昭和から平成にかけて、かつてゲームセンターに通う若者たちを熱狂させた一大ジャンルが存在した。
それがシューティングゲーム……!
時を経て、令和も8年目を迎える2026年。
シリーズ前作『達人王』から34年──あの『TATSUJIN』が帰ってきた。
シリーズ原作者自らが手掛ける新作STG『TATSUJIN EXTREME』は、1988年に東亜プランが生み出し、現在主流のボム型縦シューの礎となった伝説のSTG『TATSUJIN』シリーズの完全新作だ。
シューティングゲームというジャンルには人を惹きつけてやまない数多くの魅力がある。
敵艦隊をバリバリと倒す爽快感……
弾幕を潜りぬける緊張感……
攻略をゲーセンの仲間たちと共有する連帯感……
そして、努力の末に己の成長で強敵をねじ伏せる達成感……
まるで少年漫画のような熱狂と努力、友情、勝利がそこにはあった。

『TATSUJIN EXTREME』はかつての熱さを受け継ぎながら、現代のプレイヤーにも遊びやすいよう配慮が行き届いており、シューティングゲームに馴染みのない人から、かつて『TATSUJIN』『達人王』の高難易度に熱狂したプレイヤーまで、幅広く楽しめる作品になっている。
本記事では、そんなSTGの根幹である”打って壊す”、”弾を避ける”、その気持ちよさがギュッと詰まった『TATSUJIN EXTREME』を紹介していく。本作の先行プレイ動画も用意したので、そちらについてもご覧いただきたい。
ワンコインクリアするまで遊んでわかった、破壊と難易度の絶妙なバランス
筆者はこの記事を作成するにあたって、『TATSUJIN EXTREME』を最終ステージまでワンコイン(ノーコンティニュー)で一周するまでプレイした。本稿ではネタバレの都合上、アーケードモードを3面までのゲームプレイをお届けしよう。
なお、本製品版ではアイテムや敵の配置などが変更される可能性がある点、既に公式生放送などで存在自体が明かされている隠し武装については、意図的に取得を避けている。

さて、筆者が実際プレイした感想に入っていこうと思うのだが、まず、第一に伝えたいのは破壊の爽快感がしっかりと得られるという点だ。
ショット撃ち込み感、敵の撃破時の爆発演出やSE、敵の配置のよさなど、STGの気持ちよさがこれでもかと詰まっている点に大きな魅力を感じた。
また、後述する新システムの「EXブーストショット」(ゲージを消費して撃てる高威力の強化ショット)も破壊する楽しさに一役買っている。通常ショットが弱めの武装でも、硬い敵を「EXブーストショット」で薙ぎ払うのは最高だ。
そして、もうひとつ着目したいのは音楽だ。
音楽も担当するTATSUJIN弓削雅稔社長は、このSTGシリーズを生み出した当時から頭の中では鳴っていたRemixの音があったのだが、当時はハードの制約の関係上どうしても再現できなかったと語っている。
今作の音楽では『TATSUJIN』や『達人王』のRemix曲が含まれているのだが、それが今のハードでようやく実現できたということで、かつての東亜節のBGMに惹かれたプレイヤーとしてとても感慨深いものがあった。

『TATSUJIN』を冠するからには気になるのはその難易度であろう。
過去作、『TATSUJIN』と『達人王』で正直難易度が離れすぎているので、どうなのか気になるプレイヤーも多いかと思うが、個人的には『TATSUJIN』寄りの難易度調整だと感じた。
参考までに、筆者は後述する練習用モード「TRAINING」を使わず、古のしきたり通りにコンティニューなしでプレイした。全ステージを通しで遊ぶ「ARCADE」モードのみを、100円を入れる感覚で一周。このワンコインクリアを、1か月程度の先行プレイ期間内に達成することができた。
最終的な調整がどうなるのかは本稿執筆時点では不明だが、少なくともデモ版の段階ではワンコインに半年や年単位かかる人が殆どである『達人王』のようなえげつない難しさではなく、『TATSUJIN』のように広い層が楽しんでプレイできる絶妙な難易度だと感じた。
また、早回しを意識するなどして、稼ぎを目指すと牙をむいてくる部分もあったりもするため、「シューティング文化を未来へつなぐための想い」を持って作ったという言葉の通り、新規層も楽しめる間口が広く、熟練プレイヤーへの奥深さも内包した非常に素晴らしいゲームだと感じた。
遊びやすさはどう進化したか?『TATSUJIN EXTREME』の新システム
実際に触れてわかった『TATSUJIN EXTREME』の面白さの背景には、本作で追加された新システムがある。前作から30年以上の時を経て、STGというジャンルの当たり前も大きく変化しているが、本作は取り入れるところを取り入れ、現代のSTGとしても遊びやすく仕上げている。
それでは、新たに追加された主なシステムを見ていこう。
新要素「EXブーストショット」で硬い敵も一網打尽!


過去シリーズとの一番大きな違いはこの「EXブーストショット」だ。画面左上の「EXブーストゲージ」を消費して叩き込む高威力の強化ショットで、各ショットごとに性能が異なり、武器を切り替える楽しさにも繋がっている。
通常ショットでは押し込まれる硬い敵を倒したり、倒すと手に入る黄色のアイテム「アンバージェル」でスコア稼ぎをしたり、隠しアイテムの出現に使ったりと、本作攻略のキーとなるシステムだ。
ゲージは通常ショットで敵を倒すと溜まり、EXブーストショットで倒している間は消費される。どこで貯めて、どこで使うのか──この駆け引きを使いこなしてゲームを有利に進めよう!
スピードが調整可能で低速モードも追加!

従来の『TATSUJIN』シリーズでは、速度アイテムで自機速度を上げても、敵にやられる以外に下げる手段がなかった。スコア稼ぎには最高速状態でのアイテム取得が有利な一方、速すぎて敵にぶつかりやすくなるため、遊びの幅が制限されていた。
『TATSUJIN EXTREME』ではボタンを押せば自機速度を調整可能になり、スコア稼ぎをするプレイヤーも好みの速度で楽しめるようになった。また、ボタンを押しっぱなしにすると低速移動になる、現代STGでは定番の機能も追加されている。
復活パターン作成の厳しさの緩和

『TATSUJIN EXTREME』は自機がやられた際に「戻り復活」を採用している。STGには、シームレスに進む「その場復活」と、暗転してステージの特定のチェックポイントまで戻される「戻り復活」の二種類が存在し、後者は復活パターンを組む必要があるのが特徴だ。
歴代シリーズでは復活時に一気に弱体化してしまうため、1機失うとそのまま同じ場所でなし崩し的にゲームオーバーになりがちだった。一方、本作ではやられた後もパワーアップランプが3つ減った状態でリトライとなり、最大強化状態ならランプ3つのストックがあるため一度は弱体化なしで復活できる。
歴代STGマニアには賛否があるかもしれないが、STGを未来へつなぐというコンセプトを踏まえれば、不意のミスからの復帰を優しくする良い試みだと感じた。
初心者用や練習用など様々なモードの充実

家庭用STGらしく、練習用の「TRAINING」モードや初心者向けの「HEART STARTER」モードなど、各モードが充実している。
「TRAINING」ではステージや前後半エリア、ボスの特定箇所だけを指定して練習でき、ショットの種類も選べるため苦手箇所の攻略にピッタリだ。「HEART STARTER」は残機無限・その場復活の初心者向けモードで、雰囲気を掴みたいライト層にも向いている。
また、ゲーセンのように全ステージを通しで遊ぶ「ARCADE」モードは一周が長めだが、物語を楽しみながら1面ごとにプレイする「STORY」モードや、2分以内に最高得点を目指す「ARENA」モードもあり、短い時間でも楽しめる作りになっている。
3人の主人公、300ページ級のボリューム。『TATSUJIN』に生まれたストーリーモード
なんと本作にはストーリーモードがある。主人公は「Ash」「Bergamot」「Cyrilla」の3キャラで、それぞれの物語が用意された大ボリュームだ。
『TATSUJIN』シリーズにストーリーが!? しかも主人公が3人も!? と既に驚きなのだが、さらにこのストーリー、シューターのファンから”ジュンヤー”の愛称で親しまれる井上淳哉先生のイラストによる”動くコミック形式”で贅沢に展開する。

弓削雅稔社長からこのストーリーモードを打診された際、井上淳哉先生は「『TATSUJIN』にストーリーいりますか?」と返したという。しかし「今の時代にあわせたものを作りたい」「東亜プランにルーツをもつ井上淳哉先生と一緒にやりたい」という弓削社長の熱い思いが実を結んだのがこのストーリーモードだ。
エピソードは順に解放される形式で、たとえば「Ash」のエピソード1をクリアすると「Ash」のエピソード2と「Bergamot」のエピソード1が解放され、その両方をクリアすると「Bergamot」のエピソード2が解放される。
STGとしてはもちろん、読み物としても映画の脚本レベルと語られる本作のストーリーにも注目してほしい。


