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『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信

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──『龍が如く8』の新情報が楽しみになる発言ですね。ちなみに、『維新 極』のプロモーションで時代に合わせて変えていったことはあるのでしょうか?

横山氏:
 やっぱりネット越しになりましたよね。昔は体験会やサイン会などをバンバンやっていましたし、『龍が如く』はアナログなプロモーションにあえて寄っていたチームでした。オールドスタイルだったんですね。これまでリアルなファンとのふれ合い、直接のふれあいを大事にしてきたわけです。東京ゲームショウのようなオフラインイベントをとても大事にしてこれまでやってきたのですが、ある意味、新型コロナウイルスによってそれが奪われちゃったわけですよ。

 『龍が如く ONLINE』のときに、オンラインでファンイベントもやったのですが、いまいち盛り上がらないんですね。いや、盛り上がってはいるんだけど、感動をわかち合えないというか。そういった状況の中で、この2年間あまりで、まさに「龍スタTV」がそうですけど、ファンに向けての発信を意地でやり続けたんです。ゲームの情報が何ひとつないのに……。

阪本氏:
 ネタがないから麻雀をやったり、人狼をやったり。開発スタッフが遊んでいる姿を見せているだけですから、何のおもしろみもない(笑)。

横山氏:
 グッズも無理していっぱい作りました。ゲームの情報を発信できないあいだも、『龍が如く』を好きな人、興味がある人たちとつながっていたかったんですね。やっぱりコンソールのタイトルって、お客さんとのタッチポイントが、ゲームが出たときに集中しちゃうんです。

 『龍が如く』シリーズは、これまで1年に1本のペースで出していたにせよ、タッチポイントがコロナの影響でなくなり、それでも一方的であっても発信し続けて……。このへんはほかのメーカーさんのやり方から教わりましたね。やり続けていれば、勝てることもあると。

 この2年間、「龍スタTV」をやり続けてきたことで、いまはネット越しのコミュニケーションができるようになってきています。その流れで、先日体験会をいざやってみたら、ありがたいことに京都ではお昼ごろに整理券が全部終わっちゃったんですよ。

──東京・秋葉原での体験会でも盛況でしたが、京都でもそれだけの人気だったのですね。

阪本氏:
 8時間待ちの人もいたそうです。大阪から来た方で、整理券を受け取ったあと、一度大阪に帰ったと聞きました。本当に申し訳ないです。

横山氏:
 体験会の試遊台数が潤沢ではなかったこともあるのですが、それだけ熱意のある方がいると聞いて、我々の発信が伝わっていたんだと実感しました。

 そこはすごく変わったところですね。発信し続けることに意味がある。Twitterの龍が如く公式アカウントでは、『龍が如く』に絡めた「今日は何の日」というネタを毎日作って投稿していますし。

──担当の方はたいへんだろうな、と思いながらいつも見ています。

横山氏:
 開発チームの中にも、ファンコミュニティーの専門部隊をいま作っているんですよ。「龍が如くスタジオ」って、そぎ落とされた職人集団なので、プロモーション部隊とか、ユーザーコミュニティのための部隊はこれまで持っていなかったんですが、この2年間で強化・増強しています。『ポプテピピック』とのコラボレーションもそうですけど、いろいろやります、という感じで……まあ、とにかく変わりましたね。

──メディアリレーションよりも、ユーザーリレーションが重視される時代になっていますからね。

横山氏:
 テレビCMも昔のようにとりあえず流すという時代ではなくなっていますからね。大きな面で、これをやっときゃいい、というのが通用しない。お客さんにどう興味を持ってもらえるかというのがすごく重要で、この2年間でそれを思い知りましたね。

──「龍が如くスタジオ」は、海外も非常に意識されていますよね? PVも各国の言語に対応していますし、全世界同時公開というところも一貫してやられています。今後、過去作の情報をアーカイブ的に海外へ発信するのもアリかもしれませんね。

横山氏:
 いまね、ちょっとそれに近いことをやろうとしてたんですよ。Twitterでやるかどうかは迷っているんですけども。公式Twitterアカウントの発信は、これまで日本で発信したあとに翻訳していたんですけど、それも同時でやれるようにしています。先日公開した「龍が如くスタジオ」のドキュメンタリー動画も、翻訳して海外に同時発信していますから。

 まあ、この2年間でお客さんとのコミュニケーションの仕方は本当に変わったなとは思いますね。

──変わったという部分では、阪本さんがずっとプロモーションで海外を回られていたとうかがったんですけれども、海外のファン、日本のファンとの違いであったり、求められているものの違いだったり、国ごとに特徴とか個性があればお聞かせください。

阪本氏:
 すごくざっくり言うと、海外のファンの方って、日本とそんなに変わらないんですね。

──あ、それは意外です。

阪本氏:
 イベントをやるときって、ファンの方を呼ぶじゃないですか。先週、韓国へ行ってきたのですが、日本のコンテンツを好きな人が多いので、私が日本語でしゃべっても通訳をする前に理解してくれるんですね。

 そういったファンの方々から発信が広がっていく、っていうのは想像できるんですけども、「海外はこれがウケてる」、「アジアはこれが人気だ」といったわかりやすい区分けはじつはされていないんです。『龍が如く』を全体として見たときに、キャラクターも物語も、刺さるポイントは日本とそんなに変わらないんですね。

『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信_008

横山氏:
 たぶんそういったイベントに来る人というのは、似ているというか、ワールドワイドで共通なんだと思うんですよね。『龍が如く』を好きで、能動的に情報を集めて、イベントに足を運んでくれる熱量のある方。じゃあ、そうじゃない、じつは『龍が如く』を好きなんだけど声を上げたがらないファン層をいかにイメージできるか、というのが大事になってきて……。

阪本氏:
 そうですね。そこをイメージできれば、もう一段階、上がれるきっかけになると思っています。

横山氏:
 ただ日本だと、発売日に朝から売り場に張り付いて見ていると、どういう人たちが、どの時間帯に買っていくか、というのは見られるじゃないですか。

 17時を過ぎたらハイエースが店の前にバンッと停まって、数人がバババって降りてきて「襲撃かな?」という感じで(笑)。

阪本氏:
 でも、それぞれが『龍が如く』を1本ずつ買っていくという(笑)。

横山氏:
 19時をすぎると、今度はスーツ姿の方が仕事帰りに寄って買っていく。実店舗で見ていると、時間帯ごとの客層がだいたいわかりますね。

 でも海外だと、いまはデジタル版の売上が増えているので、どういう人たちがどう買ってるのかがわからないわけです。ファンイベントに来る人たちはわかるんですけど、そうではない人たちのことがわからない。

 ……たぶんこれ、永遠にわからないんですよ。もちろんカスタマーリレーションのやりかたで、データとして吸い上げるってやりかたもあるんだけども、それだけじゃダメで、僕らがイメージできないと意味がないんです。たとえば、プロモーション施策をやるときに、誰がどの時間帯に来て、どうやってよろこぶんだろうとか。そういうところをちゃんと考えながらやっていく必要があるんですよね。

──『龍が如く』のファンって、アクティブな方、積極的な方が多い印象があるのですが、海外も熱量は変わらないのでしょうか?

阪本氏:
 海外のほうが強烈かもしれないですね。海外の熱狂的な人たちは、日本でしか売っていないグッズも全部持っていたり、日本発売のパッケージ版を集めていたり、熱狂度で言うと日本のファンよりも高いかもしれません。

『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信_009

横山氏:
 僕、去年ね……これ、電ファミさんだから書いてもらっていいですけど、母親が亡くなったんですね。

──え? それは……心よりお悔やみ申し上げます。

横山氏:
 亡くなった日に実家に行き、葬儀屋の人が来たと思ったら、なぜかその方がもじもじしていたんですね。連絡先として名刺を渡すじゃないですか。そうしたらつぎの日に姉から電話がかかってきて葬儀プランの確認をしたら、途中からめちゃくちゃサービスがついたらしいんですよ。「家族葬で」と伝えたら「いや、せっかくなのでもう少し」と言われ、どんどんサービスで豪華になっていく。で、わかったのが『龍が如く』の超絶ファンだったと、その人が。

一同:
 (笑)。

横山氏:
 しかも担当の人だけじゃなくて、その葬儀屋さんのほかの従業員の方たちも『龍が如く』ファンだったんです。式の前日にはそれぞれがゲームソフトを持参するので、それにサインして欲しいと事前連絡までいただいてね(笑)。で、当日ちょっとした待ち時間にパッケージにサインして記念撮影して。母ちゃんの祭壇の前で(笑)。

 「さすがにアレなんで、着替えてからにします?」と聞いたら、「職業柄慣れてますので大丈夫です!」と言われ、「あ、男たちの挽歌みたいでカッコよいかもしれませんね!」と僕も言って喪服のまま肩組んで「イェーイ」って写真を撮って。まあ、母親もよろこぶだろうと思って、気にせずに対応しました(笑)。

──(笑)。僕もちょっと、失礼ながらいまそう思いました。お母さま、絶対よろこんでいらっしゃるだろうなって。

横山氏:
 そういう人たちこそ、仕事が終わったあとに『龍が如く』を遊ぶのを日々の楽しみにしてくれているんですよね。ふだんは生死に向き合うような現場にいるけれど、エンターテインメントとして『龍が如く』をすごく楽しみにしてくれている。そういった場でも会うわけですよ、『龍が如く』を楽しみにしてくれている人たちに。

『龍が如く8』は過去イチ話題になると思う──『龍が如く 維新! 極』インタビューで飛び出した、龍スタ代表の最新作への自信_010

──いい話ですね。これまでもそうですが、横山さんはエピソードが豊富すぎるんですよね(笑)。

横山氏:
 ほかにもまだまだありますよ。盲腸で入院した病院の看護婦さんの話とか。いろいろな現場で『龍が如く』好きの方とは会いますね。

 いろんなところでいろんな職種の人が楽しんでるっていうのが、もう肌感でわかるんですよね。だから、海外のファンのことも、そのうちわかるようになると思っています。そういうのってイベントやったり、動いていかないとわからないものですよね。お客さんとはたくさん話をするようにしてますけれど。

──たしかに、海外ユーザーはとくにコミュニケーションを大事にしていますよね。開発者との距離が近いイベントは人気がありますし、作り手側からの一方通行的な発信よりも、相互にコミュニケーションがとれることを重視しているんだと思います。

横山氏:
 阪本が韓国へ行くだけで1000本くらい受注が増えたらしいですよ?

阪本氏:
 (笑)。

横山氏:
 だから、10回行ったら1万本、増えるんですよ。30回くらい日帰りで行かせようと思いました。

──韓国は近いですからね(笑)。

阪本氏:
 海外で驚いたことといえば、実機で遊べるイベントをいろんな国でやっているんですけど、Twitch Conの会場で『龍が如く0』の格好をしてプロポーズした人がいましたね。この日のために指輪を用意して、彼女が『維新 極』の体験版をプレイしてふり返ったら、その場でサプライズでプロポーズされてて。一般来場の方だったんですが、海外はオープンに楽しんでる人が多いなと(笑)。

横山氏:
 いやでも、いろいろな意味で海外でもイベントをやると思いますけど、やっぱりファンに支えられているタイトルだなと。『龍が如く』を交差点としてみんながつながってくれるなら、それはすごくいい話だなと思って。

──そろそろ親子二代に渡って『龍が如く』が好きで……というファンも現れるころですよね。

横山氏:
 そうなんです。まさに開発スタッフがそうですからね。「親父がやっていたので」と入ってくる人たちが多くなっているんです。昔は女性に「『龍が如く』をどこで知ったの?」と聞くと、だいたい「彼氏がやっていた」という回答だったんですけど、最近は父親に変わってきているんですよね。

 『龍が如く7外伝』の生キャバ嬢オーディションでもそういったエピソードを話してくれる方が何人かいらっしゃいました。シリーズは18年目に入りましたし、歴史の長さを感じますね。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。

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