11月8日にLFS池袋で行われた「第1回 全国高校生eスポーツ選手権」の記者会見にて、同大会主催の毎日新聞とサードウェーブは、11月8日現在のエントリー状況を発表した。
「全国高校生eスポーツ選手権」はeスポーツを楽しむ高校生を応援し、新しい文化として発展させていくことを目的としたeスポーツイベントだ。
第1回大会は12月23日~26日の間にオンライン予選が開催され、2019年3月23・24日の両日でオンライン予選を勝ち抜いたチームによるオフライン決勝が幕張メッセで行われる。
使用するタイトルは、ライアットゲームズの『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』とPsyonixの『ロケットリーグ』の2タイトルで、LoL部門58チーム、ロケットリーグ部門22チームの計80チームがエントリー。
全国55校もの参加表明がなされ、中には1校で複数のチームが参加する意欲的な学校もあるそうだ。
※『リーグ・オブ・レジェンド』は、5人ひと組の2チームが、アリーナ内にあるそれぞれの陣営の拠点を破壊するのが目的。アリーナ上にある雑魚敵を倒しながら、経験値と資金を稼ぎ、プレイヤーキャラクターであるチャンピオンを強化し、対戦相手との戦いに備える。拠点はいくつもあり、最終的に本拠地の拠点を破壊すれば終了となる。
※『ロケットリーグ』は、ジャンプしたり、空を飛んだりすることができる車に乗り込み、3対3で対戦するスポーツゲーム。サッカーのようにボールを相手ゴールにたたき込み、点数を稼ぐのが目的だ。
参加資格は、日本在住の高校生、高等専門学校生(3年生まで)、定時制高校生、通信制高校生の満16歳~19歳であれば、誰でも参加することができる。
参加するゲームタイトルによって、3人ひと組、もしくは5人ひと組での参加となり、チームは同じ高校の生徒で構成している必要がある。エントリーは9月25日から11月21日まで受付が行われる。
参加への道のりは意外と高い
参加を表明しているチームのほとんどは、パソコン部などの既存の部活から編成されていることが多いが、そういった部活がなかったり、部活内で『LoL』や『ロケットリーグ』をプレイしている仲間がいなかったりなど、参加への道のりが意外と高いという。
普段はオンラインでのプレイが基本となるため、いつも一緒にプレイしているプレイヤーは、どこに住んでいるのか、年齢は何歳なのかが不明でもまったく問題にならないが、今回は同じ高校と言う制限があるので、まずはチームメイト集めから始めなくてはならないのだ。
それどころかイチから部活を立ち上げる必要がある場合もある。そこでドスパラを展開するサードウェーブは、「eスポーツ部発足支援プログラム」として、先着100校に最大5台のゲーミングPCを3年間無償でレンタルする施策を展開。既に56校が申し込んでいる。
「部活を立ち上げるのは大変だと思います。部活を立ち上げるということも、高校生活においての文化活動であると考え、支援していきます」(サードウェーブ 取締役副社長 榎本一郎氏)。
「全国高校生eスポーツ選手権」は他の高校生の全国大会と肩を並べる大会
「全国高校生eスポーツ選手権」は毎日新聞社の主催となるのだが、毎日新聞社というと、選抜高校野球大会や全国高校ラグビー大会、全国高校駅伝競走大会などの高校生を対象にした全国規模のスポーツ大会を開催しており、文化面としても全日本学生音楽コンクールなども行っている。
「全国高校生eスポーツ選手権」もこれらの高校生の全国大会と肩を並べる大会とすべく開催されている。
発表会場で登壇した毎日新聞社代表取締役社長である丸山昌宏氏は、「eスポーツを新しい文化として発展をさせていきたい。仲間と一緒に目標に向かっていくのは、青春そのものであり、応援をしていきたい」と語っている。
そして選抜高校野球大会といえば、毎年話題になるのが、入場行進曲。「全国高校生eスポーツ選手権」も人気バンドBURNOUT SYNDROMESによる「ナミタチヌ」が応援ソングとして採用されている。
「ナミタチヌ」は、「全国高校生eスポーツ選手権」のために書き下ろしたオリジナル楽曲で、eスポーツサークルで活動する大学生に取材し完成した。
「大学生にインタビューしたときに出た言葉で「高校生の時から勝負できる場を与えられているのはうらやましい」という言葉に心を動かされました。道を極める人たちの歌として、波風立たさずに生きていくのではなく、波立てて勝負していこうという思いを込めました」(BURNOUT SYNDROMES 熊谷和海氏)。
eスポーツの中心はプロ選手やプロリーグに向けられがちではあるが、やはり、裾野を広げる意味では、高校生や大学生など、学生を中心としたアマチュアの存在が大きい。
その意味では今回、数多くの高校生のスポーツ大会を開いている毎日新聞が主催となる意味は、文化として発展していくにはとてつもなく大きいのではないだろうか。
文/岡安学