Epic Gamesは日本時間10月3日、モバイルおよびPCゲーム開発者向けの新サービス「Epicウェブショップ」の提供を開始したと発表した。
これは、開発者がEpic Gamesの持つオンライン販売の仕組みを利用して、ゲーム内コンテンツをプレイヤーに直接販売できるサービスである。

この新サービス「Epicウェブショップ」の大きな特徴は、Epic Games Storeでゲームを配信していない開発者でも利用できる点だ。
プレイヤーはWebブラウザを通じてPCおよびモバイルからウェブショップにアクセスでき、開発者はゲーム内や自社ウェブサイト、ソーシャルメディアなどからプレイヤーを誘導することが推奨されている。
収益分配においては、年間、タイトルごとに最初の純収益100万ドルまでは開発者が100%受け取り、その上限を超えた分についても88%が開発者の取り分となるモデルが採用されている。

ウェブショップの支払いについてはEpicの決済システムと統合されており、プレイヤーはEpicアカウントの残高や、購入ごとに付与される「Epic報酬」を利用して支払いが可能だ。
開発者はセルフパブリッシング ツールを利用してウェブショップをセットアップ可能。プロモーション価格の設定や特定の国での販売制限なども行える。販売可能なコンテンツはバーチャル通貨やその他の使い切りアイテムを含む、消費型の販売コンテンツに限られ、Web3ゲームは対象外となる。
この新サービスが提供される背景には、Epic Games自身がAppleやGoogleを相手取って繰り広げた法廷闘争がある。同社は、巨大プラットフォーマーが開発者に対し、アプリストア外の安価な決済手段へユーザーを誘導すること(ステアリング)を禁じる規約は、独占的で不公正であると主張してきた。
この訴えについて、対Google訴訟では2023年12月11日に陪審が独占禁止法違反の評決を下し、また対Apple訴訟でも2024年1月16日に反ステアリング条項を禁じる判決が米連邦最高裁判所によって確定した。
さらに、判決後にAppleが外部決済に対し新たな手数料を課すなどの対抗策を講じたため、4月末には手数料の完全な禁止や警告画面の表示禁止などを含む、より厳格な差止命令が改めて下されている。
今回のウェブショップは、こうした司法判断の流れを踏まえて提供されるサービスであり、開発者にとって新たな収益化の選択肢となる。プレイヤーにとっても、購入時に「Epic報酬」を獲得・利用できる点は直接的なメリットとなるだろう。
「Epicウェブショップ」は、PCとウェブの製品ページに追加される新しい「ウェブショップ」タブからアクセス可能。モバイルアプリの製品ページにおけるショップの利用については、今年中にEpic Games Storeモバイルアプリ内でのネイティブ対応を予定しているという。