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合戦では丘を奪い、内政ではコメを守る。戦国ストラテジーの名作『Total War: SHOGUN 2』の決定版『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』プレイレポ。シリーズ初の日本語フルボイス、源平合戦から戊辰戦争まで全DLC収録

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「Total War」シリーズというと、最近は『Total War: WARHAMMER』のヒットや、『トータルウォー:ウォーハンマー40,000』の発表が話題だ。だがこのシリーズは、そもそも歴史ストラテジーの名門である。架空世界での過酷な戦いも素晴らしいが、歴史のロマンも感じたい。そんなファンは決して少なくないだろう。

そのシリーズの中でも名作と名高い『Total War: SHOGUN 2』(2011年)を現代向けに改修し、すべてのDLCをまとめたのが『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』(以下、本作)だ。4K表示への対応やUIの再設計に加え、シリーズ初となる日本語フルボイスとテキストのローカライズがなされている。

この日本語対応は、本作を語るうえで外せない。「Total War」シリーズには長年、公式の日本語対応がなされてこなかったのだ(シリーズ第1作は『Shogun: Total War』で、Creative Assemblyは現在セガのグループ企業なのに!)。

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ムービーの字幕に至るまで、きっちり日本語に。

その日々がついに終わったわけだが、ここに至るにあたっては日本のファンコミュニティの尽力が大きかったことを、Creative Assemblyも謝意をもって語っている。「企業が対応した」のではなく、ファンの献身的な活動あってこその結果であることを噛み締めたい。

さて本作でプレイヤーは、戦国時代の大名となって天下統一を目指す。合戦では大軍勢を自ら指揮し、合戦の合間には領地の開発や外交、諜報を進める。そしてこの両方で、プレイヤーは絶えず判断を迫られる。

この丘を先に取るか。カネとコメのどちらを優先するか。臣従させた氏族を信じるか。

本稿では、そうした駆け引きの手触りを中心に、本作の魅力を紹介していきたい。ストラテジーには興味があるが「Total War」は未体験、という読者に向けて書いている。

文/徳岡正肇
編集/kawasaki

※この記事は『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』の魅力をもっと広めたいセガと電ファミのタイアップ企画です

合戦はリアルタイム、国家経営はターン制。そして合戦は「おまかせ」も

「Total War」シリーズは、動画やスクリーンショットを見ると、大量の兵士が戦うRTSのように思える。この印象は決して間違いではない。だが実際には、RTSの側面とターン制ストラテジーの側面の両方を持つ作品だ。

軍勢と軍勢が合戦したり攻城戦をしたりするときはRTSとなり、軍隊の雇用・産業の育成・外交など国家経営を進めるときはターン制となる(この時代を扱ったストラテジーでいえば、コーエーテクモの『信長の野望』シリーズが『嵐世記』から取り入れた構造に似ている)。

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合戦や攻城戦はRTS、国家経営や外交はターン制。じっくり腰を据えて楽しめる作品……と言いたいところだが、敵国の展開が結構早いので、「じっくりと、しかし急いで」領土を広げていく必要はある。

そして実は、合戦パートは完全に自動解決してしまうことも可能だ。つまり本作を、リアルタイム要素のまったくないターン制ストラテジーとして遊ぶこともできる。

「RTSはちょっと苦手で……」という読者、あるいは筆者のように「戦闘より戦略局面を動かすほうが好み」という読者には、声を大にして「全部自動解決させて進めても、十分に面白いですよ!」とお伝えしたい。

とはいえ、ゲーム的な有利不利だけ言えば自力で指揮するに越したことはない。自動解決では勝てない合戦でも、自分で指揮すれば十分に勝てるからだ。
戦闘の進行速度は相当自由に変更でき、最も遅いモードは実質ポーズしながらプレイしている感覚と大差ない(ポーズ中に命令が発行できないのが、類似作との唯一の違いだ)。

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何をやっても勝ちだなという場合は、自動解決してしまって問題ない。なんなら自動解決で勝利を目指すというプレイスタイルもアリかもしれない。
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戦闘を「スローモーション」にすると、限りなくポーズに近い程度には遅くなる。

敵陣のほうが丘に近い。それでも、先に取る

本作の画面を見て「遊んでみたい!」と思った読者の大半は、「合戦がどれくらい面白いのか」が最も気になるポイントだろう。なのでここからは、合戦の話をしたい。

引いた画面でもズームした画面でも、グラフィックのインパクトは大きい。大量の兵士が戦場を走り回る様子はもちろん、夜間の城攻めで建造物が炎上する様など、見応えのある演出が無数に散りばめられている。

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騎兵隊が敵軍の側面から切り込んだところ。
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夜空を切り裂く火矢が美しい。

雇用できる兵士の種類は非常に多く、大名ごとに固有のユニットもいる。勝利を目指して軍勢を最適化するもよし、自分のプレイスタイルにあわせた編成をするもよし、こだわりの粋のような軍を作るもよし。

「多彩すぎて困る」のであれば、ものすごい一般論を言えば、「槍足軽を中心に、刀侍と弓足軽(こちらがメイン火力)で打撃部隊を編成する」ことを基本とし、ここに自分の操作が追いつく程度の騎兵を混ぜていくのが基本となるだろう。いつの時代も遠距離火力は正義であるが、なにしろ「弓取り」が武士の代名詞だった時代である。

そのうえで、合戦の駆け引きがどんなものか、筆者が実際に戦った一戦を例に紹介したい。

その戦場は、中央に小高い丘があった。弓兵を高台に置いて戦場を一望できれば、そこで勝ちはほぼ確定する。当然、先に取りたい。だが敵陣のほうが丘に近く、苦戦が予想された。

ところが戦場をよく見ると、敵軍は本隊と援軍に分かれていた。本隊は丘から遠くに布陣しており、丘の反対側にいる敵は少数。ならば損害を厭わず、まずはこの丘を取る。敵本隊が到着する頃には丘を確保しており、こうなればわが軍の優勢はもう動かなかった。

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高台にあって戦場を一望できる弓兵、そりゃあ強い。この布陣が取れた段階で勝ち確定に近い。
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戦場の中央にある小高い丘。敵陣(赤のエリア)のほうが近い。
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敵本隊は丘から遠い。反対側の敵は少数。ならば取る。
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敵本隊が到着する頃には丘を確保。わが軍の優勢はもう動かない。
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ちなみに同じ戦場でも、季節が違えば表現が変わる。

さきほど「自分の操作が追いつく程度の騎兵」と書いたが、この騎兵もまた本作の面白さのひとつだ。

本作の騎兵は、実のところ、「ものすごく強いステータスを持つ、戦場の支配者」というポジションにはない。最もコストが安いユニットである槍足軽の槍衾に衝突すると、無惨なことになりがちだ。

だがその圧倒的な機動力は、孤立した敵弓兵への奇襲から、戦場における重要拠点の占領、敵本陣への襲撃、敵騎兵の襲撃に対するカウンターチャージまで、高度な柔軟性を発揮してくれる。
強くはないが、使い方次第で戦況を動かせる。そこまで含めて、騎兵の操作は本作の戦闘における大きな魅力かと思う。

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敵の弓兵隊に騎兵を突入させる。数では不利、かつ敵騎兵の後詰めがいたが、相手の士気をくじいた後の一撃離脱に成功。

適切な喩えかどうかはともかく、『Mount & Blade II』で大軍勢を指揮して遊んだ経験がある読者であれば、すぐに飲み込めるし、楽しめるだろう。UIはやや癖を感じるものの、すぐに慣れられるくらいには、こなれている。

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『Mount & Blade』を遊んだことのある読者なら、「ああ」となる画面。

世の中カネ、そのカネの背後にコメ。発展させるほど危うくなる国家経営

では、ターン制で進行する戦略パートはどうだろうか。

本作の戦略パートは、たとえば『信長の野望』シリーズに比べると、かなり簡略化されている。膨大な数の武将を適材適所で采配し、細やかな領地管理をする、といった粒度のゲームではない。とはいえ、過度に抽象化されているわけでもない。

本作の国富は、大きくわけてカネとコメで回っている。カネがなければ事実上何もできない。軍勢を雇用・維持するにも、領地を開発するにも、とにかく世の中カネである。

そしてカネの背後にはコメがある。領地の開発は「領内に建造物を建てる・アップグレードする」という形で行なわれるが、一部の建造物はコメを消費する。
国内に流通するコメが足りなくなれば反乱祭りが始まりかねない(厳密には幸福度との兼ね合いになるが、コメ不足は原則としてとても厳しいことになりがち)ので、ここはかなり慎重に管理する必要がある。

ところが、領地を強化していく基盤となる「城」の強化にもコメが必要となる。城をアップグレードしないと国家の発展に限界が来るが、アップグレードすれば食料の消費量が増える。この仕掛けが分かっていないと突然死があるので、初心者の間は要注意だ。

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領地経営の基本は「自領にどんな建物を建てるのか、どの建物をアップグレードさせるのか」におおむね集約されている。
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新たに軍隊を雇用するのも、戦略パートでの重要な仕事。

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部隊も武将も経験によって強化されていく。どちらもかなり重要なので、鍛え上げた兵士を無駄死にさせるような戦略だけは避けるべき。国家の利益が最大となる死に場所を提供しよう。
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画面右下に見える「余剰食料」がとても重要。これを0で進行させるのはかなりリスキーなので、最低でも1くらいは余裕を持っておきたい(最序盤など例外はある)。

この「基本インフラとしてのコメ」は、別の角度からの問題も発生させる。穀倉地帯の奪い合いである。

自領に侵攻され、穀倉地帯を荒らされた場合。あるいは領内で起こった反乱によって、田畑が荒れた場合。これらの事態は、敵軍(反乱軍)に自領を占領されなくても起こり得る。これによってコメの供給バランスが崩れると、そのまま国家が内部から崩壊ということも十分にあり得る。

普段はそんなことにならぬよう、コメに一定の余裕を持たせて国家運営するものだが、予期せぬ事態というものは、予期せぬからこそ、起こるものだ。

逆に言うと、敵国に攻め入った場合、敵の穀倉地帯を焼き払うと、敵国が大幅に弱体化することがある。もちろんこれは未来に対する負債ともなり得るが、「略奪」が効果的なオプションになり得るのは、歴史ストラテジーのファンとしては見逃せないポイントだろう。

もうひとつ判断が難しい要素として、技術開発がある。技術開発は「時間をかけて技術ツリーを先に進めていく」という、よく見るタイプのものだ。この手のゲームに触れたことがない人ですら「ああ、これね」と思えるシステムである。

問題となるのは、この技術ツリーが大きく見て軍事と内政に分かれており、かつ、そのすべてを取得するのは極めて困難ということだ。同じことは軍事と内政の内側における分岐についても言えるので、「何を、いつまでに研究していくか」のビジョンが必要になる。

カネの力でスノーボールしようとしても根本となる軍事基盤で行き詰まり得るし、軍事基盤だけ伸ばしてもカネやコメで行き詰まりかねない。かといって「バランス良く」やっていては、優位性が取れない。悩ましくも楽しいポイントである。

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技術ツリーも安心感のあるUI&システム。基本的に左が軍事、右が経済となっており、当然だが「どちらかだけ」ではかなり苦しい展開になる。そして、すぐに「基本的に」という留保に対して「どこが基本的じゃ!」と叫びたくなるはず。

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本作は外交も非常に重要。外交UIは分かりやすく、ストラテジーゲームにおいてこれは大変にありがたい。
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特定の技術をアンロックしていないと建てられない建造物もある。
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諜報や謀略の要素もあり、上手くいくと効果はかなり大きい。また端的に「地図を調べて回って現状を把握していく」のも大切。忍者が歩いて回ったところ以外の地図は「戦場の霧」の中にある。

これ以外にも細かな要素は多い(武将の成長など)が、総じて言えば本作の戦略パートは、どんな軍事ユニットを雇用していくかまで含めて、「デッキを組んでいく」感覚がそこそこ強い。

最終的なビジョンを持った状態で、最適なパーツを組み上げていくような感触と言えようか。このため慣れるまでは試行錯誤が必要になるが、ある程度まで慣れると「次はこの国で、こういう方向でやってみようか」といった楽しみも増える。

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