電ファミニコゲーマーは、今日より掲載記事の海外翻訳プロジェクトをスタートします。
まず第一弾は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』発売前日の、2017年3月2日に公開して大きく話題を呼んだ、「まず2Dゲームで開発、社員300人で1週間遊ぶ!? 新作ゼルダ、任天堂の驚愕の開発手法に迫る。「時オカ」企画書も公開! 【ゲームの企画書:任天堂・青沼英二×スクエニ・藤澤仁】」の英訳版となります。
現在、日本のコンテンツ産業は、ゲーム業界に限らず、大きな変化の最中にあります。その一つのキーワードは、間違いなく「海外市場」です。エンターテイメントにお金を払う世代の高齢化が進行する一方で、少子化で下から新しく消費者層が入ってくることもない。かねてより言われてきたこの状況が、近年になって様々な現場でリアルな課題として、ついに浮上しているように思います。
潤沢な予算があれば優れたコンテンツが必ず生まれるわけではないが、やはり予算に制約があると優れたコンテンツは生まれにくくなる――それは事実でしょう。電ファミでも、日本のゲーム産業を取材していく中で、その不安はしばしば関係者の口から聞くことがあります。
その一方で、YouTubeやApp Store、あるいはPlayStation 4のようなグローバルプラットフォームの発展は、世界のコンテンツ市場をどんどん繋げています。例えば、『ダークソウル3』のような作品が、世界中の「死にゲー」ファンのゲーマーをかき集めて、ついには数百万本という売上を誇っていること。こういう状況は、従来の国内に閉じられた市場での「メジャー/マイナー」の枠組みごと壊していくような、全く新しい事態の到来を感じさせる出来事です(家電産業に詳しい人なら、きっとフロム・ソフトウェアを知れば、「グローバルニッチ」なるマーケティング用語の最高の事例と呼ぶことでしょう)。
しかし、こうした作品は、まだまだ決して多くはありません。
そうした状況の中で、日本の優れたエンターテイメントが、現在のクオリティを維持しながら、十年後、二十年後にも面白いものを作り続けるには、どうすればいいのか。メディアとして、それに何が出来るのか――。
それを考えたときに、日本の優れたクリエイションの海外発信を、海外メディア任せにせず、日本のメディアからも行っていくことではないかと思いました。日本の優れたコンテンツやクリエイターについて、日本人だからこそ聞き出せる「深さ」で、その魅力を解説していく。そんな取り組みが必要なのではないかと考えるに至りました。
少々……というか、だいぶ(!)話が大きくなりましたが、今回の翻訳はそんな問題意識のもと、まずは業務の合間の「小さな第一歩」として始めてみるものです。すぐに上手く行くかは難しいかもしれませんが、まずはここからかな……と。もしよければ、海外のご友人に広めて下さい(宣伝)!
なお、翻訳記事第二弾としては、2017年5月1日にリリースした「水口哲也のハチャメチャ人生が『Rez』で人類を進化(?)させるまで。「制約が創造を生む」なんて、もう言い訳しない【ゲームの企画書:水口哲也氏】」を予定しています。
最後に付け加えれば、コンテンツのグローバル化は、いずれ自動翻訳技術の発展を経て「ゲームメディア」にも訪れることだと思っています。でも、そのときに求められるのも、結局は「メディアの存在意義」でしかないと思います。願わくば、そのときに電ファミが世界中の読者に、存在意義のあるメディアであると思われていれば、嬉しいのですが――。
(電ファミニコゲーマー編集部)
「海外翻訳プロジェクト」協力者募集中
海外翻訳プロジェクトは、業務の合間の「小さな第一歩」として始まったまだまだ小さな試みです。実のところ、人手も知見もまだまだ足りない! ということで、協力者を募集しています。
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・海外への拡散経路
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