こんにちは。ヨッピーです。
事故現場に急行した取材班みたいな雰囲気を出しつつ失礼致します。
突然ですが、皆さんが人生で一番最初にやったゲーム、つまりは初手のゲームってなんですか?
1980年生まれ35歳の僕の初手は「ゲーム&ウォッチ」シリーズの『オクトパス』で、「ひたすらタコの足をよけ続けるだけ」っていう今思えば「これ、何が面白かったんだろう?」っていうゲームなのですが、確か病院の待ち時間に僕が泣きわめくから親が渋々買ってくれたような記憶がある。
そしてファミコンの登場。僕が小学生になったくらいの時に、自宅の床にゴロゴロ転がりながらギャンギャン泣いて親にねだりまくり、念願のファミコンを買って貰う事に成功。そしてその後はファミコン→ゲームボーイ→スーパーファミコン→プレイステーション→プレイステーション2といった具合に王道(※)を歩んで来ました。
※……王道パターンとは逆に、ワンダースワン、3DO、ネオジオCD、セガサターンといったいわゆる「負けハード」ばかりを購入していた友人の浦部くんは「浦部が買ったハードは負ける」というジンクスで「疫病神」と呼ばれていました。可哀想。
僕が大人になるにつれてゲームもどんどん進化し、今となってはプレイステーションは4まで発売されていますし、最新ゲームソフトのグラフィックなんて洗練されすぎてて「え!? 実写!?」みたいなレベルに到達していたりするわけですが、そういう「ゲームの進化」をリアルタイムに体験出来た人間として感慨深い一方、今の子供達の中には「初手:プレイステーション3」みたいな子供達もきっと居るはずで、そういう子供達が昔のファミコンなんかをやったら、「グラフィックがカス」とか「音楽に臨場感が無い」とか「UIがイケてない」とか言うのかも知れません。
そこで今日は……、
ファミコンをやったことがない世代の子供達に、懐かしのファミコンソフトをプレイしてもらう事にしました!
果たして、30年前のゲームでも子供達は面白いと言うのでしょうか!
出場者紹介
まずはこちらがお兄ちゃんのマサキくん小学6年生。地域のミニバスケ部に所属。
一番最初にやったゲームはニンテンドーDSの『ポケモン』だそうだ。
生粋のゲーム好きで最近は『スプラトゥーン』にずっとハマっていたらしい。
こちらは弟のタイラくん小学3年生。地域の野球部に所属。
お兄ちゃんと同じく一番最初にやったゲームはニンテンドーDSの『ポケモン』。
ただしお兄ちゃんと違ってタイラくんは普段そんなにゲームをしないそうです。
ちなみに本日は某ご家庭のご自宅にお邪魔しております!
「あっ。これってWii U だよね? これで『スプラトゥーン』やるの?」
「そう! やりすぎて最近はあんまりやってないけど」
「『スプラトゥーン』の前は?」
「Wiiで『スマブラ』!」
「それな! 二人が『スマブラ』好きっていうのを聞いてたんで、今日は最高のゲームを持ってきたんよ」
「じゃん! ファミコンソフトの傑作! くにおくんシリーズです!」
「まずはこの、『大運動会』を二人にやって貰いたいんよ。正式には『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』っていう名前なんやけど、これはね、スマブラの原型とも言える名作なんよね。4人まで同時対戦が出来て、友達同士でひたすらしばき合いをするっていうゲームで、リアルファイトに発展する事もしょっちゅうだし教育に良いとはあんまり言えない作品やねんけど、強いキャラをみんなで集中的にボコってそのスキに自分が1位をかっさらったりっていう駆け引きの要素もあるし白熱すること間違いなし! ……あれ?」
「聞いてる?」
起動してみたら早速バグの洗礼。
懐かしいなこの感じ……!
一通りの操作方法を説明して、いよいよスタート!
ボタンがA,Bの2種類しかなく、単純で覚えやすいかも知れない。
「おっ。やるじゃん! 二人とも覚えるの早い!」
「この下水道のステージで武器持ってないヤツはフルボッコにしてここでリタイアさせとくんよ! 二度と水面に浮かばないように沈めたれ!」
「そうそう! わしおが武器を持つとマッハたたきが面倒臭いから武器を捨ててひたすらシバくんや!」
「ちょっと! 先にコンピューターやっつけろよ! なんでオレを殴るんだよ!」
「えー? どれがマサキかわかんないんだもん」
「だからそれがオレだって!」
「でも先にやってきたのはそっちでしょ!」
「うーん、懐かしいな、このリアルファイトに発展しそうな感じ」
かなり楽しそう!
そのあとは続けて『熱血高校ドッジボール部』や、
比較的新しい『熱血格闘伝説』、
そして『くにおくんの時代劇だよ全員集合!』
とアレコレやる事1時間!
ちなみに『時代劇』は音楽が最高なんですよ本当に……。
「どう? 初めてファミコンやってみて。面白い?」
「おもしろい! 『スプラトゥーン』よりおもしろいかも!」
「ごめんそれは言い過ぎだと思う」
「でも、本当に絵が綺麗だったら『スプラトゥーン』よりおもしろかったかも。『スプラトゥーン』はやりすぎて飽きてきたからなぁ」
「やっぱり絵は気になる? 他にも音楽がショボいとか」
「そんなに気になるってほどじゃないけど。もっとやりたい」
「おお……! やっぱり名作は今の子供がやっても面白いのか……!」
今の子供達は何をして遊ぶのか
「せっかくだから聞いてみたいんだけど、今の子供達ってあんまり外で遊ばない、みたいな事を言われたりするけどやっぱり外ではあんまり遊ばないの?」
「え、外で鬼ごっこやったりするよ」
「僕も野球やる」
「えー、そうなんだ。野球は公園でやるの?」
「それがね、酷い話なんですよ……!」
「なんか変なオッサンが急に出てきた」
「失礼な。父親です!」
そんなわけでいきなりですが紹介しておきますと、
今回、ご自宅の提供とご子息をご紹介頂いた某お父さんです。
ゲーム業界で活躍中。
「いやね、近くの公園にね、壁当て用の壁がずっと昔からあったんですよ。ボールをその壁に向かって投げて練習するっていうね。タイラが入ってる野球チームってもう30年くらい歴史があるチームなんですが、その監督もコーチも、みんなその壁に向かってボールを投げて練習してきたのに、近所から『ボールが当たる音がうるさい』ってクレームが来て壁を撤去しちゃったんですよ」
「おお……! そういう話って全国で多発してそうですね……!」
「そうなんですよ! 酷い話だと思ってTwitterにも書いたんですけど、子供達に対する風当たりが強い世の中になっちゃってるんですよね。公園もね、ボール遊び禁止だとか自転車の乗り入れ禁止だとか大声出すなとかっていう注意書きがあったりするじゃないですか。そのくせに子供が家でゲームして遊んでたら『今の子供は外で遊ばない! 軟弱だ!』って言うでしょ。公園で遊べなくしてるのは大人達なのに、どうしろって言うんですか」
「ちょっと、どうしたんですか。めちゃくちゃ怒ってるじゃないですか」
「そりゃあ怒りますよ! 子供が可哀想ですよ……。公園なんて本来子供のための場所だし、公園は昔からあったわけで、後から引っ越してきた人のクレームで子供達が遊べなくなるなんてひどい話じゃないですか。だから今度役所に文句言ってやろうかと思って」
「すごい。懐かしのゲーム企画なのに、急に行政批判が飛び出した」
「それにね、子供達同士がね、遊ぶ時って僕らの時は家の前に行って『○○く~ん! あそぼ~!』って言って友達を呼んだりしてたじゃないですか。でも今はそういうのに対して『ちゃんと親の確認を取れ』とかって言われたりするんです。お互いの親に話して、親同士が連絡して、OKが出たらやっと一緒に遊べるっていう」
「なるほど。友達と遊ぶのに事前にアポ取りしなきゃいけないんだ」
「そんなのってすごく窮屈じゃないですか。ほんとね、保育園の建設反対運動とかもそうですけど、そんな風に子供を育てにくい環境にしてたら当然人口は増えないし将来の労働人口が減って税収も減るんですよ。そうなった時に真っ先に困るのはお年寄りのはずでしょう? 自分で自分の首を絞めてるんですよね」
「あ、ちょっと待って下さい」
「どうしました?」
「いや、前半のほのぼの路線からの展開が急すぎて貧血起こしそうです」
「色々すいません」
ゲームと子育て
「お父さんは子供がゲームをする事に寛容なんですね」
「まあ僕はゲーム業界で働いてますし、ゲームのおかげでご飯を食べてこうやって子供を二人育ててますからね。何かとゲームって目の敵にされがちですけど、マサキが字を覚えたのってゲームのおかげですからそんなに悪いことばかりだとも思いません」
「え? どゆこと?」
「この子が幼稚園の頃かな? 『ポケモン』をやってたんですけど、まだ小さいからひらがなもあんまり読めないんですよ。だから、なんとなくわからない部分は飛ばしながらゲームをやってたら、お気に入りで育ててたポケモンを間違えて消しちゃったんですよ。なんだっけ?」
「ヒコザルかな?」
「そうそう。ヒコザルが消えて、『パパ! ヒコザルが居なくなっちゃった!』って。お前それ間違えて消したでしょ、って。文字が読めないからしょうがないんだけど、この子がそれでものすごく悔しがってショックを受けて、必死に勉強して、2週間でひらがなもカタカナも全部読めるようになったんですよね。だからこの子は幼稚園の中でも文字を覚えるのがすごく早かったし、その内今度は攻略本とかを読みながらやるようになって漢字も覚えて、っていう」
「おーーー。ゲームで文字を覚えたんですね」
「そうそう。だからいまだにこの子は本を読むのが好きですからね」
そんなマサキくんの机の上に置いてあった星新一のショートショート。
将来は僕みたいなライターになったりするのかもしれない。
「でも君たちは良いよなぁ。『ポケモンGO』とかの革新的なゲームが今後も色々と出て来るだろうけど、おじさんくらいの年になるとついていけなくなるからなぁ……。僕に子供が出来たとしても、その頃の子供がやるゲームなんてついていける自信無いわ……」
「大丈夫ですよ。今回証明されたみたいに、名作はいつの時代でも名作なので、昔自分がハマったゲームを子供と一緒にやれば良いんじゃないでしょうか」
「なるほど。上手くまとめましたね」
「恐縮です」
はい! というわけで今回の企画はいかがだったでしょうか!
まあ確かに、考えてみると夏目漱石なんて死んでから100年経ちますけど、読んでみたらいまだに面白いですし、ファミコンとは言え名作と呼ばれたゲームはどの時代にやっても面白いものなのかも知れません。「子供達がやってるゲームがわけわかんなすぎてついていけない!」みたいなお父さん、お母さんは昔やったゲームを引っ張り出して、たまにはハメを外して子供達と一緒に遊んでみても良いかも知れない!