「ム……
なんという、ことじゃ……」
「……意味不明。
察知、できなかった。
この私が……!」
「うっ、ぐっ、ひぐっ、
レイズルっ……
なんで……っ、なんでっ!!」
【レイズル死亡】
【1日目の夜明けを迎えた】
「……まずは、弔いを。
彼の血と肉と骨を、
ヴァルメイヤに
お返ししなくては……
そして……その後は……」
「その必要ないですよ。
『儀』に意味なんてないし、
ヴァルメイヤなんて
いませんから」
──蒼白(そうはく)な顔が4つ
こっちを向いた。
ヴァルメイヤの名を口にできる
のは巫女のみで、
その存在を否定することなんて
『村』の誰にもできない。
そのはずだから、当然だ。
でも悪いが、
そんなところで引っかかってる
余裕はない。
「みんなレイズルさんに
『狼』の話を
吹き込まれたはず。
信じるしかないし、
対策は『儀』しかあり得ない。
僕らは互いに殺し合い、
どう頑張っても、もがいても、
この雪原で全滅する。
『村』のやり方だと、
絶対にそうなる。
このままじゃダメなんだ」
「……フレイグ……?
あなた一体、
何を、どうして……」
「何をどうして?
どうとでもとれそうな質問だ。
だから勝手に答えます。
僕はきのう、
一晩中起きていた。
そして全てを目撃したし、
一晩中考えて、
『5回分の記憶』を振り返り、
そして答えを得た。
今こそ語ろう。
この悪夢じみた事件の真相を」
「……
っ……」
「今笑ったなおいコラてめえ
せっかく決めたのに何だオラ
ゴニヤも何腹抱えてんだオイ」
「……っごめんなさい、
ゴニヤちょっとひろいぐいで、
おなかいたくて……ひひひ……」
「あの、やめましょう?
人ひとり死んでいるのですよ?
皆さんも少し我慢というか、
いや私はいいと思いますが、
フレイグにそういう部分が
あるのもええ承知していますし」
「いや、ワシは正味、
かっこええと思う!
ええぞ小僧! いやフレイグ!
ならば大いに語るがよい!
悪夢じみた事件の
真相とやらを!!!!」
やめてくれ!!
女性陣に笑われる以上に
ジジイにだけ支持される状況が
なんだかものすごくつらい!!
つらいけど、
やんなきゃしょうがない。
咳払いして、僕は話し出した。
「まず、最初に……
この事件は、繰り返してます。
牢から逃げて、
レイズルさんを失って、
『儀』を始める……
ということを、
既に5回はやっています。
みんな、なぜかこの『5回』を
まったく記憶していません。
だけど今、『5回』の顛末(てんまつ)は
確かに僕の中にある」
「わるいものでもたべたかしら?」
「ゴニヤがそれ言う?」
「ムウ……突拍子もない
言い分じゃな……
『繰り返す』じゃと?
意味が分からん……
ゴニヤの言うような、
いかれた妄想じゃとしか
思えんが……
何か確証がある顔じゃの、
フレイグ。あるいは何か、
証明する手立てがあるんかの?」
「『ある』。僕には、
『5回繰り返してる』話を
皆さんに確信させるだけの
手立てが『あります』。
だけど、それは後だ。
強烈すぎて、大事なことが
おろそかになるから。
まずその大事なことを、
頭で分かってほしいんです。
『狼』なんて、
『いない』ってことを」
「──待ちなさい、フレイグ!
それでは何ですか、
あなたは……
『狼』という部外者はおらず、
レイズルを殺したのは……
『村』の誰かだ、とでも
言う気なのですか!?
あり得ません!」
……そういうわけじゃない。
でも、それくらい、
ビョルカさんには
キツい内容かもしれない。
何より、「安心」が敵だ。
「安心」は人の目をふさぐ。
「最悪」から、
目をそらさせる。
だから、僕は、
あえてビョルカさんから
視線をそらして、言った。
「……ビョルカさんの言葉が
全てです。
犠牲と遺言……死者を尊び、
同胞を盲信(もうしん)する僕らの信仰は、
外敵の実在を当然のものとし、
犠牲を払っても排除しようと
考えてしまう。
そういう信仰ですから、
それ以外の答えはないんです。
ビョルカさんは、『正しい』」
「でも、残念ながら僕らは弱い。
必ずしも信仰を貫けない。
みんな色々考えを持ってるし、
気を迷わすには十分なほど、
僕らの置かれた状況はきつい」
「そんな……フレイグ、
なぜあなたが、
そんなことを言うのです……
皆さんの中でもひときわ
信心(しんじん)深い、あなたが……」
「……僕だってそう思いたい。
でも、実際に『見る』と、
納得するしかないんです。
まず、『5回分』の話を
聞いてもらえますか。
僕らが、
信仰を貫けなかった話を。
気楽に、
旅の詩人(スカルド)の話を
聞くくらいの気持ちで。
しばし、お耳を拝借……」
……
失われた『5回分』のことを
みんなに話して聞かせた。
似たような回もあった。
ばかばかしい回もあった。
不可解すぎる回もあった。
語るのもはばかられる、
恥や不徳だらけの回もあった。
でも、最後には悲しく、
冷たく、みじめに終わった。
5回ともだ。
ひとつの例外もなかった。
……語り終えたら、
みんな一様(いちよう)に不機嫌顔だ。
無理もない。
話によっては自分が人殺しや
お荷物にされているんだから。
でも、それ以上に、
みんな色々言いたいことが
出てきたんだと思う。
分かるよ。
僕も昨晩そうだった。
ヨーズが手を上げた。
うなずいて促すと、口を開く。
「あんたの話は、変。
あんたが死んだ後も話が続く。
その時は、
あんた以外の心まで語ってる。
そこに目をつぶっても、
一番変なのは、
『狼』が違う。
回によって。
端的に、糞」
「……
そうなんだよ!!
ヨーズ、無茶苦茶しっかり、
僕の話聞いてくれてるじゃん!
正直すげーありがたいよ!」
「な、あ、う……?」
『5回』を何度も思い返せば、
ヨーズの悪口が本心でないと
さすがに分かる。
……その気持ちへの応え方は
いったん置いとくとして……
悪口に心を乱されることは、
もうなくなった。
だから、素直に思う。
ヨーズは賢い。
本当に、変な話なんだ。
そしてこの『変』さこそ、
この事件のキモなんだ。
「ヨーズの言った通り、
この話には奇妙な点が多い。
でも、最後には全て
説明がつきます。
その中でも特に大事なのは、
『狼』が毎回変わってること。
この謎について、
ウルヴルさんはどう思う?」
さっきからずっと腕を組んで
考えている風なジジイに聞く。
この人も実際は、
僕らの中で一番理屈っぽく、
この手の謎に筋道をつけるのが
得意だろうことは、
『5回分』から察し済みだ。
「……ムウ。
最も単純な答案(とうあん)は、
『5回とも前提が違った』
じゃな。
同じように始まった事件は、
実際まったく違う前提で
進んでおった、ということ。
じゃが、単純すぎるのう……」
「なにしろ、レイズル以外の
誰が死にどう事件が転ぶかは、
『儀』で小僧が指さす先……
正しくは、フレイグの話の
『主人公』の指さす先次第で
かわってくるように思える。
ここから考えるなら、
『狼』が毎回違うのは、
『儀の選択次第』じゃから、
としかならん」
「つまり、
今この瞬間、ワシらの中に
『狼』なぞおらん。
『儀』が『狼』を作っておる。
だから、『儀』の展開次第で
『狼』も変わる……
というのはどうじゃ?」
「なっ……!?
何ですか、それは!
『ヴァリン・ホルンの儀』は
ヴァルメイヤの『犠』を選ぶ
神聖なる儀式です!
そんな得体の知れない怪物を
生み出す儀式などでは、
断じてありませんよ!!」
「落ち着いて。ビョルカ。
ウルヴルは単に、示しただけ。
順番。
原因と結果。
あと、可能性。
『理』ってやつ。
でもいいの、これ?
大体、『理』に走ったら、
険悪になって、
殺し合いだったんでしょ」
「で、でも……
なにかおかしなことを、
あきらかにしたいだけよ?
それすらいけないのなら、
ねむれなくなっちゃうわ!
ねえフレイグ、おしえて!
いったいなにがこたえなの!?」
「……ああ、いいよ、ゴニヤ。
ゴニヤは一番『理』を大事に
するもんな
ウルヴルさんの言う通り、
今この瞬間、
『狼』はまだいない。
それを示す証拠がもうひとつ、
『5回分』の話には存在する。
ヨーズ、気付かなかった?」
「……
2日目の朝、
ぜったい死体が出ないこと?」
「あっ、それはゴニヤも
おかしいとおもっていたわ!
だれが『犠』になっても、
つぎのよるはだれも
死なないなんて、へんよ!
『儀』で『狼』をころせたかと
おもったけれど……
もしそうなら『5回』のうち、
『狼』をはずしてだれかがしぬ
こともあるはずだし!」
「そう。ゴニヤの言う通り、
2日目朝に死人が出る『回』
も当然あるはずなんだ。
でも実際はそうならない上、
3日目の朝にはほぼ確実に
死人が出て、『狼』も出る。
つまり……2日目朝までは
多分『狼』は存在しなくて、
それ以降のどこかの時点で
いきなり現れるんだ」
「……待って下さい、
何だか少し複雑で、
付いていくのが大変です……」
「あっすみません!
一応きちんとやってますが、
あまり考え込まず、結論だけ
見てもらっても大丈夫です!」
「一応、几帳面な人のために
続けると……
ウルヴルさんが言った、
『最初から毎回違う狼が
すでに選ばれてる』ケースも、
やっぱり考えにくい。
毎回違う『狼』が、
毎回たまたま『犠』になる……
なんてことでもないと、
2日目の犠牲者ゼロが
説明できないから」
「ムウ……
『狼』が何らかの理由で、
1日目の夜の殺しを我慢した、
……というのは?」
「もっともな指摘だけど、
僕は考えにくいと思う。
『5回分』の記憶からは、
『狼』の殺意のものすごさが
伝わってくる。
性格は人によって違うけど、
『狼』はみんな邪悪で凶暴。
殺しをためらったり、
控えたりする感じはない」
「だからやっぱり結論は、
『狼』は『後からなる』もの、
で間違いない……と思う。
いま、僕らの中に、
『狼』なんていない。
なのに、僕らは、
いもしない『狼』のために、
『儀』を行って、
同胞を殺していたんだ……!
『5回』も!
何の疑いもなく、だ!」
……演出でもなんでもなく、
言葉が荒くなった。
『理』を整理したり、
言葉をうまくまとめたりで
必死になってるだけで、
僕は実のところ、
腹を立てているんだ。
こんな事態をまねいた、
張本人に対して。
……僕の演説で、
みんな考え込んでくれた。
ゴニヤも、ウルヴルジジイも、
ヨーズさえも、
自分たちが『儀』で同胞を殺す
ことに、初めて疑問を持って
くれたんだ。
ただ一人、
ビョルカさん以外は。
「……言い分は、分かりました。
ですが。
あなたの話はあくまでその、
あなたの頭の中の『5回分』が
根拠なわけでしょう。
それは、通りませんよ……
私たちにとっての現実は、
あなたの語る夢物語ではなく、
目の前にあるレイズルの遺体
なのですから……!」
ビョルカさん……
僕にとっては、全てでした。
あなたも。
あなたの語る信仰の道も。
でも、
もう、そんなことすら、
絵空事とか、
夢物語とかに思える。
間もなく僕らは全てを失う。
でも、もう黙っていることは
できない。
結局、『理』や『真実』とは、
破壊的で恐ろしいものだ。
それでも、人は結局は、
苦境と悲しみを打ち砕くため
凶器を手にするしかない。
ならばせめて、自分の意志で。
僕は僕の役目を、
剣であると再び決めた。
「レイズルさんは……
あの男は、
死んでいませんよ。
この死体は、ニセモノです」
──大さわぎになった。
「いや、待て待て!
さすがにそれは無理じゃろ!
これはレイ坊よ!
顔は奴の顔じゃし、
肉は肉じゃ!
ヨーズ! お前はどう見る!」
「どう見るも何も、
レイズルだけど……
服だって、昨日までのと
かわりないし……
もちろんクマやイノシシや
シカの死体でもない……
ちゃんと死んでるし……」
「レイズルにはきょうだいや、
そっくりなひともいなかった
はずだわ!!」
「……のようですが!?
これをどう説明するのです、
フレイグ!」
……実際、
僕も、いまから言う言い分は
苦しいと思う。
でも仕方ない。本当だから。
もしあの男が、
『言っても誰も信じない』
ってことでこうしてるなら
本当、性格が最悪としか
言えない……!
「……魔法ですよ。
あの人は魔法を使って、
『自分の死体を虚空(こくう)から
作り出した』んだ」
「はあ!?
そっ、そんな無茶苦茶な
言い分が、通じるとでも!?」
「だって僕は見たんです。
昨日の夜、あの男が、
ひとりで起き出して、
何かピカピカ光る物を出して、
こう、かざして……
そしたら、その死体が
空中から落ちてきた。
それを、その辺の石で
グチャグチャに叩き潰して……
ほら、出てきた。
この石、ですよ」
雪の中から、
拳3つぶんくらいはある
血まみれの大きな石を拾う。
みんなの視線が一気に集まる。
嫌悪も、緊張も、信憑性(しんぴょうせい)も、
一気に高まる。
……この物証が、
僕の見た真実を補強する、
唯一の切り札、なんだけど。
でも、だめだ。
まだビョルカさんは信じない。
「ヨーズ。
君のことだ。
夜の間、起きてようとして、
うまくいかなかっただろ」
「……まあね。
でも、それがなに」
「無理なんだ。
『5回分』のうち、
夜の間起きていられた人は
一人も存在しない。
それもそれでおかしいけど、
ただ一つ、言えることは、
この雪原の夜に、
活動できるのは
『狼』だけだってことだ」
「おい、
待て、
それじゃ、お前……」
「……
『おまえはいらない』」
『鍵の言葉』を唱えた。
変化が訪れる。
大きく。
強く。
速く。
残酷に。
僕の場合、その変化は
劇的ではない。
より成長した、
より凶暴で暴力的な、
血まみれの男の表象(ひょうしょう)へ。
ものの数秒で、至る。
これが、俺の『狼』の姿──
いや。もっと正しい名前を
俺たちは知っていた。
夜の雪山の支配者。
氷と嵐の象徴。
死神の猟団。
『死体の乙女』を追うもの……
……この姿なら、感じられる。
あの男の痕跡。
体臭。
視線。
息づかい。
……見つけた!
言って
俺は掴んだままだった
血まみれの大石(おおいし)を投げ放った
砲弾みたいにすっ飛ぶ大石
三十歩先の雪面に当たり
派手に真っ白な爆風を起こす
その爆風から逃れるように、
一人の男の人影が駆け出す!
「!? レイズルだわ!」
「きっさま、生きとったんか!!」
「くそっ、逃がすか──」
「待て! 動くな!
フレイグ……いや、
誰だ、おまえ……!」
俺に銃を向けるか、ヨーズ!
構わない。お前らしい行動だ。
無駄だしな。
お前は引き金を引けない。
『真の姿』にならなければ、
禁忌は破れない!
一呼吸のうちに、
俺は距離を詰め、飛ぶ。
奇妙な服を着たレイズルの
両腕と両足を組み敷く。
簡単だ。
体格差だけはずっとあった。
今や逆転している。
この巨大な手でひねれば、
首すら簡単に折って殺せる
殺せる
殺せる
殺せる
「げふっおい待てっ殺す気か!
いや殺す気だよな……!
やめとけって……
悪いこと……言わねえから……
謎解けなくなんぜ……!」
──手の中の男がなにか
わめいている
ああ そうか
殺したら駄目なんだったか
意識を緩めると、
一瞬で変身は解けた。
既に何度も試したことだ。
『鍵の言葉』を意識的に
唱えた場合、
変身は制御できる。
「……
全部話してもらうぞ、
レイズルさん……」
「おう、まずはどけよ。
ハハ、生きた心地がしねえな」
「──信じられるか。
『5回』も僕らを騙して、
殺し合いさせた奴なんて」
「『5回』?
ハハ、そういう認識なわけね。
ま、無理もないか。
そこまで分かっただけで
上出来だよ。
言葉では十分、みんなも
状況を理解したんだろ?
じゃあ、仕上げだ。
他の連中にも記憶を渡せよ。
それでようやく、
俺のターンになる」
……くそっ、結局言いなりか。
僕は退き、
レイズルさんは立つ。
ヨーズは舌打ちして銃を下げ、
ウルヴルジジイは
深刻そうにブツブツ言い、
ゴニヤはあたふたし、
ビョルカさんは苦々しい顔で
拳を握りしめてる。
核心が、近い。
僕は観念して、
『護符』を外した。
「ヨーズ、ちょっといい。
これを自分の首に、
かけてみてほしい。
そんなヤな顔するなよ……
危険はないからさ。
そう、そんな感じ」
【分岐:は?】
今日のフレイグは、挙動不審がすぎる。
関係ないだろ。
ここで『雪渡りの護符』をつけろとか。……結構ずっしりくるな。
なんか、変な感じがする。
え、どうすればいいの。
・ひとまずフレイグをぶん殴って、そのあと……
・『5回分の記憶』を振り返ろう
※ここでは分岐しませんので、このままお進みください。
「っと、もう繋がったかな。
なら外して大丈夫だ。
『祈祷(きとう)』の完了には
もう少しかかるから、
とっとと全員に回しちまえ」
「次……ウルヴルさんに
回してあげて」
「……わかった……
ウルヴル、これ……」
【分岐:ムウ】
何が何だか分からんが、ここはひとつ乗ってみるか。
『護符』を受け取り、身に着けて、様子をみる。
何も起こる気配はないが……・ひとまずフレイグをぶん殴って、次に……
・『5回分の記憶』を振り返ろう
※ここでは分岐しませんので、このままお進みください。
「いいね。どんどん行ってくれ」
「……次はゴニヤでええかの。
ほれ、落とすでないぞ」
【分岐:ええ】
いわれたから、つけてみたわ。
なんだか、はなしがいろいろ、目まぐるしくて、たいへん……
レイズルが生きていてよかったけれど、みんなこわいふんいきだし……こういうときは……
・ひろいぐいでおなかをみたしてから!
・『5回分の記憶』をふりかえりましょう!
※ここでは分岐しませんので、このままお進みください。
「もういいよ、ゴニヤ。
……最後は、ビョルカさん。
お願いします」
「……私も、ですか。ですよね。
あまりやりたくはないですが、
早く済ませましょう」
【分岐:……】
『雪渡りの護符』をつけました。
これでよいですか?思うに、こうすることで、頭に何かをされるのでしょう?
余計なことは要りません。
早く済ませて下さい。・仕方ないでしょ選択肢でしか干渉できないんだから!
・観念して『5回分の記憶』を振り返ってくださいね!
※ここでは分岐しませんので、このままお進みください。
「……これでいいですか。
誰に返せばいいですか。
フレイグ?
レイズル?」
「フレイグに返してくれ。
で、少し待ってもらおう。
あちらさんがどう出るか……
決するのに5分程度、
ってとこだ」
あちらさんって誰なんだ。
『祈祷(きとう)』って何なんだ。
……何も明かさないこの人の
言いなりは頭にくるけど、
今は待つしかなさそうだ。