわけ。そこは「伝わりゃいいんだよ伝わりゃ」って話でしょう。

ーーああ、なんかわかりますね。

にじよめちゃん:
 工夫な。

ーー工夫すね(笑)。農奴もいい仕事をしています。

にじよめちゃん:
 ただな、まあそれが裏目に出るときもあるんだよな。当時メルマガは金曜に送信をセットして、土曜の朝に配信が始まるって流れだったんだけど、エンジニア農奴がミスって、タイトルだけ書かれて本文が空っていうメルマガが、50万人くらいに送られてしもうた。

農奴のミスにあせるにじよめちゃん

ーーほうほう。ありがちですね。

にじよめちゃん:
 あるあ……ねーよ。
 内容は、ここしばらくログインがないお客向けの呼び戻しのためのものだったんだけど、ゆえにタイトルが「リアル彼女でもできたのか?」ってヤツだったわけ。本来は「三次元にうつつを抜かしてないでにじよめに戻れ」という主旨だったわけだが、そんなタイトルの本文なしのメールが、にじよめちゃんから一斉送信されてしまったと。

ーーだはははははは(爆笑)。

にじよめちゃん:
 ふだんはね、メルマガに対して返信してくるようなユーザーは滅多にいないんだけど、そのときばかりは「うるせえ。余計なお世話だよ」とか「できてねえよ!」とか、怒りの返信が普通に返ってきましたね。20名くらいだったけどね。

ーー自分が送られてもマジ切れしますわ。

にじよめちゃん:
 普通は「このメールは送信専用です」的な文言がどこかに入ってるわけだけど、そもそもその文すらないので、「誰だおめえ?」みたいな感じの返信もありましたね。ストレートに「死ね」っていうのもあったね。「死ね」ってメールは、この殺伐としたインターネットでもなかなか見られませんよ。

ーー農奴、がんばれ(笑)。

「ネクロマンサー」としての、にじよめちゃん

ーーでは、コンテンツとの関わりについてお尋ねします。“にじよめ”は、運営が上手く行かなかったコンテンツを引き取って、再生させる手腕が有名でもあります。今や、“にじよめ”及び、にじよめちゃんは一度終了したゲームの「再生工場」とか「ネクロマンサー」【※】などと言われていますが、それについてはどうお考えですか?

※ネクロマンサー
死者や霊を介して行われる降霊術(ネクロマンシー)を操る術師を指す言葉。ここではにじよめちゃんが術師に、ゲームタイトルが死者や霊に喩えられている。

にじよめちゃん:
 もともとほかのプラットフォームで細ってきたタイトルに対して「にじよめでも展開して利鞘を増やしましょうよ」という提案営業を農奴にやらせてたんやけど、にじよめでも展開したあと、いろいろな理由でむしろ本家のほうが死ぬこともあるわけや。すると結果的に「にじよめ独占でいきます」ということになったりな。

『ドキドキ★病んでミック』(18禁につき画像の一部を処理しています)
(画像はにじよめより)

ーー結果として再生工場のようになっているだけ、と

にじよめちゃん:
 ほうよ。あとはプラットフォームとしての場代がやつらより安いと聞くので、売り上げが同じかちょっとそっと少なくても、運営の実入りは言うほど悪くないんやで。そのあたりもにじよめ版だけ生き残ることが多い理由のひとつやな。そんなで結果的に、にじよめは落ち延び先として機能してる。これはそんなに悪いことでもないのかな、と思うとるわ。

ーーある種のライフラインになっているということがですか?

にじよめちゃん:
 オンラインゲームって、終わっても思い出は残ると言うけど、逆に言うと「思い出しか残らない」わけやろ。それがイヤで「とにかくずっと遊んでいたい」というニーズはつねに一定数あるはずやから、そういう人にとって「大丈夫! まだ、にじよめがある!!」という状況は、なんかいいことなんじゃないかなと。

ーーソシャゲが周囲を巻き込んで破滅する前に介入するブギーポップ【※】みたいなもんですね(笑)。

※ブギーポップ
1998年に刊行された上遠野浩平によるライトノベル『ブギーポップは笑わない』およびそのシリーズ。電撃ゲーム小説大賞を受賞。主人公たる人格の名がその“ブギーポップ”と呼ばれる存在で、「その人がいちばん美しいときに、それ以上醜くなる前に殺す」存在と噂されている。物語の中では、能力や運命に振り回されて破滅に向かうキャラクターを留めたりトドメを刺したりする。ここでは、その破滅の寸前に救ったケースを想定して揶揄している。

にじよめちゃん:
 まあ何でも蘇生させればいいって話でもなくて。終わるものって、たいていは終わるべくして終わるんだけど、イケてたはずなのに特定の要因があって死んでる場合は、「そこだけ取り除けば生き返るのでは?」というのはあるな。

めずらしいラフ画その2:ネクロマンサーにじよめちゃん

にじよめちゃんの“IPネクロマンシー”術

ミリ姫大戦……第二次世界大戦で活躍した軍人をモチーフにした“ミリ姫”を育成し、謎の敵と戦うブラウザ向けシミュレーションゲーム。2015年からサービスが提供され人気を博していたが1年ほどで終了。その後、『ミリ姫~RELOAD~』として、にじよめから提供されることが明かされている。
(画像はにじよめの事前登録ページより)

ーーおお。そのあたりの、にじよめちゃんの“ネクロマンシー”を具体的に聞きたいですね。たとえば、『ミリ姫大戦』(以下、『ミリ姫』)とかどうですか?

にじよめちゃん:

 そうね、あれは典型的だったね。
 『ミリ姫』はタイトルとしてはえらい人気があったけど、まあいろいろすったもんだの果てに、課金と難易度のバランスが致命的にメチャクチャになったから収益的に死んだと。みんな無料で末永く楽しく遊んで、ハイお終いみたいな感じ。せやからね、もうちょっとばかし「誠意」を見せやすい仕組みを作れば、ちゃんとタイトルとしては続くんじゃないか、と見込んで声をかけた。

ーーいちおう聞いておきますが、誠意って何でしょう?

にじよめちゃん:
 誠意は誠意やろ(笑顔)。

ユーザーの「誠意」をおいしくいただくにじよめちゃん

ーーあっ、はい。(自分から「課金」とはあくまで言い切らない……と)

にじよめちゃん:
 『ミリ姫大戦』のゲームシステムってさ、仕組み的には『艦隊これくしょん -艦これ-』(以下、『艦これ』)方式なわけ。だけど、『艦これ』なら無意識にカチカチ夜戦に突入して轟沈したりするような場面でも、『ミリ姫』は「いまから行くとたぶん死ぬけど大丈夫か?」って感じの確認のダイアログが出て、客も「おっとあぶないあぶない」となって、結果無課金みたいな感じになっていたわけだ。確かそんなだった。もう遠い昔の話よ。というかそもそも轟沈みたいな完全なロストって『ミリ姫』には存在しなかったからね。擱座状態になって復旧に膨大な資材がかかるっていうのはあったけど。

ーー誠意を見せなくても遊べてしまっていたわけですね。

にじよめちゃん:
 せやな。誠意を見せようにも見せる場所がなかったわけや。『ミリ姫』は、『艦これ』のように「いわゆるガチャに乗らない」というチャレンジをして勇敢に破れていったタイトルと言える。そやけどそもそも『艦これ』型ってDAU【※】が30万人とかいないと成立しないバランスって言われてるでしょ?
 解っててチャレンジして、それで死んだんだから、次の手を考えるなら、もっかいガチャに乗っかって、じゃぶじゃぶ誠意を見せてもらう形で再生するかしかないと思わない? まあ単なるガチャゲーになったら、それはそれでつまんないから元のエッセンスは色濃く残せるように、いろいろ画策しとるけど。

※DAU
デイリーアクティブユーザーズ(Daily Active Users)の略。毎日ログインするプレイヤーの数。

ゾンビ兵に臓器移植をする“にじよめちゃん”

超銀河船団……宇宙移民船団の司令となって、外敵が待ち受ける未知の宙域を、部下である隊員たち(すべて美少女)とともに突き進むブラウザーゲーム。さらに彼女たちのパートナーとして、巨大ロボットが美少女化した「ドロイド」と宇宙怪獣が美少女化した「ミュータント」を付き添わせられる。2015年5月にスタートしたが、同年10月にサービスを一時中止。2016年11月にパワーアップした『超銀河船団∞ -INFINITY-』となって再スタートを切っている。
(画像はにじよめより)

ーーなるほど。『超銀河船団』もにじよめで復活していますが、復活劇の中で、にじよめちゃんはどういう役割を果たしたんですか? にじよめちゃんがディレクション?

にじよめちゃん:
 そういうのは基本、農奴を使って治せる医者を捜すところやね。にじよめちゃんがゲームに口を出すと、それってにじよめちゃんがディレクターみたいなものになるよね? にじよめちゃんは主権だから当然ゲームのクレジットにも載らない。日本産のゲームのスタッフロールに「内閣府」と入るかといえば入らないでしょ。

ーー(笑)。フィクサーとして治せる人にアテンドする、と。

にじよめちゃん:
 まあそれでいい。あとはこのご時世、誠意を集める仕組みにある程度の実績があったタイトル……というかゲームエンジンを持っているけど、「新規に1本作るのはしんどいし、ガワを替えて再起できるんだったらそうしたい」という会社ってけっこうあるんや。そういうのを捕まえてきて、待機しているゾンビ兵に……。

ーー臓器移植をする、と(笑)。

にじよめちゃん:
 そのへんも、どういう死体が落ちているかによるけどな。

 「あそこに右の手脚が転がってるから拾って、あっちに左半身があるからくっつけようぜ」って。「これにアレ乗っけるなら大丈夫じゃない?」って。

ーー首三つ繋げてもしかたがないですしね。なんというか、死体の目利きとしての役割を果たしていたんですね。でもそれを聞くと、にじよめちゃんって、やっぱりゲームの中身にも影響を与えていますよね。

にじよめちゃん:
 死体の目利きすんなら、継ぎはぎかたを考えるか、医者を探すところまでやらないとな。それに医者にも「大丈夫か?」、「医者の不養生か?」って聞かないと。いるんだよな、ヤブ医者。

 というかね、あくまで探すのはイタコじゃなくて、医者だからね。にじよめちゃんのことをよく「ネクロマンサー」呼ばわりする子がいるけど、本格的に死後硬直とか始まってたら、にじよめちゃんでも蘇生不可能なことが多いよ。まだ手足が吹っ飛んだ程度なら何とかするけど。

ーーああ、医者にもレアリティとかステータス異常がいろいろあるわけですね(笑)。なんというか、にじよめちゃんって世話焼きですよね。そこまでするなら、場代を吊り上げてもいいのでは?

にじよめちゃん:
 でもな、「そこを変えない」って信頼感でどうにかこうにかね、SAP【※】の心もにじよめに集まっていると思われるので、変えると消え行くタイトルも出てくるでしょうね。金の切れ目が円の切れ目ってな。ってどっちもゼニやないかい。ガハハハハハ!

※SAP
ソーシャルアプリケーションプロバイダー。ソーシャルゲームのプラットフォームにタイトルを供給するメーカーを指す。

ーーな、なるほど(汗)。プラットフォームを伸ばしていく過程では、ある意味、何でも屋にならなければならないんですね。

にじよめちゃん:
 何でもやりつつ基本に忠実に。後発だからこそ、そこで誠実さを見せないと。「よーし調子が出てきたからパパ手数料5割に増額しちゃうぞー」みたいなプラットフォームもあるわけですよ。それでもみんなそこに集まるのは、集まる客のボリュームが圧倒的に大きいからなわけでしょう。ほかに理由がないもの。言うたら「くやしい、でもビクンビクン」みたいな。エロ同人みたいに!

ーー 一度知ってしまうと、理性では抗いきれないと(笑)。

「ここはもう批判ポイントとしては無効だから」(にじよめちゃん)

ーーにじよめちゃんは、ネットでのご自身の見られかたを、どう捉えているんですか?

にじよめちゃん:
 どうもこうもないけど、予想外で驚いたのは、にじよめちゃんが何かにつけてカネをせびり続けていたら、「本当に何らかの超常的な手段によってケツの毛までむしられてしまうのではないか?」という恐怖を抱いているお客が現れ始めたことかな。未開社会かよ。疑り深いのかナイーブなのか、はっきりしろと。

ーー(笑)。本気で怖れて言っているんでしょうか?

にじよめちゃん:
 むろん中には「にじよめちゃんにやられちまうよ~」みたいな冗談ぽい叫びもあるわけだけどさ、たとえばGREEやらモバゲーやらに出てる既存のタイトルが新しくにじよめにも展開するとするじゃない。そうすると「にじよめは超重課金必須仕様だから、あんなところに行ったらヤバいことになるに違いない」とか言う情報弱者がいるわけ。お前よお、プラットフォームごとにイチイチ運営が方向性変えるか? そんなキメ細かい運営ができてたらネクロマンサーは要らないんだよ! ということをね、これからの日本を背負う若い世代には考えて欲しいわけです。

「誠意」にご満悦のにじよめちゃん

ーー確かに変わらないですよね(笑)。

にじよめちゃん:
 最初は「なんでこいつら、こんなに課金に対してナイーブなんだ?」って不思議に思ってたんだけど、じっと観察してるうちに、原因らしきものというか、客の不思議な性質が見えてきて。

ーーどんな性質でしょう?

にじよめちゃん:
 たとえばな、にじよめのゲームで「にじコイン(プラットフォーム内の仮想通貨)を払ったのにアイテムが付与されなかった」みたいなバグがあったとしましょう、というか実際あったんだが……。そういう場合、プラットフォームとしては決済が成功してるかどうかのログデータをすべて取っているので、そんなの「通信は済んでるけど、ゲームのプログラム側に問題がある」とわかるのね。だからそれはにじよめに申請してくれれば、ログと突き合わせて、ズレがあったら絶対に返金するんだよ。けど……。

ーーけど?

にじよめちゃん:
 あいつら騒ぎ立てるわりに意外と泣き寝入り体質で、Twitterとかゲームのコミュニティとかには「コインだけ奪われた!」とか書き込むのに、問い合わせて補填を受けようって発想がないんだよね。にじよめのゲーム以外でも、観察してると「まぢ詐欺だし。ホント最悪の運営です!」みたいな書き込みがちょくちょくあるわけ。そういう叫びを目にして、「おまえらそこであきらめるんだ!? 取り返しに行かないんだ」と最初は目を疑ったよ。

ーーうーん、わかります(苦笑)。

にじよめちゃん:
 最近はだいぶ客のITリテラシーが高くなってきたけど、ひと昔前のネットには、いわゆる情弱と言われる人も多かったとされていて、まあ要は彼らの世界観だと、「ネットショップって、詐欺とか普通にある」って感覚っぽいんだよな、どうも。日々架空請求とかを食らわされつつ生きているのかも。

ーー過渡期でしたからね。

にじよめちゃん:
 べつにネットに限らず実際の店舗でもね、「お金を払ったのに商品が届かない」なんてことは何らかの理由で発生し得ると思うんだけど、普通はたとえば郵便事故の可能性を考えて店に問い合わせてみるとか、法治国家なんだからいろいろとやりようがあるわけでしょ。
 彼らはそこが違っていて、一方的な売り手市場にいる感覚で、そういう商品トラブルに遭遇したら「一切リカバリーできない」という世界観で生きているんだなと思った。ほら、偽物を掴まされた苦情をなぜかAmazonの正規品のレビュー欄に書き込む人とかいるでしょ。あと最近だとメルカリ関連のトラブル記事とか読むと、完全にこのへんの価値観がシェアードワールド化してるね。

ーーなるほど(笑)。

にじよめちゃん:
 そういう補強もあって、「どうも本気でナイーブにそういうテイストを信じている人がいるらしい」と気付きを得たわけ。もうちょっと、挨拶代わりのさ、ある種の銭ゲバギャグとして受け入れられていると思ったんだけど。

ユーザーにカネを明け透けにせびる理由は?

ーーただ、そもそもユーザーに明け透けにカネをせびろうと思ったのは何ででしょう? ここまで話を聞いて、にじよめちゃんって口は悪いけど、やっぱりユーザーへの態度は真摯なんだと改めて思ったんです。だからこそ、このへんの話題の最後に、そこだけは聞いておかねば……と。

にじよめちゃん:
 おっ、コアなところ聞くねー。
 立ち上げの話をさっきしたけど、実際ににじよめが立ち上がったころは『艦これ』全盛期とか全盛期前夜くらい? まだサーバーの空き待ちをしていたころね。当時のたいていのソシャゲは、カネを高速でガチャに突っ込むのに特化した鬼の集金マシーンだったわけだけど、『艦これ』にはそこに対比するような形で「時間配分をマネジメントすれば無課金でも遊べるから、『艦これ』はもうインテリのためのゲーム。知恵ある者の戯れ。課金課金の成金ゲーとは一線を画す」というブランディングが定着していたわけですよ。これは運営が演出したものなのか、客のあいだで自然にそういう機運が生まれたのかは判らんがね。

ーーそうは言ってもプレイ効率化のためには課金してドックがあったほうがよかったじゃないですか(笑)。

にじよめちゃん:
 だろ? 課金しとるやんけ。だからなー、それを効率的だと思ってる時点で、運営の術中にハマってるわけ。「課金したほうが効率的」って渋谷のスクランブル交差点で声に出して10回言ってみ? 可哀想なものを見る目で見られるから。

――まあ、そうですよね(苦笑)。

にじよめちゃん:
 さらに運営が「こんなゲームに課金しないでください」とかなんか、そんな感じのことを言ってたでしょ。
 だから「ソシャゲがいっぺんこっちの虫も殺さんようなお上品な方向に振り切ったんなら、今度はきれいごと一切ナシの世紀末救世主伝説【※】が来る!」、「ボランティアと違うんや、誠意見せてもらわな、こっちも商売やからゲームなんぞ続かんぞ!」と、ダイレクトに言ったほうがいい、理想論の後には必ずバックラッシュが来ると思い、にじよめちゃんは最初から「全部出す」って決めたわけだ。

※世紀末救世主伝説……原作・武論尊、画・原哲夫のマンガ/アニメ『北斗の拳』のような、核戦争後の荒廃した、弱肉強食の理屈が支配する世界の状況を指している。「世紀末救世主伝説」というフレーズ自体は、アニメ版で主人公ケンシロウとライバルのシンとの戦いを描く「サザンクロス編」終了後からオープニングに登場するようになったもの。劇場版やゲームのサブタイトルにもなっている。
(画像はAmazonより)

ーー「課金しろ」ツイートは、惰性ではなく意志の力で絞り出しているものなんですね(笑)。

にじよめちゃん:
 絞るってほどのもんでもないかもしれんが、ある程度意識的にやってるのは確かやな。さっきの話に出たメルマガでもね、いろいろとアレな箇所に突っ込んでいったわけやけどさ、普通は見て見ぬフリをしたり取り繕うところようなところを「ここはこういうもんだが、ほかにおもしろいところあるから! そっちを見て!」って、懸念点には先攻してダメ出しして、「はいここはもうにじよめちゃんが先に指摘してるから批判ポイントとしては無効」みたいな見せかたをしてる。

ーー実際のところ、開発できるだけの収益なしには運営できないのも、やっぱり事実ですからね。そうすることによってプラットフォームとユーザーの関係、コミュニケーションがいい感じになっていったわけですね。

にじよめちゃん:
 いい感じというのか? 『艦これ』が当時そういう方向に行った根っこには、それまでのほかのゲームの単なる運営のミスとかが、「ソシャゲのお金の取りかたはえげつない」だとか、しかも「ユーザーには払う気がないのに払わされてしまう」といった暗黒魔術的なロジックで説明されていたことがある。最大手がCMで「無料」って連呼して怒られたりしてたでしょ? そこでにじよめちゃんは、「ここでは遊び始めるのは無料だけど、普通に誠意は見せてもらうぞ」ってことをあらかじめ提示しただけだよな?

農奴A:
 ハイ。提示しました、それを。誠意は必須のものです。

ーーまだいらしたんですね(笑)。ええと整理すると、当時まだ世間に定着していなかった「基本無料」に対するプレイヤーの不信感みたいなもの、詐欺っぽさを払拭するために、あえて最初からカネの話をしたと。

にじよめちゃん:
 「基本無料は、最終的に金を払ろうてもらうから基本無料なんや!」ってことをハッキリさせとかんと。さっきも言ったけど、ただでさえエロサイトの注意書きなんて、丁寧に書けば書くほど詐欺っぽくなるなるでしょ?

ーーなんとなくわかります。

にじよめちゃん:
 たとえば架空請求の文章って見たことある? チンピラの末端が小卒レベルの語彙力でがんばって法律用語とか契約書っぽい言い回しを織り交ぜつつ書いてあるわけですよ。がんばってがんばって公文書に準ずるような文体で、そして間違えるから究極に胡散臭くなるわけ。
 さっきの泣き寝入り体質の世界観にもどこか繋がる話やけど、ことカネに関しては、やみくもにそういう法律用語を使ったり、定義を厳密に言ったりするほど蟻地獄的に怪しくなっていく。だから逆に、にじよめちゃんは「バーのマスターと気軽に会話する感覚で認識してもろたほうがええやろ」と考えたんやね。

ーーだからサイトでもだいたいの言葉が口語だと。ユーザーに対して、そういうふうにある種の教育をし続けた結果、話のわかるアカウント感が出たんですね。

にじよめちゃん:
 かもしらんね。

めずらしいラフ画その3:夏仕様にじよめちゃん

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