“記憶”を選択肢として使い物語を分岐させるアドベンチャーゲーム『だらよ』シリーズがiOSで配信開始。初代は無料でプレイ可能

 自転車創業はアドベンチャーゲーム『そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ』(以下、だらよ)と『そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ3 ※この世界で2の発売予定はありません。』(以下、だらよ3※)のiOS版をリリースした。前者は2006年、後者は2008年にPC向けにリリースされている。

 『だらよ』はiOSとPC版が無料配布されており(パッケージと一部店舗では100円)、ダウンロード可能なショップは公式サイトにて確認できる。『だらよ3※』はiOS版が3500円で、シナリオが一部追加されている。また、2019年1月7日までにiOS版を購入すると、解説同人誌『チャレンジ!! パソコン アドバンスドノベル』のpdf版が特典として付属する。

 なお、あまりにも長いタイトルのため、iOS版はどちらも『だらよ』、『だらよ3※』と略称で登録されている。

 今回無料化された『だらよ』の物語の時代設定は昭和75年。正体不明の結界が現れ、そこに閉じ込められた人々が行方不明になるという怪事件が起きている日本が舞台だ。主人公ノゾミは語尾が特徴的なパートナーのカコとともに、結界とともに現れる爆弾を見つけ出し解体することが目的となる。プレイヤーが担当するのは解体ではなく、爆弾を解体できる形にするというものだ。

 『だらよ』は一般的なアドベンチャーゲームの体をなしているが、シナリオを分岐させるにはプレイヤーが能動的に物語へと働きかける必要がある。これを実現するのが、自転車創業のゲームの大きな特徴となる「ANOS」(Advanced Novel Operation System)だ。

 自転車創業4作目となる『だらよ』にはバージョン4が、6作目となる『だらよ3※』にはバージョン6のANOSが搭載されている。


ANOSちゃんは自転車創業のゲームの重要なシステムであり、『だらよ』でも重要なアイテムとして登場する。
(画像は公式サイトより)

 多くのアドベンチャーゲームはシナリオを読み、ときおり現れる選択肢を選んでシナリオが分岐していくというのが一般的なシステムだ。『だらよ』でも選択肢は現れるが、重要な分岐はシナリオの中で手に入る記憶を使うことで行われる。

 選択肢が出現するようなシナリオの分岐ポイントは明示されないので、ここだというところで必要な記憶を選択しなければならない。これが成功すれば違うルートへ分岐、シナリオが進んでいくという形になる。ヒントや解法は文章だけにとどまらない。攻略の鍵は、ときには背景画像やキャラクターの絵などさまざまな場所に潜んでいる。また、ANOSを使えば、未来で手に入れた記憶を持ったまま過去へと戻り、過去の行動を改変することも可能だ。

 結界は複数同時に攻略できるため、一方の結界で手に入れたアイテムや情報が、他方の結界の謎を解く鍵になることもある。さまざまな結界で情報を集め、ANOSで管理し上手に使用することが必要になる。

ANOSの記憶管理画面。ここで記憶を選択することでシナリオに干渉し、新たな道を切り開くのがゲームの謎解きの基本構造となる
(画像は公式サイトより)
(画像は公式サイトより)

 『だらよ』は爆弾解体のプロフェッショナルだが少し間の抜けた相棒と、それに淡々とツッコミを入れ続ける主人公の会話劇が楽しいゲームだが、謎解きはなかなか難しい。どこが分岐のポイントで、どの記憶がそのキーとなるかは論理的につながっており、解けてしまえば理不尽なところは見当たらないだろう。しかし、論理的だからといって簡単になるわけではない。ゲーム最初の爆弾解体でも大いに悩むことになるはずだ。

 iOSに加えてPC版も無料化した『だらよ』と、同じくiOSで配信が開始され、PC版の価格も改定された『だらよ3※』は、年末にじっくりと解くにはうってつけのゲームといえるだろう。

文/古嶋 誉幸

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一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros
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